新潟経済社会リサーチセンターの唐橋です。
消費者向け・企業向けともオンライン取引は拡大基調にあります。
こうした中、新型ウイルスの感染拡大に伴い、県内の事業者のなかでもオンライン取引に注力することで、新たな取引開拓につなげようとするうごきがみられるようになってきています。そこで、今回と次回に分けて県内企業の取組事例をご紹介したいと思います。まずは、業務用のオンライン取引に取り組む県内企業の事例をお伝えいたします。
KANAGATAYA(燕市)
農業機械メーカーのフジイコーポレーション(燕 市)では、プレス金型のメンテナンスや修理などに特化し、そのための商談や受注を原則オンラインで行な
う取り組みを新規事業として始めています。この事業を 「KANAGATAYA」という名称で2020年2月に立ち 上げました。
近年同社では、取引先からの金型のメンテナンスや修理などの相談件数が過去に比べて多くなってきていると感じていました。この背景の一つとして、金型メーカーの減少が続くなか、金型の製造元にメンテナンスや修理を持ち込めずに苦慮する製造業が増えつつあるのではないかと同社では考えました。そこで、これまで培ってきた自社の金型に関する技術力を活かして、他社が製造したものを含む金型の修理などに特化した事業に進出しようと考えたことが
「KANAGATAYA」 開始のきっかけとなっています。
具体的には、専用ホームページを作成し、そのホームページからの修理や見積依頼などに対し、原則オンラインで取引を行なう仕組みとなっています。例えば、修理などの対象となる金型の写真や動画を依頼主から見せてもらったうえで、見積書を提示し、商談を進めています。
「KANAGATAYA」の立ち上げから約半年が経過するなか、問い合わせや見積依頼が徐々に増えてきています。半年間の受注実績の多くが、これまでの同社の技術力や信頼性に基づく口コミによるものです。同社は、オンライン取引の利点を活かしつつ、従来の取引に基づく口コミを大切にしながら、この新規事業を大きく育てていきたいとしています。
次回は…
オンライン取引は受注の拡大に加えて、感染防止対策にもつながっているようです。
次回は消費者向けの取組事例をご紹介したいと思っています。
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「センター月報」 2020年11月号の 「潮流 県内最新トピックス 第29回」を加除修正しました。