V-RESASでみる新潟県の景気動向(2020年10~11月:個人消費)

新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

内閣府地方創生推進室と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が公開している「 V-RESAS 」をもとに、本日は、サービス業を中心とした新潟県内における消費動向(2020年10~11月)を確認したいと思います。

 

データ、ビッグデータ、デジタル

※V-RESASについては、V-RESASのウェブサイト内の「このサイトについて」および当ブログの「V-RESASの使い方」をご参照ください。

人流…滞在人口の動向

まずは「人」の動きから確認してみましょう。

下のグラフで示されている滞在人口とはスマートフォンの特定のアプリケーションから、ユーザの同意を得た上で GPSデータを取得し、滞在人口を推定したデータです。 なお、滞在人口は「平均して滞在していると推定される換算人口数」と明記されています。

滞在人口の動向

出典:「V-RESAS」および株式会社Agoop「流動人口データ」

新潟県全体の滞在人口をみると、 青色の「市区町村内」の滞在者数が 5月第1週をピークに概ね緩やかに低下する一方、緑色の 「都道府県内」の滞在者数は5月第2週をボトムに徐々に上向いており、新潟県内では「市区町村内」の移動から「市区町村間」の移動へと変化している様子がうかがえます。

ただし、感染者数が県内でも拡大し始めた11月に入ってからは、「市区町村内」の滞在者数が横ばいで推移する一方、緑色の 「都道府県内」の滞在者数が前年同週比マイナスに転じており、新潟県内の人流はやや停滞しています。

宿泊…宿泊者数の動向

次いで「宿泊」の動きを確認してみましょう。

「宿泊者数」は「観光予報プラットフォーム推進協議会」が保有するデータ――具体的には、旅行会社の店頭・国内ネット販売・外国語予約サイトなどの販売実績などをもとにしています。なお、単純には比較できないため、あくまでも参考程度となりますが、観光庁「宿泊統計」の延べ宿泊者数と比較すると、本データは延べ宿泊者数全体の約2割程度をカバーしている計算となります。

新潟県全体の「宿泊者数」(青色)をみると、5月を底に緩やかに回復し、9月・10月と2か月連続で前年を上回りました。特に5月は前年同月比59%増と大幅なプラスとなっています。「Go Toトラベル事業」 や 県内自治体による観光支援策の効果もあり、緑色の「都道府県内」の宿泊者数が10月に前年同月比194%と大幅な増加となったことによるものです。また、低迷が続いていた オレンジ色の「都道府県外」の宿泊者数も前年同月を大きく上回りました。

なお、「宿泊者数」(新潟県全体)を宿泊エリア別にみると、下越、新潟、県央、中越、魚沼、上越、佐渡の全てのエリアで前年比プラスとなりました。これは本統計が「V=RESAS」で公表されるようになった本年1月以降初めの月となります。

予約代表者の居住地ごとの宿泊者数

出典:「V-RESAS」および観光予報プラットフォーム推進協議会(事務局:日本観光振興協会)

また、10月の「宿泊者数」(新潟県全体)を居住地別にみると、新潟県の居住者が全体の29%を占めて最も高い割合となっています。次いで、10月から「Go Toトラベル事業」の対象となった東京都が16%となり、第2位となりました。

旅行者の移動の最新上位10都道府県 

出典:「V-RESAS」および観光予報プラットフォーム推進協議会(事務局:日本観光振興協会)

なお、「宿泊者数」(新潟県全体)を宿泊者の分類別にみると、先月と同様に、緑色の「子ども連れ(子ども=13歳未満)」やオレンジ色の「男女二人(カップル・夫婦)」の伸びが大きくなっています。

宿泊者の分類の前年同月比の推移

出典:「V-RESAS」および観光予報プラットフォーム推進協議会(事務局:日本観光振興協会)

飲食…飲食店情報の閲覧数

続いて、「飲食」の動きを確認します。

「飲食店情報の閲覧数」とは月間利用者数4,000万人の「Retty」が保有するデータから、飲食店を利用しようとする人の動向を把握するものです。なお、閲覧数であることから、実際に飲食店に行くタイミングよりも、やや先行するデータである可能性があります。

新潟県全体の「飲食店情報の閲覧数」をみると、青色の「すべてのジャンル」は5月第1週を底に緩やかに回復していたものの、新型ウイルスの感染者数が増加した夏場に一時、低迷していました。その後、8月第3週を底に再び上昇していましたが、10月第3週以降は前年同週に比べて小幅なマイナスで推移しています。直近の11月第3週をみると、ピンク色の「居酒屋・バー」が前年同週比で最も大きなマイナス幅となっています。

飲食店情報の閲覧数

出典:「V-RESAS」およびRetty株式会社 Food Data Platform

イベント…チケット販売数

最後に、イベントのチケット販売数を確認してみましょう。

「イベント」は、1年間に約7,500万枚(平常時)のチケットを発券するオンラインチケット販売システム「チケットぴあ」の販売実績データが活用されています。

同社のオンラインチケット販売システムには、平常時、音楽・演劇・スポーツ・映画およびレジャーなどの全国約2万件のイベントが登録されており、年間で約7,500万枚のチケットが発券されているそうです。このうち音楽(ポップスやクラシックなど)とステージ(演劇・伝統芸能・お笑いなど)を対象としたデータとなっています。

新潟県のイベントチケット販売数は10月に前年同月比61%減のマイナスとなりました。依然としてマイナス幅は大きいものの、前月までのマイナス幅に比べれば、その幅は縮小しています。感染拡大防止に関する業種別のガイドライン等に沿って、各種イベントが緩やかに開催され始めていることがうかがわれます。

イベントチケット販売数

出典:「V-RESAS」および ぴあ株式会社

なお、新潟県では大規模イベント――「全国的な人の移動を伴うイベント」または「参加者が1,000人を超えるようなイベント」については、新潟県に事前相談してもらうように依頼しています。また、12月1日~ 当面来年2月末まで 、①大声での歓声、声援等がないことを前提としうるイベント(クラシック音楽コンサート等)については、収容率100%以内、 ②大声での歓声、声援等が想定されるイベント(ロック・ポップコンサート等)については、収容率50%以内とする現行制限を維持されているほか、③飲食を伴うが発声がないもの(映画館等)は、追加的な感染防止策を前提に収容率100%以内、④マスク常時着用、大声禁止等の担保条件が満たされていない催物については、引き続き収容率50%以内とされています。詳しくは「新潟県におけるイベントの開催制限及び大規模イベントに係る県への事前相談」等でご確認ください。

感想

上記のデータをみると、極めて緩やかながらも徐々に新潟県内の個人消費が持ち直しつつあることが確認できました。ただし11月以降、県内でも感染者数が拡大しており、それ伴い、消費者の行動も抑制されている面もうかがわれました。今後も、感染状況をにらみながら、個人消費は慎重な姿勢が続くものとみられます。