職場環境改善に取り組もうとする新潟県内企業の皆様へ

新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

近年、「働き方改革」「健康経営」への取り組みが注目される中、「より活気があって働きやすい職場にするには、どうしたら良いのか?」といった職場環境の改善に関するお問い合わせをいただく機会が増えています。

そこで、本日は職場環境の改善に取り組む際に参考となる資料等をご紹介したいと思います。

 

職場 オフィス 事務所 会議室

働きやすく、かつ働きがいのある職場へ

まずは、職場環境の改善という言葉の意味を確認しておきたいと思います。

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」によると、職場環境等の改善とは

職場の物理的レイアウト、労働時間、作業方法、組織、人間関係などの職場環境を改善することで、労働者のストレスを軽減しメンタルヘルス不調を予防しようとする方法



働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」 https://kokoro.mhlw.go.jp/

と説明されています。

つまり、職場環境の改善とは、身体的にも心理的にも、働きやすく、かつ働きがいのある職場にしようとする取り組みと理解して良いのではないでしょうか。

なお、そのような職場に改善していこうとする際に、参考となる資料等を下記にお知らせいたします。

参考資料1:職場環境へのポジティブアプローチ

下記にご紹介する「職場環境へのポジティブアプローチ」は、厚生労働科学研究費補助金 労働安全衛生総合研究事業「労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究」(研究代表者:島津明人)(H28-労働-一般-004)の成果物として作成されたマニュアルです。詳細は慶應義塾大学総合政策学部 島津研究室のWebsite<https://hp3.jp/project/php>を確認してみてください。

本資料はとても読みやすく、そして 職場環境を改善する方法・ステップが分かりやすく説明されているので、まずはこのマニュアルを熟読することから始めると良いと思います。

具体的には、概ね次のような手順で職場環境の改善を進めていく流れとなっています。

1.1 アンケートの実施

まずはアンケートをとることからスタートします。具体的には「自分で仕事の順番・やり方を決めることができる」「上司と気軽に話ができる」「失敗しても挽回できるチャンスがある職場だ」といった22の質問が掲載されたアンケートを、職場の従業員に対して実施します。

1.2 アンケートの集計

アンケートを回収した後、上記Websiteで公開・ダウンロードできるEXCELファイルを活用して、アンケートの回答を集計します。

2.1 会議の準備

アンケートの回収・集計後、会議を開催します。まずは、会議に参加する従業員を15~30人程度決め、開催日時、複数の進行役を決めます。また、経営者からひと言挨拶してもらえると、なお良いようです。

2.2 集計結果の確認

会議ではアンケートの集計結果をもとに、①職場の強みと、②今後伸ばしたい強みをグループごとに分かれて、列挙・議論してもらうことから始めます。

2.3 強みの決定

列挙された②今後伸ばしたい強みの中から話し合いを通じて、当該職場として②今後伸ばしたい強みを1つないしは複数に絞り込みます。その上で、 ③職場のありたい姿・目標を議論しながらまとめていきます。

2.4 具体的内容の決定

議論をしてまとめた③職場のありたい姿・目標に向けて、④誰が、⑤何を、⑥いつまでに、⑦何をするのかを話し合って決めていきます。

2.5 まとめ

各グループから話し合いの結果を発表してもらった後に、今後取り組む改善活動の詳細をまとめた⑧行動計画を完成させます。行動計画は誰でもいつでも見られる場所に掲示します。なお、会議全体としては60分程度で終了するタイムテーブルも公開されています。

3.フォローアップ

行動計画については、3~6カ月程度の期限を決めて、取り組むべき活動単位ごとに成果を発表してもらい、進捗管理をしていきます。また、成果に応じて表彰する場合もあります。

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概略は以上のようになっています。アンケートと会議を組み合わせているほか、会議の際に使用する記入シート等も用意されており、しかも会議のタイムテーブルや会議参加者への説明資料(パワーポイント)まで用意されているため、初心者でも試しやすくなっています。したがって、まずは本マニュアルをしっかりと読み込むことから始めると、職場環境の改善に取り掛かりやすくなると思われます

参考資料2:いきいき職場づくりのための参加型職場環境改善の手引き(改訂版)

