3分でわかる!新潟県上場企業の中間決算概況(2019年8、9月)

新潟経済社会リサーチセンターの近です。本日は新潟県内の上場企業の中間決算の概況についてご紹介します。

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前年同期と比べて、増数増益の企業は少数にとどまる

11月15日に新潟県内の上場企業の中間決算(8、9月)が出揃いました。

今回の中間決算において、増収増益となったのは12社(うち1社は最終赤字幅縮小)と、全体の約4割となりました。増収増益となった企業の数は18年度中間決算で15社と全体の6割近くを占めていたことと比較すると、その企業数が減少しています。

特に製造業では売上高が減少した企業が多くみられました。製造業の中で増収となった企業は前年度11社(全14社)であった一方、今年度は6社(全13社、前年度と比較可能な企業)にとどまっています。

製造業は天候や外需などを要因に、好調だった前年の反動がみられる

製造業では、売上高が減少した要因として①前年猛暑で特需があった反動に加え、天候不順が続き販売が低迷した、②米中貿易摩擦などを背景に海外からの受注が減少したといった点を挙げる企業が多くみられました。

新潟県が発表している鉱工業生産指数(原指数)をみても、生産水準は19年3月から7カ月連続して前年を下回っており、前年と比べ製造業がやや軟調に推移していることが示されています 。

新潟県鉱工業生産指数(原指数・前年比)

(資料)新潟県「新潟県鉱工業指数」

一方、首都圏を中心とした堅調な建設需要を取り込んだ企業や効果的な販売促進が奏功し売上高を伸ばした企業もみられました。

利益面をみると、人件費の上昇や販売促進を目的とした広告宣伝費の増加、また為替相場がやや円高方向で推移したことから前期計上していた為替差益がなくなり、為替差損を計上することになったことなどが利益圧迫要因として挙げられました。

非製造業は小売業を中心に、堅調な決算内容

非製造業は、前年に猛暑による特需があった反動や災害による客数の減少といったマイナス面もあったものの、消費増税前の駆け込み需要などにより、小売業を中心に堅調な決算を発表する企業が多くみられました。

一方、建設業では減収となった企業がやや目立つものの、工事の完成時期による一時的な要因を挙げる企業が多く、国土強靭化にともなう公共工事の受注増加や首都圏などでの建設需要を背景に業況は底堅さを維持していることがみうけられます。

利益面をみると、非製造業においても人件費の上昇が大きく負担になっているようです。また、災害の影響もあり輸送コストが増加したこと、消費増税にともなうシステム改修費用なども利益を圧迫しています 。

製造業を中心に企業業績はやや陰りがみられており、県内企業では今回の中間決算発表時に通期の業績予想を下方修正する動きが複数みられました。米中関係の不透明感や消費増税後の消費低迷といった懸念材料が広がるなか、年度末に向けて慎重な先行き見通しを示す県内企業が多くみられます。

2020年2、3月期に向けて

国内および県内経済は、米中貿易摩擦などの影響により海外需要の低迷は続くとみられるものの、首都圏を中心とした非居住用の建築需要や国土強靭化にともなう公共工事が引き続き堅調であることから内需が下支えするため、急速な落ち込みは避けられるとみられます。また、消費増税による個人消費の落ち込みは一部にみられていますが、軽減税率制度など政府による各種経済対策の効果もあり、長期化する可能性は低いとの見通しが大方の予想となっています。

ただし、雇用・所得状況には注視していく必要があるとみています。県内の有効求人倍率は高水準ながら低下傾向にあり、雇用の先行指数である新規求人数をみると、製造業は19年2月から9カ月連続で前年を下回っています。企業へのヒアリングでも、製造業のなかには「受注が減少し稼働がやや落ちているため、以前に比べると人手不足感が和らいでいる」など、労働需給の緩和がみられつつあります 。

今後、景気が減速し雇用情勢が悪化することになれば、企業の利益圧迫要因となっている人件費の上昇は抑制される可能性がある一方、人手不足感からこれまで進められてきた省力化投資などの設備投資意欲の減退などが懸念されます。これまで雇用状況の改善が土台にあったことで、海外経済の減速といった影響がありながらも県内経済が落ち込むことはありませんでした。今後、企業業績だけでなく、県内経済全体の動向をみていくうえで雇用状況を把握していくことが一層大切になってくると考えています。