今冬は記録的な暖冬。県内経済への影響は?

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

今冬は全国的に暖かく、雪が少なかったといわれています。県内でも例年に比べて雪が非常に少なく、気温は高く推移しました。

「雪かきが少なくて助かった」と歓迎する声もありますが、雪不足の影響で各地で開催が予定されていたイベントや行事などの中止や内容を変更して実施した、といったニュースを耳にした方も多いのではないでしょうか。

当センターでは、暖冬影響によって県内経済はどのような影響があるかを調査するため、1月下旬に現状と先行きについて県内企業や団体に対してヒアリングを実施しました。今日はその結果の一部をご紹介します。

 

1.製造業へのヒアリング概要

暖房機器や冬物商材の出荷が低調

暖冬により、暖房機器関連の販売が低迷しており、暖房機器を製造している会社からは、今期分の生産を例年よりも早めに終えたとといった声が聞かれました。また、食料品では練り物類やきのこ類など鍋の具材となる商品の売れ行きが低調であるほか、少雪によるスキー客の減少によりスキー場近辺の販売店舗への出荷量がやや落ちているようです。

2.小売業へのヒアリング概要

冬物商品が不振

冬物衣料や暖房機器、鍋物関連の動きの鈍さがみられました。また、少雪で使用頻度が落ちているため、除雪用品なども低調となりました。一方、百貨店・スーパーなどからは、外出しやすい気候のため来客数は増加しているとの声や季節商品の販売は減少しているものの、その分を他の商品に回すといった消費行動もみられているとの声も聞かれました。

3.観光・レジャー産業へのヒアリング概要

国内からのスキー客減少により、スキー場は苦戦

スキーは本県において、冬の主な観光・レジャーになっています。ただし、今年は少雪によって営業できないスキー場が多い状況になっているため、国内客は大幅に減少し、宿泊施設のキャンセル・物販店の販売低迷といった影響が出ました。一方、1月下旬時点では海外からの観光客は前年よりも増加しており、海外客の多い地域などでは比較的影響が小さかったとの声も一部の観光地から聞かれました。

4.建設業へのヒアリング概要

除雪作業の減少により建設業者の業況は悪化

今年は少雪により除雪作業の実施が非常に少なくなりました。建設業者のなかには、想定していた売り上げを計上できない企業も出てきているようです。建設業者の業況悪化を受けて、行政は除雪待機料の前払いや金融支援対策を打ち出しました。また、例年であれば雪解け後の春から開始する工事の一部を前倒しして発注する動きもみられています。

5.平均気温の推移

県内では、2020年1月の平均気温が 29カ所ある観測地点すべてで、1月の平均気温として最高になるなど、記録的な暖冬少雪となりました。続く2月も気温が高い日が続いたことから、最新の桜の開花予想によると、新潟市では観測史上最も早く「3月の桜」がみられるといわれています。

まとめ

県内では冬場の需要を取り込んだ産業が多いことから、暖冬少雪は経済に大きな影響があります。しかし、冬物商品に替わる商品に消費を振り向けるといった行動も聞かれ、消費意欲の底堅さが感じられるヒアリング調査となりました。

一方、企業の方々からは新型コロナウイルスに対する懸念の声が多く聞かれました。ヒアリング調査を実施した1月下旬時点において、影響が出ているとの声は挙がらなかったものの、今後新型コロナウイルスがさらに拡大し、外出を控える動きが広がることによる売り上げ低迷や渡航規制・入国制限による海外からの旅行者減少といった不安を口にされる方々が多かったことが印象的でした。

実際、ヒアリング調査実施後、新型コロナウイルスの感染が拡大し、感染防止のため、現在はイベント自粛や休校措置などがとられています。暖冬少雪による産業への打撃に続き、足元では新型コロナウイルス感染拡大による影響がみられており、県内経済にとって厳しい外部環境が続いています。県内経済の動向をさらに注意深くみていきたいと思います。

※本投稿は当センターの機関誌「センター月報2020年3月号『トピックス』」に掲載されたものを加筆・修正したものです。