働き方改革を実現するには・・・

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

今回は、昨今の雇用環境を表す言葉として定着した感のある「働き方改革」や「ワーク・ライフ・バランス」について、新潟県の現状について、統計データを使って確認していきたいと思います。

 

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残業時間が減っている企業は約3割

新潟商工会議所様が2018年にまとめた「『働き方改革』に関するアンケート調査」の結果(「『働き方改革』に関するアンケート調査をまとめました」)をみると、正社員の1か月あたりの平均的な残業時間の増減に関して、「ほとんど変わらない」する企業が約5割となり、最も高い割合となりました。一方、「残業時間が増えた」とする企業が約2割となっているのに対し、「残業時間が減った」とする企業が約3割となり、「残業時間が減った」とする企業の割合が13ポイント程度高くなっています。

 

 

また、同アンケート調査の結果から、正社員の1か月あたりの平均的な残業時間をみると、「0時間超~10時間以内」と「10時間超~20時間以内」がともに3割台半ばとなっており、両者を合わせた約7割の県内企業において、1か月あたり平均20時間以内の残業が行なわれているものとみられます。

 

 

 

残業時間数は一進一退

それでは、新潟県内の企業の実際の所定外労働時間(残業時間)を含む総実労働時間はどうなっているのでしょうか。

新潟県「新潟県賃金労働時間等実態調査」をもとに、過去5年間(各年とも7月時点)の労働時間数の推移をみると、総実労働時間数と所定内労働時間数は直近で前年をやや上回っていますが、基調としては減少基調にあります。一方、所定外労働時間数(残業時間数)は一進一退で推移しており、2018年(10.6時間)は5年前の2014年と同数となっています。なお、所定外労働時間数については、前掲のアンケート調査の結果と概ね合致する水準となっています。

所定内労働時間数の減少とともに総実労働時間数は減少しているものの、その分だけ残業時間数はなかなか減らないのが実態のようです。

一方、有給休暇の付与日数や取得日数、取得率などをみると、取得日数と取得率は緩やかながら増加もしくは上昇傾向にあります。ただし、取得日数の増加幅は各年とも0.1日~0.2日と非常に小幅なものとなっています。

以上から、新潟県内においては、労働時間の減少や有給休暇の取得促進などを中心とした「働き方改革」や「ワーク・ライフ・バランス」の取り組みが一部で進展しているとみられますが、全体的な広がりはこれからといったところとみられます。

 

 

心の余裕を持てるような働き方へ

最近、「売上を、減らそう。」中村朱美著(ライツ社)という本を読みました。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、この本は「1日100食限定」のランチメニューを提供する「佰食屋」という国産牛ステーキ丼専門店の創業ストーリーや経営スタイルなどについて書かれています。こちらのお店では、1日に提供する食数の上限を100食に限定するとともに、ランチ時間のみの営業とすることで、働く人たちが長時間労働に陥ることなく、「ワーク・ライフ・バランス」を実践できる環境を整えることに成功しているそうです。具体的には、売上目標をなくすことで残業時間をゼロにしているそうです。そのために、働く人たちが長時間労働に陥らないよう(残業時間をゼロ)にするための働き方の工夫をお店と働く人とで日々重ねておられるようです。同書に、このような一節が出てきます。

働くなかで、「本当はこうしたほうが効率がいいのに」「この工程は無意味なのでは?」と違和感を持つことはたくさんあると思います。でも、心に余裕がなければ、多くの人は与えられた業務をこなし、ギリギリに設定された目標値をクリアすることに精一杯です。「そう決まっているからしかたない」と受け流してしまうでしょう。

その小さなモヤモヤが、長い目で見たとき、仕事の効率を下げ、作業の妨げとなってきます。できるだけみんなが楽しく、ストレスなく働くために、目の前のお客様に喜んでもらうために、「売上目標」はじゃまなのです。

「売上を、減らそう。」中村朱美著(ライツ社) 125頁

多くの企業において、売上目標や利益目標は当たり前のように掲げられ、それらの達成と同時に、長時間労働の是正などを中心とした「働き方改革」や「ワーク・ライフ・バランス」の実現も求められているのが実態です。また、現場では人手不足や人材不足を背景に、1人あたりの労働密度も高まっているものとみられます。

即座に売上目標や利益目標の撤廃とまではいかないにしても、働く人たちが心に余裕を持てるような働き方ができる環境への転換が求められているのではないでしょうか。