新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
今月は、新潟県内の商工会様からご依頼をいただき、様々な地域で講演する機会が重なりました。
毎回、ご依頼されたテーマに沿って、事前準備した内容を一生懸命にお話させていただきます。それでも「伝えたいことが聴講者にしっかりと伝わったかどうか?興味・関心を抱いてもらえたかどうか?」については毎回、気を配っています。
もちろん、聴講後のアンケート調査の結果は参考にしています。
しかし、聴講者に話し手の意図が伝わっているかどうかを確認するのに一番良い方法は、当たり前ではあるのですが、自分で話しながら聴講者の反応・態度・表情などを注意深く見る、という気がしています。
こうした考えに至ったきっかけとなる書籍を本日はご紹介したいと思います。
近藤勝重著『必ず書ける「3つが基本」の文章術』
以前、読んだ書籍に以下のような記載があり、「これは、全ての仕事に当てはまる内容だ」と感じた箇所をご紹介いたします。
映画監督の黒澤明氏の遺した言葉は、都築政昭氏によって『黒澤明の遺言(いげん)』(実業之日本社)という本になっていますが、そこにこんな言葉が収められています。
「『相手の話すことをよく聞くこと』。(略)俳優さんは相手の言葉を聞いて、初めて自分のせりふが出てくるわけですから、相手の話していることを聞いてくれないと困るんです」
自分のせりふばかりを覚えている俳優を戒めてのことでしょう。
(中略)
ぼく自身の体験からここに書き記しておきたいのはこんな言葉です。
「聞くは言うに勝る」
近藤勝重(2015)『必ず書ける「3つが基本」の文章術』幻冬舎新書
最後に
ご紹介した書籍を読み終えた後、自分自身がおこなってきた講演やプレゼンテーションなどを振り返るってみると、自分の伝えたいことばかりに集中し、聴講者の反応・態度・表情に目を配れていない時が多かったことに気づきました。
それ以来、できるだけ、聴講者の反応を確認するようにしています。すると、「この点は分かりやすく説明できたようだ」「この点は伝わりにくいようなので次回は改善しよう」といった様々な気づきが得られるようになりました。
もし、人前に話す機会がある場合は緊張感もあり余裕がないかもしれませんが、勇気を振り絞って、聞き手の反応を注意深く確認してみて下さい、きっと、思わぬヒントに出会えると思います。