新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
第17回世界水泳選手権大会(2017)がハンガリー・ブダペストで開催されており、今週末からは競泳がスタートします。日本の暑さに負けないくらいの熱戦を期待したいと思います。
そこで、今日は水泳に関する統計をご紹介いたします。具体的には、水泳を日頃楽しんでいる人の数や、競技人口についてお知らせいたします。
※日本生産性本部「レジャー白書2017 」の出版により、参加人口などのデータが更新されたため、2017年10月20日に一部のデータや表現を修正・追加いたしました。
水泳の参加人口
まずは、水泳を楽しむ人の数を確認したいと思います。
そのため、日本生産性本部「レジャー白書2017」¹を活用させていただきます。「レジャー白書」は1979年から毎年実施されている歴史のあるデータです。調査方法や用語の説明などについては、こちらの「明日は映画の日~レジャー白書からみる映画の特徴~」で確認してみて下さい。
「レジャー白書」によると、1年間に1回以上、当該スポーツをおこなった全国の人口を表す「参加人口」は、下の表の通りとなります。このうち、「水泳(プールでの)」の参加人口は2016年で1,020万人とスポーツ部門の第4位となっています。「ボウリング」よりも多く、「トレーニング」を下回る状況です。
水泳の参加人口の推移
続いて、「水泳(プールでの)」の参加人口の推移を確認してみます。
この10年間でみると、概ね緩やかな減少傾向にあることが分かります。「水泳(プールでの)」よりも参加人口の多い「ジョギング、マラソン」や「トレーニング」をみると、年によって上下の変動はあるものの、近年に限ればやや上向いて推移しているのとは対照的な結果となっています。
ただし、2016年の「水泳(プールでの)」の参加率は3年ぶりに増加に転じ、下げ止まりの兆しもうかがえます。
水泳の性・年代別の参加率
さらに、「水泳(プールでの)」を1年間に1回以上おこなった人(回答者)の割合を示した参加率について、2016年時点で性・年代別に明らかにしたのが下の図です。
図をみると、10代の男女で参加率がやや高くなっています。また、その他の年代も他のスポーツに比べれば高い参加率を維持しています。
参考までに6年前と比較してみると、全体的な傾向は変わりありませんが、特に10代の男女と、20代男性での落ち込みがやや大きくなっています。したがって、水泳の参加人口を増やすには、もしかすると、若年層の参加人口増加が鍵になるのかもれしれません。
以上で確認した参加人口は余暇活動の側面もあることから、続いて競技として水泳をしている人の数をみていきたいと思います。
中学での水泳部員数の推移
競技人口については、中学生と高校生の部活動の面からみていきたいと思います。具体的には、公益財団法人 日本中学校体育連盟や公益財団法人 全国高等学校体育連盟の統計により、「スポーツの競技人口」を確認いたします(以下、和暦で表示いたします)。
まずは、中学生の競技人口についてです。日本中学校体育連盟「加盟校調査集計」をもとに、競技別の加盟生徒数(平成28年度)をまとめたのが下の表です。
表のとおり男子については、水泳の生徒数が第10位。女子が第9位となっています。
最近の動きをみると、男子は26年度の生徒数が最も多く、その後、2年連続で僅かながら減少しています。一方、女子は24年度の生徒数が最も多く、それ以降は概ね微減の傾向が続いています。
高校での水泳部員数の推移
次いで、高校生の競技人口についてです。全国高等学校体育連盟「加盟・登録状況」をもとに、競技別の加盟人数(平成28年度)をまとめたのが、下の表です。
表のとおり、男子は水泳(競泳)が21,822人で第13位。女子の水泳(競泳)は12,895人で第12位となりました。その他、水泳(飛込)が男子で52人、女子で35人。水泳(水球)が男子で1,401人となっています。
なお、水泳(競泳)の生徒数は男女とも近年、緩やかに増加しています。
まとめ
水泳の参加人口はスポーツ部門で第4位と人気の高いスポーツとなっています。
一方、水泳の競技人口を調べると、中学生の部活動では男子の生徒数が全体の第10位、女子が第9位。さらに、高校生では男子の生徒数が全体の第13位、女子が第12位となっており、中学生に比べると順位をやや落としています。
正直な感想としては、「中学生と高校生の競技人口はもっと上位なのでは?」と思っていました。屋内プールがないと1年にわたって競技ができないことが影響しているのかもしれません。理由はどうあれ、いつも思うことですが、やはりデータで確認することは大切なのだと改めて実感しました。
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公益財団法人 日本生産性本部「レジャー白書」の統計データを活用させていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
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【追記(2017年10月20日)】
日本生産性本部「レジャー白書2017 」が出版されたことから、一部のデータや表現を修正・追加いたしました。