ソーシャルディスタンス時代のボイストレーニング

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、ビシネス心理学講師 酒井とし夫氏より、商売に役立つ心理学的なヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。

今月の「センター月報9月号」では、 ソーシャルディスタンス時代における会議や販売現場での変化と、その対応策についてご寄稿いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。

 

ボイストレーニング

ハミング法

先日、ある企業で会議を行ないました。参加者は7名。隣の人との席の間隔は1.5mありました。しかも前に座っている人とも1.5m離れています。これからの時代は会議室内でもソーシャルディスタンスです。さらに全員マスク着用。
 
そのときに分かったことが2つあります。それは次のこと。
(1)声を共鳴させるべし
(2)滑舌を良くすべし
 
ソーシャルディスタンス時代のビジネス会議や接客販売の場では、今まで通りに話していると相手と距離があるうえにマスクやフェイスシールドを着用しているので、声が小さくなり、しかも不明瞭になるので相手に声が届かないのです。
 
しかし、大きな声を出そうとすると飛沫が飛びます。また喉を傷めやすくなりますので自分自身の感染予防の観点からもよくありません。ではどうすれば声を張り上げることなく、遠くにいる相手にちゃんと言葉を明瞭に届けることができるでしょうか?
 
声を遠くに届けるためのヒントはホイッスル(笛)にあります。サッカーの審判が使うホイッスルはとても小さいものですが遠くまで音が届きます。それは音が共鳴しているからです。このホイッスルの原理は人の発声にも応用できます。
 
人が話をするときには肺から出てきた空気に声を乗せるわけですが、そのままだとストレートに口から声が前にでてしまいホイッスルのように共鳴しません。
 
肺から空気が送り出されてのどの声帯を振動させて音になりますが、イメージとしてはその音をすぐに口から前にだすのではなく、鼻の後ろや、口の空間や頭蓋骨に響かせるようにすると声がホイッスルのように共鳴してあなたの声が遠くまで届くようになります。
 
ではあなたの声を共鳴させるための簡単な練習法を紹介しましょう。これをマスターするとあなたは広い会議室で相手と離れていて、マスクをしていても声を張り上げることなく相手に声を届けることができるようになります。
 
その練習方法は「ハミング法」です。ハミングとは口を閉じて声を出さずに「んーんーんーっ」とか「ふーんっ、ふーん」と鼻歌で歌うあの発声です。正しくハミングができていると鼻のあたりがムズムズして、鼻の両脇に指を当てるとかすかに振動を感じるはずです。
 
このハミングの状態から口を徐々に開けて声に変えていきます。つまり、口を閉じている状態である「んーんーんーっ(ハミング)」に続けて、徐々に口を開けていき「…んわぁぁあーー(口を開けて声を出す)」という発声につなげます。
 
文字で書くとこのようになります。
「んーんーんーっ(ハミング)…んわぁぁあーー(口を開けて声に変える)」
 
もっと簡単に書くと下記です。
「んーーー(ハミング)あーーー(声)」
 
「ふーん」の方がハミングしやすい人はこちらのイメージです。
「ふーーーん(ハミング)…わぁぁあーー(口を開けて声に変える)」
 
このようにハミング(無声音)から声を出す(有声音)に変える練習を続けながら、声を前方向に出すのではなく、口の中の上壁である口蓋(こうがい)にぶつけるイメージで発声する練習を続けてみてください。
 
2週間程度練習していると声を出すときに喉に力が入らず、しかも鼻の後ろにある鼻腔(びくう)と呼ばれる広い空間や口の中、そして頭蓋骨に音が共鳴した響きのある良い声になります。大きな声を出そうとせずに飛沫を飛ばさずに遠くに声を届けられるようになります。



酒井とし夫(2020)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第54回」『センター月報』2020年9月号

感想

マスクを着けながら話す機会が多くなったので、自分の説明がしにくい場面や、相手の声が聞きにくいケースが増えたような気がします。したがって、マスクをしていても、しっかりと自分の意図が伝わるようにするには、 それなりの努力が必要なようです。 酒井先生によると、ポイントは「声の共鳴」と「滑舌」。まずは声が共鳴するようにハミング法から挑戦したいと思います。

なお、滑舌についても説明されていますので、興味のある方は本誌をご覧ください。