新潟経済社会リサーチセンターの神田です。
前回のブログでは、日本企業の海外売上高比率が過去最高を更新するなか、その要因として米州(北米・中米・南米)向けの輸送機械(自動車関連)の輸出が牽引したことをご紹介しました。
15年度の米国向けの自動車輸出額は前年比37%増の4兆5千億円
こうした状況については財務省の貿易統計においても確認することができます。日本の自動車輸出相手国上位10カ国をみると、15年度の米国向け輸出額は前年比37.4%増の4兆4,916億円となっています。また、カナダが同11.2%増の3,001億円と増加基調にあるほか、メキシコも第10位にランクインしています。
▲日本の自動車輸出相手国上位10カ国の推移
なお、総輸出額を日本の輸出相手国別にみると、12年度以降、米国が中国を抜きトップを維持しています。
▲日本の輸出相手国上位5カ国の推移
米国の日本に対する算定関税額は約2,300億円
ところで、日本にとって最大の輸出相手国である米国に対して、年間どれくらいの関税を支払っているのでしょうか。ジェトロの「世界貿易投資報告(2016年版)」によると、米国の日本に対する算定課税額は約23億ドル(約2,320億円)にのぼっています。
▲米国の日本に対する算定関税額(2015年)
さらに品目毎にみると、半数(49.6%)にあたる約11億ドルが自動車関連に該当する「輸送機器・同部品」で占められており、このほか一般機械(約3億㌦)、電気機器(約2億㌦)など幅広い品目で課税がなされています。
終わりに
TPP協定では、発効後、広範な品目で関税撤廃されることが参加国間で大筋合意されています。なかでも、現状、日本とEPAを締結していない米国やカナダ向けでは、TPP協定発効により関税が撤廃される品目が多いことから、その効果は特に大きいと考えられます。日本製品の価格競争力の向上により一層の輸出増加に繋がることが期待されます。