新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です。
当センターでは毎月、新潟県経済の基調判断を発表しています。
当センターが独自に行っている 県内の企業様へのヒアリング調査やアンケート調査と、毎月発表される経済指標を通じて、 県内の景気動向を分析し基調判断をおこなっています。
そこで、今回は1月の基調判断を紹介します。
1月の基調判断:緩やかに持ち直している県内経済
〇設備投資は緩やかに増加している。
〇生産活動や個人消費は緩やかに持ち直している。
〇住宅投資は持ち直しつつある。
〇公共投資は減少している。
〇総じてみると県内経済は緩やかに持ち直している
1月は上記のとおり判断しました。詳しくは「グラフで見る県内経済」をご覧ください。
新潟県内の住宅投資の動向
1月の県内経済の基調判断は、住宅投資を「下げ止まりつつある」から「持ち直しつつある」に表現を変更しています。
そこで、今月は住宅投資の統計をみていきたいと思います。
国土交通省が毎月発表している「建築着工統計」をみると、12月の新潟県の新設住宅着工戸数は前年比10.5%増と2カ月ぶりに前年を上回りました(図表1)。
それぞれ内訳をみると、
〇持家の着工戸数は、前年比46.0%増の559戸となり、2カ月ぶりに前年を上回った
〇貸家の着工戸数は、前年比3.6%減の405戸となり、2カ月連続で前年を下回った
〇分譲の着工戸数は、前年比33.3%減の116戸となり、2カ月連続で前年を下回った
となっています。相続税対策の需要が一巡したことなどから貸家は減少傾向にあるものの、持家は人気のあるエリアを中心に堅調に推移しています。
▲図表1.新設住宅着工戸数(前年比、利用関係寄与度)
また、2018年10―12月期の3カ月移動平均でみても前年比6.4%増となっていることから、「持ち直しつつある」と基調判断を変更しました(図表2)。
▲図表2.新設住宅着工戸数(前年比・3カ月移動平均)
まとめ
足元で県内経済は緩やかに持ち直している状況にありますが、県内企業からは、「足元の生産活動は高水準で推移しているものの、米中貿易摩擦の影響などで海外からの新規受注が減少しつつあるように感じる」(はん用・生産用・業務用機械)、「中国向けの受注が年末から落ち込んできているように感じる」(電子部品・デバイ図)といった声も聞かれ始めてきています。今後、それらの懸念材料が県内企業にどの程度影響を与えていくか注視していく必要があります。