新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
内閣府地方創生推進室と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が公開している「 V-RESAS 」をもとに、本日は、サービス業を中心とした新潟県内における消費動向(2020年12~1月)を確認したいと思います。
※V-RESASについては、V-RESASのウェブサイト内の「このサイトについて」および当ブログの「V-RESASの使い方」をご参照ください
人流…滞在人口の動向
まずは「人」の動きから確認してみましょう。
下のグラフで示されている滞在人口とはスマートフォンの特定のアプリケーションから、ユーザの同意を得た上で GPSデータを取得し、滞在人口を推定したデータです。 なお、滞在人口は「平均して滞在していると推定される換算人口数」と明記されています。
新潟県全体の滞在人口をみると、 5月上旬から10月下旬頃にかけて、青色の「市区町村内」の滞在者数が概ね緩やかに低下する一方、緑色の 「都道府県内」の滞在者数が徐々に上向くなど、新潟県内では「市区町村内」の移動から「市区町村間」の移動へと変化している様子がうかがえていました。
しかしながら、感染者数が新潟県内でも拡大し始めた11月に入ってからは、「市区町村内」の滞在者数が横ばいで推移する一方、緑色の 「都道府県内」の滞在者数が前年同週比マイナスに転じています。
また、「都道府県外」の滞在者数は5月上旬を底に持ち直していましたが、10月以降は減少傾向で推移しています。特に2度目の緊急事態宣言が発出された1月以降の数値をみると、前年同週比50%~80%程度のマイナスで推移しています。
宿泊…宿泊者数の動向
次いで「宿泊」の動きを確認してみましょう。
「宿泊者数」は「観光予報プラットフォーム推進協議会」が保有するデータ――具体的には、旅行会社の店頭・国内ネット販売・外国語予約サイトなどの販売実績などをもとにしています。なお、単純には比較できないため、あくまでも参考程度となりますが、観光庁「宿泊統計」の延べ宿泊者数と比較すると、本データは延べ宿泊者数全体の約2割程度をカバーしている計算となります。
新潟県全体の「宿泊者数」(青色)をみると、5月を底に緩やかに持ち直していましたが、9月に前年比プラスに転じた後は大幅な増加傾向で推移しています。特に11月は前年同月比100%の高いプラス幅となりました。これは「Go Toトラベル事業」 や 県内自治体による観光支援策の効果によるものと思われます。
ただし、12月の新潟県全体の「宿泊者数」(青色)は前年同月比16%のプラスにとどまりました。これは感染者数の増加のほか、「Go Toトラベル事業」 の適用が全国で12月下旬頃から一時停止されたことが背景にあります。
現段階では、「Go Toトラベル事業」 の適用は全国において2021年3月7日宿泊分まで一時停止されることが決まっているため、当面、新潟県全体の「宿泊者数」(青色)は低迷することが見込まれます。
飲食…飲食店情報の閲覧数
続いて、「飲食」の動きを確認します。
「飲食店情報の閲覧数」とは月間利用者数4,000万人の「Retty」が保有するデータから、飲食店を利用しようとする人の動向を把握するものです。なお、閲覧数であることから、実際に飲食店に行くタイミングよりも、やや先行するデータである可能性があります。
新潟県全体の「飲食店情報の閲覧数」をみると、青色の「すべてのジャンル」は5月第1週を底に緩やかに持ち直していたものの、新型ウイルスの感染者数が増加した夏場に一時、低迷しました。
その後、8月第2週を底に閲覧数は再び上昇に転じましたが、10月第3週以降は前年同週に比べて低下傾向で推移しており、直近の12月第5週から1月第2週にかけては前年同週比50%前後のマイナスとなっています。特に、ピンク色の「居酒屋・バー」が前年同週比で最も大きなマイナス幅となっています。
感想
新潟県内では感染者数が増加し始めた11月頃から、「人流」や「飲食」、そして「宿泊」の指標が低迷しています。特に12月~1月は消費者の行動が抑制されている面がうかがわれました。
今後も、感染状況を反映しながら、個人消費は慎重な動きが続くものとみられます。