本資料は、平成 29 年度厚生労働科学研究費補助金(労働安全衛生総合研究事業)(H27-労働-一般-004)「ストレスチェック制度による労働者のメンタルヘルス不調の予防と職場環境改善効果に関する研究」班(主任研究者 川上憲人)の成果物として制作された冊子です。詳細は、東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野 「いきいき職場づくりフォーラム」のWebsite<http://www.jstress.net>を確認してみてください。 

職場環境の改善に取り組む際には、従業員の方々による会議が必須となりますが、会議で意見が出にくい、ギスギスして気まずい雰囲気になりやすい場合は、本冊子が参考になると思います。前向きで建設的な意見が出しやすい各種ツールが充実しています。

具体的には、概ね次のような手順で職場環境の改善を進めていく流れとなっています。

1.1 会議の準備

職場環境の改善に取り組むための体制や担当者について、職場全体に周知します。また、経営者が職場環境改善に取り組むことに賛同していることも明示します。

その上で、職場のメンバーが半数以上参加できる日時の設定やグループの構成(1グループ当たり5~6人)、司会・書記なども事前に決めておきます。

1.2 良好事例集の確認

会議では、冊子に収められている写真付きの「良好事例集」の確認から始めます。具体的には、 「始業時に全員が参加できる短時間のミーティングで情報共有しました」「 色分けやラベルの表示を使った保管方法で資材の取り違えや作業ミスを防ぎました」といった12の事例が掲載された「良好事例集」から、現在、働いている職場にとって特に役立つと思った事例を参加者全員がそれぞれ3つ選び、投票します。その結果を参加者全員で確認しながら意見交換していきます。

1.3 チェックリストの記入(個人ワーク)

続いて、 アクションチェックリスト(職場環境改善ヒント集) を活用します。これは「A 仕事のすすめ方」「B 作業環境」「C 職場の人間関係・相互支援」「D 安心できる職場のしくみ」といった4分野24項目にわたる改善策が盛り込まれたチェックリストです。例えば「C 職場の人間関係・相互支援」の中には、「作業の習熟や技能向上のための職場内での訓練の機会や研修の場を確保します」「 学校、育児、介護など、個人のライフスタイルに応じて、勤務調整ができるようにします」といった項目が含まれています。

会議参加者は個人ワークとして、このチェックリストの中から、当該職場にとって対策が必要な項目などを選択していきます。その上で現在、安全・健康に快適で働きやすい職場づくりに役立っている当該「①職場の良い点」と「②職場の改善点」をそれぞれ3項目ずつあげます。

1.4 グループワークシートの記入(グループ会議)

次にグループに分かれて会議をします。個人ワークで作成した 「①職場の良い点」と「②職場の改善点」を会議参加者から発表してもらい、その後、意見交換しながら、グループとしてそれぞれ3項目に絞り込みます。

1.5 改善計画の作成

3項目ずつに絞り込んだ「① 職場の良い点」と「②職場の改善点」を各グループから発表してもらいます。その後、発表内容を参考にしながら、改善計画を作成します。

その際、低コストですぐに取り組める改善策や、業務に役立ち働きやすくなる改善策を重視しながら、③誰が、④何を、⑤どのように、⑥いつまで取り組むのかを決めます。決まった内容は「⑦改善計画・報告シート」に記入します。

2. 成果発表

「⑦改善計画・報告シート」については、あらかじめ提出期限を決めておきます。提出時期を迎えた際には、⑧改善を実施した目的・理由、⑨改善内容、⑩コスト、⑪改善前後の写真・イラストなどを記入して報告します。

また、改善内容については成果発表の場や表彰制度なども考慮すると良いようです。

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議論の取っ掛かりとなるような事例集やチェックリスト、ワークシートが冊子に用意されていますので、議論が不慣れた職場では、特に參考になると思われます。

最後に

冒頭にご紹介した 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」<https://kokoro.mhlw.go.jp/ >には、上記でご紹介した資料等のほかにも、職場環境改善に関するツール・動画や助成制度の案内などが掲載されています。今後、職場環境の改善活動に取り組もうとする職場の方でしたら、一度、目を通してみると良いと思われます。