ワーケーションで地方創生を! ~妙高市で取り組む「ラーニングワーケーション」その1~

新潟経済社会リサーチセンターの唐橋です。

ワーケーションという言葉は、2000年頃に米国で生まれたとされています。「仕事(ワーク)」と「休暇(バケーション)」という一見相反する言葉の組み合わせのように感じられ、受け取る人によってその定義はまだ曖昧なものがあるようです。

しかし、リゾート地や自然に囲まれた環境でリモートワークをするというスタイルは、ワーク・ライフ・バランスの実現やウィズコロナでの多様な働き方のアイデアとして、また地域の観光資源活用のアイテムとして注目が高まっています。

県内でも複数の自治体がワーケーション事業に取り組んでおり、国や新潟県でも事業を支援する制度を設けて取り組みを後押ししています。そこで今回と次回の2回にわたって、妙高市でのワーケーションの取り組みを紹介します。

 

パソコン pc ワーケーション

妙高市がワーケーションに取り組む理由

妙高市には、日本百名山の妙高山が属する妙高戸隠連山国立公園が広がり、7つの温泉地と8つのスキー場を有する観光地として多くのひとが訪れています。

また、北陸新幹線の開通により、東京から上越妙高駅まで約1時間50分と交通の利便性も向上しました。

一方で、市の人口減少や担い手不足が深刻化しており、雇用の創出や関係人口の拡大といった「人の流れを創出する」対策が喫緊の課題となっています。

ワーケーション事業に取り組むに当たり、まず市では「観光資源や新幹線の開通で首都圏からのワーケーションに適しているのではないか」「都市部の企業・人材との関わりを作る機会を増やしていくことが関係人口の拡大に繋がるのではないか」という仮説を立てました。ワーケーションを通じて新たな人の流れを創出することにより、東京を中心とした都市部の企業・人材との交流を進め、ひいてはビジネスマッチングやワークシェアリングによる新たな地方創生に繋げようとしています。

妙高ワーケーションセンター

妙高型ワーケーションを目指して

妙高市では、事業を進めるうえで、行政だけでなく民間の力も活用した推進体制を構築しました。市内で農泊や教育体験旅行の受け入れ、農業体験などをはじめとしたアクティビティの提供を行っている「妙高市グリーン・ツーリズム推進協議会」に、企業やワーカーの受け入れ体制と効果検証事業などを委託しています。更に、送客や人材育成支援、ワーキング拠点・環境の整備、ホテル等でのワーケーションプラン設定などを担う複数の民間パートナー企業と連携し、官民が協働して事業を進めています。

2020年3月に、妙高市のワーケーション事業が内閣府の地方創生推進交付金対象事業に認定され、6月には推進拠点「妙高ワーケーションセンター」が始動しました。

ワーケーションといえば、IT企業に勤める人やフリーランスのクリエイターなどが連想されますが、妙高市のワーケーションは、都市部の一般企業やそこで働く人をターゲットにしています。そのため、観光を前面に出すのではなく、仕事(ワーク)を主体とし、「学び」の要素を加えた「ラーニングワーケーション」と呼ばれるスタイルが特徴です。

座学研修と自然体験、地域の課題解決を地域と一緒に考える研修などのプログラムを通じて「学び」と「気づき」の場を提供し、そこでの体験が企業の生産性の向上や社員の人材育成などに繋がってゆく、真に企業の視点に立った価値を提供することのできる「妙高型ワーケーション」を目指しています。

次回は…

「仕事」に「学び」の要素を加えた「ラーニングワーケーション」の活動内容については、次回に妙高市での事例を交えながらご紹介したいと思っています。

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「センター月報」 2021年2月号の 「潮流 県内最新トピックス 第30回」を加除修正しました。