新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です。
当センターでは毎月、新潟県経済の基調判断を発表しています。
当センターが独自に行っている 県内の企業様へのヒアリング調査やアンケート調査と、毎月発表される経済指標を通じて、 県内の景気動向を分析し基調判断をおこなっています。
そこで、今日は5月の基調判断を紹介します。
5月の基調判断:横ばいで推移している県内経済
~個人消費は一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直してる~
〇個人消費は一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。
〇生産活動は横ばい圏内で推移している。
〇住宅投資は下げ止まっている。
〇公共投資は減少している。
〇総じてみると県内経済は横ばいで推移している。
5月は上記のとおり判断しました。詳しくは「グラフで見る県内経済」をご覧ください。
県内の個人消費について
今月は基調判断を変更した「個人消費」についてみていきたいと思います。
まずは、経済産業省が公表している「商業動態統計」を参考に作成した「小売業販売額」と北陸信越運輸局新潟運輸支局が公表している「乗用車新規登録・届出台数(軽含む)」の推移をみたいと思います。
4月の「小売業販売額」は前年比+2.7%と前年を上回りました。全業態で前年を上回りましたが、特に「ドラッグストア」などの伸び率が高くなりました。また、5月の「乗用車新規登録・届出台数」も前年比+2.0%と前年を上回っています。
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小売業販売額とは経済産業省「商業動態統計」の「百貨店・スーパー」「家電大型専門店」「ドラッグストア」「ホームセンター」「コンビニエンスストア」の全店販売額を合計したもの
18年夏のボーナス使途
続いて、県内の消費マインドなどを探るために当センターが新潟県内の勤労者とその同居家族に対して実施しているアンケート調査(18年夏期消費動向調査)の結果をみたいと思います。
今年の夏にボーナス支給が「ある」と回答した人を対象に、ボーナスの使途について尋ねたところ(複数回答)、「預貯金等」の回答割合が51.7%と最も高くなりました。2年連続の増加となっており、一部の県内消費者は依然として節約志向があることがうかがえます。
※本調査に関する詳しい内容については、当センターの機関誌「センター月報2018年7月号」をご覧ください。
まとめ
県内の個人消費は「小売業販売額」や「乗用車新規登録・届出台数」など、販売側の統計をみると前年を上回っているものの、18年夏のボーナス使途をみると「預貯金等」が最も高くなるなど、消費者マインドに節約志向もみられることから「一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」状況となっています。
ただし、2009年以降に実施された「家電エコポイント制度」で購入された家電製品の買い替え需要なども期待されることから、今後どのように個人消費が推移していくか注視していきたいです。