新潟をまるごと体感「新潟ふるさと村アピール館」「新潟市アグリパーク」

新潟経済社会リサーチセンターの唐橋です。

今回は、新潟県内の文化・風習や 歴史などの情報を発信するとともに、新潟ならではの体験を地域の子供や家族連れ、さらには県外客にも提供している2つの施設の取り組みをご紹介したと思います。

 

家族

新潟ふるさと村 アピール館

新潟県の観光と物産の情報発信拠点

新潟ふるさと村は、新潟県の観光と物産の情報発信拠点です。同時に、観光等の振興を図りながら“ふるさと” に対する新潟県民の意識の高揚を通じて地域の活性化を一層推進することを目的としています。

1991年7月のオープン以来、新潟ふるさと村の累計来場者数は4千万人を超えています。旅行専門雑誌や旅情報サイトなどの「道の駅ランキング」でも常に上位にランクインする人気の観光スポットの一つです。

また、新潟県「平成29年新潟県観光入込客統計」の主要観光地点の入込数でも175万人余りと、県内の代表的な観光拠点といえます。

新潟ふるさと村は、新潟県内の物産やお土産品などを販売する「バザール館」と花畑やふるさと庭園などの屋外施設を併設した「アピール館」の2つで構成されています。特にアピール館は、博物館法における博物館として位置づけられており、四季折々の新潟の情報発信に加え、新潟の暮らしや文化、風習、歴史などについて、様々な展示品や映像などを用いて分かりやすく紹介しています。

ふるさと村の施設の案内図

アピール館では真夏でも降雪体験ができる

アピール館では、エレベーターで3階まで上がり、順路に沿ってスロープを降りてくると、明治から今日に至るまでの新潟県での出来事や暮らしの変遷を、再現された街並みの模型や3D映像、写真などを通じて楽しみながら理解することができます。同時に、新潟県が先人たちの努力や知恵によって、いかにして今日の発展を成し遂げてきたかを窺い知ることもできます。

また、順路の途中にある雪国体験コーナーでは、懐かしい雪国の暮らしの展示と、真夏でも冷たい雪に触れることのできる一番の人気スポットとなっています。この雪は、県内の雪上車メーカーが製造した人工降雪機が降らせている雪です。ちなみに屋内で降雪体験ができるのは、国内ではここだけです。

降雪体験の他にも、新潟ならではの体験メニューが月替わりで用意されています。具体的には、蕎麦打ちや笹団子の笹まきなど、地元の企業や個人の方が講師となり、参加者は、ほぼ材料費の自己負担だけで体験することができます。個人での参加のほか、学校や町内会、子供会での参加も多いことから、たくさんの子供たちが体験教室に参加しており、なかには次の開催を心待ちにしているリピーターも多いようです。

人工降雪機

屋外施設でも新潟ならではの体験が可能

屋外にも、色とりどりの錦鯉をはじめ200匹以上の鯉が泳ぐ池や古民家を配置したふるさと庭園、四季折々の花畑、全天候型のグリーンハウスなどがあります。特に、ふるさと庭園内の“鯉のえさやり” は、屋内の雪国体験コーナーと並んで子供に人気のスポットとなっています。また、中国や台湾などの海外でも錦鯉の人気が高まっていることもあり、海外からの観光客のなかにも、この“鯉のえさやり” を目当てに訪れる人も増えています。

アピール館の入口にも、錦鯉の水槽と全長1㍍の見事な紅白の錦鯉のレプリカが来場者を出迎え、錦鯉の誕生から「泳ぐ宝石」として新潟県を代表する産品となるまでの軌跡(奇跡)も知ることができます。

アピール館は、ここに来ると新潟県の観光や物産、歴史や人々の暮らしなどがすべて分かってもらえる施設づくり・運営が目指されています。これからも、来場者の声を大切にするとともに、県内市町村などと連携しながら、県外の人たちはもちろんのこと、新潟県民に「いつ来ても、何度来ても」楽しみ、親しんでもらえる施設づくりを一層進めていきたいとしています。

