新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
今日を含めて、今年も残り6日となりました。今年の最終日である大晦日に「年越し蕎麦」を食べる人も多いと思います。そこで、今日は「年越し蕎麦」について調べた結果をご紹介いたします。
年越し蕎麦の由来・歴史
そもそも年越し蕎麦の風習はいつ頃から始まったのでしょうか。
フリー百科事典「ウィキペディア」によると、以下のように説明されています。
江戸時代には定着した日本の風習であり、蕎麦は他の麺類よりも切れやすいことから「今年一年の災厄を断ち切る」という意味で、大晦日の晩の年越し前に食べる蕎麦である
(中略)
年越し蕎麦の起源をさかのぼると、江戸時代中期には商家に月の末日に蕎麦を食べる三十日蕎麦(みそかそば)という習慣があり、これが転じて大晦日だけに行われる年越し蕎麦になったと考えられている。年越し蕎麦に関する記録は江戸中期ごろまで遡ることができ、その当時の江戸では江戸患い(脚気)が流行しており、「そばを食べている人は脚気にならない」という巷説が江戸での蕎麦の流行を後押しした。
年越し蕎麦に関する伝承としては、年を越してから食べることは縁起がよくないとするものや、蕎麦を残すと新年は金運に恵まれず小遣い銭にも事欠くことになるといったものがある
「年越し蕎麦」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。
2016年12月16日 (金) 13:40 UTC、URL:http://ja.wikipedia.org/
どうやら江戸時代には定着していた風習のようです。なお、上記の解説の中に、
新潟県では、大晦日でなく1月14日(小正月の前日)に蕎麦を食べる「十四日(じゅうよっか)そば」や1月1日(元旦)に蕎麦を食べる風習もある。
という表記があります。調べてみると、小千谷地方では1月14日に「十四日そば」を食べる風習があったようです。
全国的な蕎麦の消費動向
続いて、総務省「家計調査」を使って、蕎麦の消費動向をみていきます。なお、「家計調査」の見方については、「地域振興の参考に!吉本佳生著『マーケティングに使える「家計調査」』感想」の投稿をご確認下さい。
日本そば・うどん店への支出金額
それでは、まず年末になると、日本蕎麦店での支出が伸びるかどうかを確認したいと思います。具体的には、1世帯あたりの年間支出金額の推移をみたいと思います。ただし家計調査では「日本そば・うどん」(外食)の項目となっており、うどんへの支出も含まれている点はご容赦下さい。
上の図をみると分かるとおり、月別では「8月」と「5月」の支出金額が多くなっています。もしかすると、夏休みやゴールデンウィークに当たる時期なので、子供を含んだ家族連れで外食する機会が多いことが影響しているのかもしれません。
一方、「12月」の支出金額は4番目となっています。少ない金額ではないですが、特別に大きな金額でもないという結果となっています。もしかしたら、年末の「年越し蕎麦」に備えて、12月上旬から中旬にかけて蕎麦への支出や食べる機会を抑えている人もいらっしゃるのかもしれません。
乾うどん・そばへの支出金額
外食(お店)ではなく、自宅で食べる蕎麦の支出動向を確認したいと思います。
そこで、「乾うどん・そば」への月ごとの支出金額を確認してみましょう。
上の図の通り、「6月」「7月」「8月」の支出金額が大きくなっています。これは冷麦 、そうめんなどが「乾うどん・そば」に含まれているため、暑い時期に需要が膨らみやすいことがあるのかもしれません。
生うどん・そばへつ支出金額
続いて、「生うどん・そば」の支出金額をみていきましょう。
上の図の通り、「12月」の支出金額が最も大きくなっています。1~11月まで、ほぼ季節的な変動がない中で、12月のみ突出して増加している背景には、やはり年越し蕎麦の需要があるのだと思われます。
年齢階級別の支出金額
念のため、世帯主の年齢階級別に年間支出金額をみると、概ね年代の高い層で支出金額が大きくなっています。
日本そば・うどん店
外食については、世代間の差はあまりみられません。それでも最も支出金額の大きな年齢階級は「60~69歳」となっています。
乾うどん・そば
乾うどん・そばについては、「70歳~」で最も支出金額が大きくなっています。「~29歳」の約4倍となっています。
生うどん・そば
生うどん・そばについては、「60~69歳」で最も支出金額が大きくなっています。乾うどん・そばよりも世代間の差はみられませんが、年代が高い世代で支出額が大きくなる傾向はうかがわれます。
都道府県別の年間支出金額のランキング
参考までに、都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別¹の結果もみてみましょう。すると、下の表のとおり、「日本そば・うどん店」「乾うどん・そば」「生うどん・そば」の3部門全てで「高松市」が第1位となっています。これは、蕎麦というよりも、うどんの支出と思われます。さすが「うどん県」ですね。
一方、「新潟市」は「乾うどん・そば」で全国52都市中(政令指定都市を含む)の第7位となっているものの、「日本そば・うどん」店で第48位、「生うどん・そば」で第50位となっています。新潟県内には蕎麦の有名店や有名地域があるため、やや意外な結果となっています。これは「新潟市」の結果であるため、「新潟県全体」でみれば、また違った結果になったかもしれません。
ちなみに、新潟県観光協会のWeb Siteによると、小千谷、魚沼、十日町地域の蕎麦の特集が掲載されていますので、以下の通り、ご紹介しておきます。
新潟県観光協会のWebsite「水に恵まれた米どころは蕎麦もおいしい!」
感想
あくまでも家計調査の結果からみると、年越し蕎麦については、年代の高い層を中心に、生麺タイプの蕎麦を自宅で召し上がっている人が多いのかもしれません。
という私も昨年までは自宅派でした。しかし、今回、年越し蕎麦について調べたことを良い機会に、今年は久しぶりに専門店で食べてみようと思います。
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¹
都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意下さい。
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参考資料:
わたや本店のFacebookページ
https://www.facebook.com/Watayahegisoba/photos
/a.380022055349946.94695.379992442019574/1089014887783989/?type=3