3分でわかる!新潟県の公共工事請負金額の長期時系列推移

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

当センターでは、景気に関する各種指標をみて前年や前月の数値と比べながらその動向を確認し、県内の企業様へのヒアリング調査やアンケート調査の結果と合わせて、毎月、新潟県経済の基調判断を発表しています。そのため、短期的な動きに目が向きがちになることもあるので、長期的な動きも並行しながら景気の状況をとらえるように心がけています。

そこで、本日は公共投資を例に取り上げて、短期と長期の動きをみてきたいと思います。

 

短期的にみた新潟県の公共工事請負金額

まずは、短期的にみた場合の新潟県内の公共工事請負金額をみていきます。

東日本建設業保証株式会社(※)が毎月公表している「前払金保証実績からみた公共工事の動向」をみると下のグラフのとおり、県内の公共工事請負金額は2020年に入ってからほぼ一貫して減少していることがわかります。このことから、当センターでは公共投資の基調判断を7カ月連続で「減少している」としています。

(※) 国や地方公共団体が工事の着工資金として建設業に支払う前払金を保証する事業などを主におこなっている会社

 

長期的にみた新潟県の公共工事請負金額

次に長期的な推移をみていきます。

下のグラフをみると、一時的に増加した年度もあったものの、1998年度をピークに減少傾向にあり、近年では概ね1年度当たり3,000億円前後での推移となっています。

公共工事の内容・金額は国や地方自治体の予算で決められます。政府・自治体の政策方針や財政状況、景気動向等によって公共工事関連の予算額は大きく変化します。また、近年は台風や地震といった自然災害が多発しており、当初予算に組み入れていなかった復旧工事のために大型の補正予算が組まれることも増えています。

 

(資料)東日本建設業保証㈱新潟支店「前払金保証実績からみた公共工事の動向」

例えば、97年には金融危機が発生し経済対策として公共工事を増額したことから、翌98年度の公共工事請負額は大きく増加しました。その後、2001年に誕生した小泉政権では財政再建・構造改革が重視された政策が進められ、公共工事関連予算の削減が続きました。ただし、新潟県では04年に新潟県中越地震が発生し復旧工事が必要となったことから、翌05年度の県内の公共工事請負額は増加に転じました。

その後、09年からの民主党政権でも、公共工事関連予算の縮小傾向が続きましたが、13年から政権についた安倍政権では「震災復興・国土強靭化」が掲げられ、再び公共投資への予算配分が大きくなりました。一方、新潟県では19年度予算において「一段加速した防災・減災対策の推進」が重要項目としてあげられ公共工事関連予算が前年度比増額されたものの、20年度予算では厳しい財政状況を踏まえ行財政改革の一環として公共工事関連予算も減額となりました。

月別の公共工事請負金額の推移

公共工事請負金額の動きを月別にみると、月ごとの差が大きくなっています。

具体的には、3~4月にかけて山がみられます。これは、建設従事者の人手不足が深刻化するなか、建設工事の繁忙期と閑散期との差を縮小するため、国や自治体が年度初の早期発注を計画的に行なっていることの表れとみられます。一方、10月から2月にかけて低迷しているのは、積雪が多い県内で冬場の工事が難しいといった背景がある模様です。

 

(資料)東日本建設業保証㈱新潟支店「前払金保証実績からみた公共工事の動向」

まとめ

自然災害が多い日本にとってインフラ整備は不可欠です。したがって、維持修繕費を中心に一定の公共工事は続くと予想されます。一方、国や自治体の財政が厳しい状況にあることもあり、公共工事関連予算が今後大幅に増加し続けていくことは難しいとみられます。また、建設従事者の高年齢化や人手不足が続くなか、公共工事を増やしても請け負うことができず工事の進捗が思うように進まないといった事象も出てきているようです。

県内の建設関連の企業様からは「国や自治体予算が新型ウイルス対策への配分に厚くなり、公共工事への配分が少なくなることを懸念している」など受注減少を不安視する声がある一方、「土木の技術者が不足しているため受注することができない」といった声のように人手不足による受注制約もみられています。

県内は全国的にみても建設従事者が多く、公共工事が県内経済に与える影響が大きいことから、今後も公共工事の推移に注目していきたいと思います。