新しいファンの獲得を目指す新潟清酒ブランド

新潟経済社会リサーチセンターの尾島です。

本日は新潟県酒造組合様の最近の取り組みについて、ご紹介いたします。

 

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新潟清酒の蔵元数

新潟県は、全国屈指の清酒の産地として知られています。その背景には、夏には高温多湿から生まれる良質の酒米、冬は雪国越後の醸造に適した雑菌の少ない厳寒期と春の雪解けの伏流水から生まれる酒造に適した地下水があります。そして酒造りの伝統の技と近代的な施設など酒造りを支える風土と酒蔵の技術がありました。

新潟清酒といえば「新潟淡麗」といわれます。綺麗で、雑味がなくてすっきりしたお酒のことをいい、代表的な新潟清酒を形容する言葉です。そして、現在は「淡麗」であっても「辛口」「甘口」や「うまくち」という味わいにも対応した製品が開発されています。

県内には2020年11月現在で88と全国一の蔵元数があります。大きな蔵から、中・小規模クラスまで様々な大きさの蔵があり、昔から酒造りの技を競い合ってきました。本県の特徴として、高級酒である特定名称酒(本醸造酒、純米酒、吟醸酒など)の出荷量比率が全体の約7割を占め、さらにその量は全国1位であることがあげられます。

新潟清酒の出荷量

なかでも、吟醸酒(含む純米吟醸酒)においては、全国約2割のシェアを占め1位となっていますが、その量は圧倒的なものであり、高級酒分野での高いプレゼンスを示しています。まさに、蔵毎に特色のある高品質なお酒を生産し販売するやりかたが、本県酒造業界の大きな特徴といえます。

新潟県酒造組合の取り組み

新潟県酒造組合の取り組みについて、酒造組合の水間秀一専務理事に取材いたしました。

新潟県酒造組合の概要

  • 業務内容:新潟県酒造組合(新潟市)
  • 主な事業:新潟清酒の普及・啓発、情報発信、にいがた酒の陣、新潟清酒検定運営
  • 会長:大平 俊治

県内酒造業界の現況

新潟県の2019年の清酒出荷量(課税移出数量)は、37,773klで、兵庫、京都に次いで全国第三位です。全国の清酒出荷量は20年以上も右肩下がりであり、新潟も減少傾向が続いています。しかし、88蔵もの蔵元による多様な日本酒ニーズへの対応によって全国におけるシェアは4%の時代から現在は8%台で推移しています。

県・大学・組合の連携による日本酒学の開講

2017年5月、日本酒にまつわるあらゆる学問分野をカバーする「日本酒学」を構築して国際的拠点をつくり、その発展に寄与することを目的に、新潟県・新潟大学・新潟県酒造組合の3者で連携協定を締結しました。18年4月に「日本酒学センター」を設置し、世界で初めての「日本酒学」の講座を開講しました。組合からは、様々な形で設置支援をするだけでなく、組合員を講師として派遣しています。

組合としては、毎年300人10年で3千人の日本酒学を学んだ学生が国内外で日本酒学の伝道師として広めてくれることを期待しています。さらに、清酒銘醸地「新潟」からの発信により日本の清酒がワインのように世界中に親しまれる飲み物となることを目指しています。

酒の陣で新潟清酒のファンづくり

組合は、新潟清酒のファンづくりに向けて、県内の大半の蔵元が新潟市の朱鷺メッセで来場者に試飲と購入の機会を提供する「にいがた酒の陣」を毎年開催しています。初回の2004年から昨年までに東日本大震災の11年と新型ウイルス感染症予防のため中止を余儀なくされた20年を除き毎年3月の土日2日間に計15回開催してきました。21年3月もやむなく中止となったが、19年には、81の蔵元が参加し、入場者数は14万1,611人と過去最高の入込数となりまた。

にいがた酒の陣

新潟清酒の輸出拡大で日本酒を世界に

日本酒の国内需要が頭打ちとなるなかで、新潟清酒の海外輸出が増加しており、2019年度には75の蔵元が2,461klを輸出しています。輸出先は、アメリカが第一位を占め、次いで韓国、香港・マカオが続き、この3地区で全輸出量の70%強を占めています。

海外輸出を手掛ける蔵元は、1991年には10蔵だったが、2019年現在では75蔵まで増加しました。輸出先としては、アメリカが最も多いですが、2010年台から毎年香港で開催するイベントが契機になり、多くの蔵元が輸出に取り組みはじめました。

新潟県清酒輸出量

新潟清酒学校での技能者養成の取り組み

新潟県酒造組合では、早くから酒造りの中心を務める杜氏の高齢化にともなう減少が、新潟清酒製造技術の伝承に大きな支障をきたす深刻な問題となることを認識していました。その対応として新潟県醸造試験場と協力して、全国に先駆け1984年(昭和59年)に新潟清酒学校を設立しました。

生徒は各蔵から社長の推薦を受けた35歳以下の従業員で将来的に蔵の製造部門を担う技能者を募集しています。年間100時間を3年間かけて学び技能士検定の資格を取得します。卒業生は既に500人を超え、県内88蔵のなかで38の蔵で清酒学校の卒業生が杜氏となっています。卒業生の間で築かれた親密な関係により、製造上の悩みや問題点が共有されることで、新潟清酒業界全体の製造技術のレベルアップにも寄与しています。

また、一般消費者を対象とした「新潟清酒達人検定」を毎年実施しています。感染症拡大に伴い、「銅の達人」「銀の達人」の検定試験はオンラインで行うこととし、21年2月13日に実施する予定です。

まとめ

新型ウイルス感染症の拡大により、県外観光客の減少、宴会や歓送迎会の自粛から、小売店、飲食・宿泊施設の売上減少は、県内酒造業界にとっては大きな打撃となっています。

そこで、11月末から2021年1月末まで新潟清酒購入者が抽選で新潟清酒や飲食券の当たる「エンジョイ!新潟清酒キャンペーン」を実施し、県内の新潟清酒の消費を喚起しています。また、新潟市が企画する新潟市内7つのホテルでの食事会では、県内43の蔵が清酒の試飲提供並びに販売を実施する予定です。

組合では、新型感染症拡大による難局においても後ろ向きにならず、県内の自治体・大学や、飲食・宿泊施設との連携によって、この難局を乗り越えていきたいとしています。