「県内サービス産業におけるICTの活用とポイント」に関する調査レポートをまとめました

新潟経済社会リサーチセンターの神田です。

現在、サービス産業は日本のGDPの約7割を占め、就業者の6割強が従事する一大産業とされています。その一方で、製造業などと比べると労働生産性は相対的に低いといわれています。そうしたなか、サービス産業においても業務効率化を図りながらサービス品質の向上や顧客満足度を高めるために、ICTを活用する企業が増えつつあります。

そこで今回は、サービス産業におけるICTの活用状況などについて、簡単にご紹介したいと思います。なお、県内でのICTの活用事例など詳しくは、センター月報11月号「県内サービス産業におけるICTの活用とポイント」をご覧ください。

 

サービス業 ict 調査

そもそもICTとは

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略称で、一般に「情報通信技術」と訳されます。IT(Information Technology:情報技術)とほぼ同じ意味ですが、ITが情報技術そのものを指すのに対し、ICTは通信技術の活用方法や通信技術を使ったコミュニケーションを指す場合が多くなっています。

また、近年はITよりもICTと表現するケースが増えてきています。なおICTは、電子メールやSNS、ネットショッピングの利用など、既に身近な生活で使われる一方、企業でもさまざまな業務効率化、生産性向上に活用されています。

サービス産業におけるICTの活用

企業におけるICTの活用状況を示した統計がないことから、参考までに独立行政法人 中小企業基盤整備機構がまとめた「IT導入に関するアンケート調査報告書」をみると、サービス産業でITを活用した業務効率化・生産性向上に「取り組んでいる」と回答した企業の割合は39.8%となっています。

一方「取り組んでいないが、検討中である」が25.8%、「取り組んでいない」が34.4.%となっています。製造業と比べると「取り組んでいる」の割合は6.7ポイント低く、「取り組んでいない」の割合は8.9ポイント高くなっています。

サービス産業におけるICTの活用事例

このように、製造業と比べてサービス業ではICTの活用が遅れているものの、近年、ICTを活用し省力化や業務効率化を進める取り組みが活発になっています。

例えば、医療・福祉では、従来、手書きしていた各種書類の作成をシステム化して、職員の作業負担の軽減に繋げています。また対個人サービスでは、店舗管理システムから得られたビッグデータを分析し、店舗のスタッフの機動的な配置調整等に活用しています。

新潟県における活用事例

県内でも業務効率化を図りながらサービス品質の向上や顧客満足度を高めるためにICTを活用する事例がみられます。

1.株式会社 花安 新発田斎場


同社ではICTを活用し、紙の顧客台帳を電子データとして記録することにより、葬儀履歴などの顧客情報の検索から顧客へのサービス提案に至るまでの一連の作業時間をICT導入前と比べて8割程度削減しています。

2.環境をサポートする株式会社 きらめき

同社では従業員間の情報共有化、業務効率化に向けて「グループウェア」を導入しています。中でも「スケジュール管理機能」では行き先の管理や日程組み替えなどスケジュール調整に費やす時間を導入前と比べて6割ほど削減しています。

3.新発田駅前 ひらた内科クリニック

同クリニックでは、2年前から慢性疾患の患者を対象にオンライン診療を行なっています。時間的な制約により診療時間内に通院できない患者が、定期的な診察を受けられるように、患者の利便性向上に繋げています。

おわりに

情報通信技術の進展にともない、スマートフォンやタブレットはもとより、クラウドサービスなどのICT機器は、近年、誰でも利用しやすい環境となっています。そうした環境のもと、今回事例で紹介した企業では、自社の業務に適したICTを活用することにより、さまざまな経営課題の解決に繋げています。

近時、新型ウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、テレワークの導入などにより業務の効率化等に取り組む企業は増えつつあります。また、政府も「デジタル庁」の創設などデジタル化の推進を打ち出しています。こうした状況を踏まえ、県内企業はICTなど新たなデジタル技術の積極的な活用により、一層の業務効率化や生産性向上などの経営課題を解決していくことが求められます。