1年間の休学と海外インターンシップ

私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、井門観光研究所の井門隆夫先生より、地域活性化や観光振興などに役立つヒントやアイデアをご紹介いただいております。

今月の「センター月報12月号」では、地域DMOが目指すべき方向性についてご紹介していただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。

 

インターンシップ

 

若者は社会で育つ

大学は学問の場である。という答えは正答である。しかし、学生に学ぶ目的がないのである。連日のように「やりたいことがありません」といってくる学生が後を絶たない。それも就職活動を控えた3年生である。
 
そうした学生を毎年目の当たりにしてきたので、数年前からそうした学生の背中を押し、1年間の休学と海外インターンシップを勧めるようにしている。学修活動は教室でなくてはならないということはない。ゼミの11人中、昨年は3人、今年も5人が海外に飛び立つ。すると、変わるのだ。やりたいことに自信を持って帰ってくる。
 
インターン先としてはホテルやゲストハウス、レストラン等、観光地での現場(もちろん英語と現地語しか通じない)を選んで紹介する。私からの紹介だけでは足りないので、インターン先紹介会社も活用する。
 
そうすると、日本に戻ってきてから、やりたいことが明確となり、それも大都会ではなく(インターンで働いた場所のような)地方都市で働くことが現実的な選択肢に入ってくる。
 
これを、日本の地域でもできないかと画策している。なぜ日本でできないかというと、協力者がなかなかみつからないためだ。
 
来年、アジアで1年間働いた学生が戻ってきて、就活をせずに起業準備をしたいと東海地方の旅館でアルバイトする予定だ。まだ4年在学中のため毎週のゼミがあるのだが、それはオンラインで参加する。旅館では、1軒小さな宿を任され、インバウンドを主体とした集客から運営まで一切を仕切ることになっている。そう簡単にはいかないだろうが、アジア留学中にがむしゃらに本を読んだり、ホテルやゲストハウスのオペレーションを学んだりしてきて、あとは試すのみのようなので少し期待している。
 
都会の企業は、新卒採用のために長期インターンシップがあたりまえになりつつある。しかし、地方の企業は、大学の集積地と離れているためにどんどん差がつくばかり。それを解決するために、1年休学してのインターンシップを受け入れる仕組みやプログラムを作っていけないだろうか。あるいは、1年休学をして海外で武者修行をした学生に、起業に向けた練習台を用意していただけないだろうか。
 
これからの地域を支える人材を養成するためには、これまでにない仕組みや、大学や学生への提案力が求められている。むしろ、それができた地域から、人材還流が始まるような気がしている。
 
人口が増えた高度経済成長期には地方から都市に多くの人が出ていった。そして人口が減少していく今後、地方に人を戻すことが、社会化の機会を増やし、次世代の人材を養成することにつながると思っている。


井門隆夫(2019)「観光イノベーションで地域を元気に 第32回」『センター月報』2019年12月号

感想

若者を地方に呼び込もうとするならば、当然ながら、都会や他の地方と同じのよう取り組みをしているだけでは、足りないようです。「そこまでするのか!」という思い切った受け入れ体制やインターンシップの枠組みが大切なのだと感じました。