新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
さて、毎月23日は「天麩羅の日」なのだそうです。
・天麩羅の日(日本)
元々大暑の日(7月23日ごろ)が「天麩羅の日」となっていたものを、毎月の記念日とした。
「23日」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。
2016年11月10日 (木) 06:46 UTC、URL:http://ja.wikipedia.org/
そこで、明後日の「天麩羅の日」を迎えるにあたり、今日は天ぷらの統計データをご紹介いたします。
なお、総務省『家計調査』では「天ぷら」と「フライ」を合算し「天ぷら・フライ」として、まとめて公表されています。具体的には、ポテトフライ、えび天ぷら、くしカツ、ハムカツ、メンチカツなどが含まれ、冷凍品は除外されています。つまり、天ぷらだけのデータでないことにはご注意下さい。
天ぷらの需要動向
「天ぷら・フライ」のデータについては、生産側のデータが限られるため、総務省『家計調査』を使って需要側のデータのみをご紹介いたします。なお、「家計調査」の見方については、こちらの投稿をご確認下さい。
年間支出金額の推移
まずは、「天ぷら・フライ」に対する1世帯当たりの年間支出金額の推移をみると、長期的には緩やかに増加しています。
月別の支出金額
また、同様に2016年の支出金額を月別にみると、12月に支出金額が特に高くなっています。もしかすると、親族や友人同士で集まるようなクリスマスや大晦日といったイベントの際に、「天ぷら・フライ」などを購入する機会が多いのかもしれません。
年代別の支出金額
さらに、2016年の支出金額を世帯主の年齢階級別にみると、「50~59歳」や「60~69歳」で支出金額が比較的多くなっています。しかも、消費支出に占める割合でみると、「70歳以上」や「60~69歳」で高くなっています。
フライが含まれているので、若年層世代や子供が小さい共働き世代で高くなっていると予想していましたが、実際は高齢世代で支出額が高い傾向がみられました。高齢者の場合、もちろん「天ぷら好き」という面もあるかもしれませんが、1 食当たりの食事量が少なくなったり、世帯人員が減少したりする場合、家庭で調理すると無駄や廃棄につながるケースがあることも影響しているのかもしれません。
地域別のランキング
参考までに1世帯あたりの年間支出額(2014年~2016年平均)を都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別¹にみると、「新潟市」の支出金額が最も多くなっています。全国平均の約1.5倍の金額となっています。以下、第2位が福井市、第3位が富山市、第4位が山形市と、日本海に面した地域が上位となっています。
以前に、揚げ物好きな地域を調べた際にも感じましたが、天ぷら・フライへの支出金額が大きな地域については、①働いている女性の割合が高く、惣菜を購入して料理時間を短縮していることや、②お米好き、あるいはお米を買ったり譲り受けたりする機会が多く、自宅でお米を炊いて食べる傾向が強いことなどが影響しているかもしれません。もちろん、単純に「天ぷら・フライ」好きの影響も大きいと思われます。
まとめ
「天ぷら・フライ」への支出額は私が予想していた以上に高齢世代を中心に増加していました。今後も単身世帯の増加、女性の社会進出、高齢者世帯の増加などが続くと思われるので、「天ぷら・フライ」への支出額は引き続き増加するのではないでしょうか。
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都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意下さい。