新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です。
当センターでは毎月、新潟県経済の基調判断を発表しています。
当センターが独自に行っている 県内の企業様へのヒアリング調査やアンケート調査と、毎月発表される経済指標を通じて、 県内の景気動向を分析し基調判断をおこなっています。
そこで、今回は9月の基調判断を紹介します。
9月の基調判断:緩やかに持ち直している県内経済
〇設備投資は緩やかに増加している。
〇生産活動や個人消費は緩やかに持ち直している。
〇住宅投資は弱含んでいる。
〇公共投資は減少しつつある。
〇総じてみると県内経済は緩やかに持ち直している
9月は上記のとおり判断しました。詳しくは「グラフで見る県内経済」をご覧ください。
県内の設備投資について
9月は「設備投資」についてみていきたい思います。
まずは、国土交通省が公表している『建築着工統計』をみると、8月の非居住用建築物の着工床面積は92,864㎡と前年を17.8%上回っており、3カ月連続で前年を上回っています。また、用途別での非居住用建築物の着工床面積をみると、製造業用建築物が40,285㎡と最も広くなっており、次いで、卸売業・小売業用建築物が11,023㎡、医療・福祉用建築物が10,001㎡などとなっています。
非居住用建築物の着工床面積(前年比)
▲国土交通省『建築着工統計』
2018年度の設備投資の見通し
つづいて、日本銀行新潟支店が2018年10月1日に公表した「新潟県 企業短期経済観測調査結果(2018年9月)」をみると、県内企業の18年度(計画)の設備投資額(含む土地投資額)は、17年度比16.5%の増加見込みとなっています。
業種別にみると、製造業は受注好調に伴う能力増強や人手不足に対応するための大規模な効率化などから、前年度比17.2%増加の計画となっています。また、非製造業は需要増加に対応するための各種施設の建設などから、同15.8%増加の計画となっています。
さらに、規模別でみると、大企業が前年度比24.3%の増加、中堅企業が同41.2%の増加となった一方、中小企業は17年度が16年度比39.9%と大幅に伸びた反動もあり、17年度比30.2%の減少となっているようです。
設備投資(含む土地投資額)
▲日本銀行新潟支店「新潟県 企業短期経済観測調査結果(2018年9月)」
まとめ
足元の新潟県内の設備投資は、非居住用建築物の着工床面積や日本銀行新潟支店が公表している「新潟県 企業短期経済観測調査結果(2018年9月)」をみると、前年を上回って推移していることがみてとれます。
また、県内企業へのヒアリングから、「受注量増加に対応するために工場を新設する」(製造業)、「倉庫や物流施設を建設して効率化を図る」(非製造業)といった大型の設備投資をするという声もでてきています。
世界経済の回復が続いているなかで、人手不足の早期解消も見込まれないため、今後も設備投資は緩やかな増加が続くものと思われます。そうしたなかで、県内経済の持ち直しの動きが広がっていくか注視していきたいと思います。