新潟市アグリパーク

新潟市の農業と食文化を体感

新潟市南区に2014年6月にオープンした「新潟市アグリパーク」は、4㌶の広大な敷地で、子供たちを中心とした農業体験学習を行なう「教育ファーム事業」を行なっています。この事業に加えて、新規就農を目指す人向けの「就農支援事業」や、食品加工を中心とした農業の6次産業化に関する「食品加工支援事業」などもあります。まさに、子供から農業の専門家までが集う、これまでに例のない農業体験施設です。宿泊施設も有しており、2018年度は前年より1万人増加の18万9千人の来場者となっています。

「就農支援事業」では、農業に興味のある人や農業を少し体験してみたい人、就農に向けた研修を希望する人まで幅広い層に対応した支援プログラムを用意しています。

「食品加工支援事業」では、農業者を主な対象に農産物の加工技術から商品化までの指導を行ない、6次産業化への取り組みを支援しています。2018年度には、食品加工の基礎を学ぶための「食品加工講座」を69回開催し、延べ548人の受講者を迎えました。また、食品加工の分野で豊かな経験を有するスタッフや提携講師陣が、施設内の食品加工支援センターで実践指導にあたっています。

アクセリパークの施設案内図

日本初の公立教育ファーム

「教育ファーム事業」は、農業に触れ、親しみ、学ぶ場を提供する日本初の“公立教育ファーム” です。ここでの農業体験学習は、文部科学省が定めた学習指導要領に基づく授業として認定されています。

学校関係では、2018年度は新潟市を中心に、小・中学校、幼稚園、保育園の延べ189校・園、1万人を超える生徒、児童、園児が来場しました。そして、教育学習プログラムに沿って、体験畜舎での家畜の世話、体験ほ場での作物の作付けや収穫、体験ハウスでの調理や加工食品づくりなど様々な農業体験学習を受けています。

体験畜舎では、牛の乳搾りやえさやりなどを体験することができます。牛などの家畜の世話を行ない、自分たちで絞った牛乳を飲むという一連の体験を通じて、生き物の恵みに感謝をこめて「いただきます」という気持ちを育む内容となっています。

体験ほ場では、季節に応じて、作物の作付けから除草、収穫などの体験を行なうことができます。いずれも知識豊富な専門のスタッフや近隣の農家の人たちの指導の下、農作業を実際に土に触れながら体感してもらいます。

体験ハウスでは、収穫した農作物を使っての調理や、米粉のピザ・ナンづくり、アイスクリームやスムージーづくりなどを体験します。

家畜の世話や農作業を一通り体験し、自分の手で採った牛乳や野菜を調理・加工することで、子供を中心とした多くの市民に新潟市の農業や食文化に触れ、興味・関心を持ってもらえること、加えて、ふるさと新潟への愛着を深め、郷土愛を育むことが期待されています。

体験畜舎

家族連れでの体験も充実

新潟市アグリパークでは、学校の授業だけではなく、家族で一緒に新潟の農業や食文化の素晴しさを体験してほしいとの考えをもたれています。そこで土日・祝日には、牛の乳搾りやヤギ・羊のえさやり、野菜の収穫、調理体験などの様々な体験プログラムを予約不要で行なっています(ただし、野菜の収穫体験と牛の乳搾り体験は事前申込みが必要)。また、青空マーケットや収穫祭などの各種イベントも随時開催しています。

今後も季節に応じた体験型のイベントや農業や食関連の企業と連携したイベントなどを取り揃えることで、家族で楽しみながら、新潟の農と食を学べる機会を提供していきたいとしています。

郷土愛の醸成に期待

今回紹介した両施設とも、県内外の大人はもちろんのこと、新潟県の将来を担う子供たちに様々な貴重な体験・学習の場を提供しています。そして、ふるさと新潟の素晴しさを理解し、郷土愛を育むことに注力してきました。人口減少や少子化が急速に進むなか、県外への若者流出を防ぐうえでも、“新潟をまるごと体感” できる体験施設の取り組みに期待したいと思います。

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「センター月報」 2019年11月号の 「潮流 県内最新トピックス 第25回」を加除修正しました。