新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
最近、Web調査に関するお問い合わせをいただく機会が増えています。そこで、本日は、インターネットによる調査の市場動向、メリット・デメリット、種類、事例、実施の流れなどについて、ご紹介いたします。
インターネット調査の市場規模は増加
インターネットやスマートフォンの普及を背景に、インターネット調査の市場規模は増加傾向にあります。毎年、実施されている 一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会¹「経営業務実態調査」をみると、インターネット調査の市場規模は順調に増えていると推計されており、市場調査業界全体の約1/3の金額を占めるに至っています。
なお、市場調査全体の市場規模も緩やかに増加しています。
インターネット調査のメリット・デメリット
①メリット
インターネット調査には、以下のようなメリット²があるとされています。
- 調査が迅速に進みやすい
- 回収率が高く、必要な回答数を確保しやすい
- 特定層に限定した調査がしやすい
- 画像、動画などを含んだ調査が実施しやすい
- 調査経費が抑えられる場合がある
このようなメリットがあるため、以前よりも調査を手軽に試しやすくなったと感じる利用者が増えているのではないでしょうか。
②デメリット
一方、以下のようなデメリットも指摘されています。
- 回答者に偏りが生じる場合がある
- 回答者が固定する場合がある
- 虚偽、代理回答などの不正回答が混入する場合がある
実際にインターネット調査を実施する際には、このようなデメリットがあることに留意しながら、調査の実施・分析・解釈をしていくことが必要です。
インターネット調査の種類
弊社で対応しているインターネット調査については、以下の2種類があります。
①自社のお客様に対するニーズや評価を尋ねる調査
まずは、自社に来店したお客様や既存の取引先様に対して、自社が提供する商品・サービスに対する評価やニーズなどを尋ねる調査があります。具体的には、 口頭と依頼状(紙面)によりアンケートを依頼し、回答を依頼状に印刷したQRコード等を経由してスマートフォンなどより回答してもらう形式です。
従来、質問票などの紙面に記入してもらっていた調査を、インターネットを使用して入力・回収・集計・分析する方向に切り替える問い合わせが最近、増えています。
②商圏内や新潟県全体のニーズなどを尋ねる調査
また、自社のお客様ではなく、自社のことを知らない一般の人にインターネットを使って実施する調査もあります。弊社の場合は、首都圏等のネットリサーチ会社に依頼して、新潟県民で回答モニターとして登録している人に対して、調査を実施しています。
自社のお客様以外の商圏内あるいは新潟県に在住する人に対して、自社の知名度やイメージ、あるいは自社が提供している商品・サービスに対するニーズ、使用状況、使用意向などを確認する際に実施するケースが多いようです。
インターネット調査の結果(事例)
原則、従来までの対面による調査や郵送による調査と同じような分析となります。ただし、これまでに比べて、調査の開始から分析終了までの期間が短縮化される傾向にあります。
また、1社や1団体、1地域では取りかかりにくかった調査が比較的試しやすくなるケースも多いです。
インターネット調査の分析例
▼ 各温泉地(企業)に対するイメージの評価・違いを図式化
▼自由回答の出現数の多さを、単語の大きさで図式化
▼自由回答の結果について出現パターンが互いに似通っていた語の組み合わせを図式化
インターネット調査の実施の流れ
インターネット調査については、以下のような流れで弊社では対応させていただいております。
①お問い合わせ
インターネット調査にご興味のある場合は、調査の概要、調査時期などを下記の電話またはメールなどにより、お伝えください。
②お打ち合わせ
お問い合わせをもとに、ご要望をお聞かせいただきます。また、調査実施にあたっての課題などを確認します。
③調査の企画提案
質問内容、分析結果のイメージ、調査のスケジュール、回答者の属性、お見積金額などをまとめたご提案をさせていただきます。
④調査の実施
企画提案をもとに、両者で詳細を詰めた上で、インターネット調査を実施いたします。
⑤ご納品
調査結果をまとめた報告書を作成・納品いたします。 納品後、ご不明な点などがございましたら、お気軽にご相談ください。
最後に
インターネット調査にご興味のある方は、お電話(025-246-3211)あるいはメールなどで、お気軽に「インターネット調査の件で」とご相談・お問い合わせください。
=====
注
¹ 市場規模の推計については、一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会のWebsiteを参考にさせていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
² インターネット調査のメリット・デメリットについては、以下の文献を参考しにいたしました。
- 大隅昇「インターネット調査の抱える課題と今後の展開」『ESTRELA』2006年2月号(No.143) ,pp.2-11 <2021年1月21日アクセス>
- 労働政策研究・研修機構「インターネット調査は社会調査に利用できるか― 実験調査による検証結果 ― 」『労働政策研究報告書』 2005 ,No.17 <2021年1月21日アクセス>
- 島崎 哲彦・大竹 延幸『社会調査の実際-統計調査の方法とデータの分析-』第二版,学文社,2002年