新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です。
新潟県が2017年9月に県内の地価調査地点540地点の地価調査結果を発表しました。「地価調査」とは都道府県が毎年7月1日現在における「基準値」の単位面積当たりの正常価格を判定し9月に公表する調査です。本日はこの地価調査の結果についてご紹介いたします。
なお、同じような調査で「公示地価」がありますが、こちらは、毎年1月1日時点の調査となり、国土交通省が3月中旬頃に公表する調査となっています。価格の性質や目的、評価方法はほぼ同様となっておりますが、上記のとおり、調査主体と調査日が異なっています。
新潟県内の地価下落幅は6年連続で前年より縮小
17年の新潟県の地価を「全用途平均」「住宅地」「商業地」の順にみていきたいと思います。
県内の「全用途平均」は平成8年以来22年連続の下落となりましたが、下落幅は6年連続で前年より縮小しました。
価格が上昇した地点は47地点(前年35地点)となっており、前年に比べて12地点増加となりました。
また、新潟市、長岡市、上越市の県内3主要都市の全用途平均は全ての地域で下落幅が縮小しています。
特に新潟市は前年比▲0.1%と概ね横ばいとなっています。要因として新潟市中心部では長年の不動産価格下落により値ごろ感のある物件がでてきていることや、新潟市中心部の再開発も進んでいることなどが考えられます。
(資料)新潟県土木部「平成29年度新潟県地価調査のあらまし」
新潟県の住宅地の地価動向
次いで、新潟県の住宅地の平均地価をみると、前年比▲1.6%と20年連続で下落となりましたが、下落幅は0.1ポイント縮小しました。
上昇地点の多い地域をみると新潟市中心部へのアクセスが良く、近くに商業施設などがあり利便性の高い東区(同1.1%)や江南区(同0.6%)などで上昇率が高くなっています。
また、住宅ローン減税や住宅ローン金利が低水準で推移していることなども宅地需要の下支えとなっていると思われます。
新潟県の商業地の地価動向
最後に、新潟県の商業地の平均地価をみると、前年比1.7%と25年連続で下落となりましたが、下落幅は0.4ポイント縮小しました。商業地で価格が高い上位10地点をみると、7地点が新潟駅周辺となっており、新潟駅周辺整備事業などの再開発が進んでいる地域での堅調さが伺えました。
また、新潟市の変動率は前年比0.0%と下落から横ばいとなりました。
今後も、新潟駅周辺ではビジネスホテルやオフィスビルなどの開発も予定されていることから、ますます利便性が向上して地価に影響を与えていくものと思われます。
まとめ
今回の地価調査の結果をみると、県内の地価は概ね下げ止まりつつあると思われます。
また、新潟市の商業地では変動率が前年比0.0%と下落から横ばいとなった象徴的な年となりました。一方で、人口減少が続く地域では空き家の増加が見込まれるなど地域によって地価動向に差が広がる可能性もあると思われます。
※詳細は新潟県土木部「平成29年度新潟県地価調査のあらまし」を参考にしてください。