新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
1月に入り降雪が続き、ようやく冬らしくなってきました。雪を待ちわびていたスキーヤーで県内スキー場も賑わっていることと思います。
そこで、本日はスキーやスノーボードに関する統計データを調べてみましたので、その結果をご紹介いたします。
※日本生産性本部「レジャー白書2017 」の出版により、参加人口などのデータが更新されたため、2017年10月20日に一部のデータや表現を修正・追加いたしました。
スキー・スノーボードの参加人口
まずは、スキーやスノーボードを楽しむ人の数をみていきましょう。
具体的には、日本生産性本部「レジャー白書2017」¹を活用させていただきます。「レジャー白書」は1979年から毎年実施されている歴史のあるデータです。調査方法や用語の説明などについては、こちらの「明日は映画の日~レジャー白書からみる映画の特徴~」で確認してみて下さい。
「レジャー白書」によると、1年間に1回以上、当該スポーツをおこなった全国の人口を表す「参加人口」は、下の表の通りとなります。このうち、スキーの参加人口は2016年で330万人とスポーツ部門の第18位。また、スノーボードの参加人口は250万人となり、第20位となっています。
スキーとスノーボードを両方される人も多いと思いますが、参考のためにスキーとスノーボードの参加人口を合わせると、580万人となり、スポーツ部門では第11位に相当します。野球やテニス並みの規模となります。
スキー・スノーボードの参加人口の推移
続いて、スキーとスノーボードの参加人口の推移を確認してみます。
長らく減少傾向をたどってきたスキーの参加人口は2013年以降、横ばいで推移し下げ止まっている状況でした。しかし、2016年は天候の影響もあってか、前年より150万人減少しました。これが一時的な落ち込みにとどまるかどうか、2017年以降の動向を注視する必要がありそうです。
一方、スノーボードは2013年以降、概ね横ばいで推移しています。
スキー・スノーボードの性・年代別の参加率
スキーを1年間に1回以上おこなった人(回答者)の割合を示した参加率について、2016年時点で性・年代別に明らかにしたのが下の図です。
以前にご紹介したバスケットボールやバレーボールと比べると、スキーの10代の参加率は高くありません。当然、気象条件や地理的な要因から球技のように全国どの地域でも気軽に楽しめる訳ではない点などが影響していると思われます。
その一方で、スキーは特に男子で40代以降の参加率が高くなっています。高齢になっても参加できるスポーツであることを表していると思います。
なお、5年前の2011年に比べると、各年代で参加率が低下していることが分かります。特に男性・30代~50代の低下が大きくなっています。
続いて、スノーボードの参加率を性・年代別に明らかにしたのが下の図です。10代よりも20代と30代で上昇しており、他のスポーツとは異なる特徴がみられます。
スキー・スノーボードの居住地域別参加率
最後に、スキーとスノーボードの参加率を居住地域別に確認してみましょう。
全国を24の居住地域に分けて参加率をまとめたのが、下の表です。サンプル数が少なく、調査年によって順位の変動が大きいため、あくまでも参考程度ですが、スキーの参加率については第1位が「北海道」となっています。以下「埼玉」「北東北」などが続いています。私たちが住む「新潟」は昨年、第1位でしたが、2016年は第6位にとどまりました。
一方、スノーボードの参加率については第1位が「新潟」となっています。以下、「岐阜」「長野・山梨」などが続いています。
まとめ
ここまでの分析から、スキーとスノーボードの参加人口は年によって違いはあるものの近年、概ね横ばいで推移していることが分かりました。
今後、参加人口をより一層増やすには、どのスポーツにも言えることですが、10~20代の若年層での参加率上昇が欠かせないと思われます。やはり若年層で体験すれば、その後も生涯にわたってスキーやスノーボードを楽しんでもらいやすくなるからです。実際、株式会社リクルートホールディングスなどが各スキー場と連携し、19歳のリフト券を無料にする「雪マジ!19~SNOW MAGIC~」に取り組むなど、既に様々な工夫が進められています。
また、以前はスキーをしていたけれども今はしていない「中断者」の掘り起こしも大切だと思われます。観光庁「スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会」の中間報告をみると、ここ最近5年以上スキーを実施していない「中断者」が全体の45.0%となっており、特に40~50代では59.3%にまで達しています。
こうした40~50代を取り込むとともに、先ほどの若年層へのアピールを強めていくことで、スキーとスノーボードの参加人口が増えることに期待したいです。
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公益財団法人 日本生産性本部「レジャー白書」の統計データを活用させていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
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【追記(2017年10月20日)】
日本生産性本部「レジャー白書2017 」が出版されたことから、一部のデータや表現を修正・追加いたしました。