新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です。
当センターでは毎月、新潟県経済の基調判断を発表しています。
当センターが独自に行っている 県内の企業様へのヒアリング調査やアンケート調査と、毎月発表される経済指標を通じて、 県内の景気動向を分析し基調判断をおこなっています。
今日は3月の基調判断を紹介します。
3月の基調判断:持ち直しの兆しがみられる県内経済
~公共投資は持ち直している~
〇公共投資は持ち直している。
〇生産活動は持ち直しつつある。
〇個人消費は横ばいで推移している。
〇設備投資は下げ止まっている。
〇住宅投資は伸びが鈍化している。
〇総じてみると県内経済は持ち直しの兆しがみられる。
3月は上記のとおり判断しました。詳しくは「グラフで見る県内経済」をご覧ください。
新潟県内の住宅投資の動向
3月の県内経済の基調判断は、住宅投資を「増加している」から「伸びが鈍化している」に表現を変更しております。
そこで、今月は住宅投資の統計をみていきたいと思います。
国土交通省が毎月発表している「建築着工統計」をみると、3月の新潟県の新設住宅着工戸数は前年比19.7%減と9カ月ぶりに前年を下回りました。
それぞれ内訳をみると、
〇持家の着工数は、前年比横ばいの286戸となった
〇相続税対策による需要などから増加傾向で推移していた貸家は、同28.0%減の198戸となり、9カ月ぶりに前年を下回った
〇分譲は前年比44.5%減の71戸となり、3カ月ぶりに前年を下回った
となっています(図表1)。
▲図表1.新設住宅着工戸数の推移(前年比、寄与度)
また、12―2月期の3カ月平均においても、前年比7.0%増にとどまり、基調としては伸びが鈍化しています(図表2)。
▲図表2.新設住宅着工戸数(前年比・3カ月平均)
まとめ
足元の生産活動は内需関連を中心に堅調に推移しているほか、海外からの受注改善が一部にみられるためため「持ち直しつつ」ある状況となっています。一方で、個人消費は節分やバレンタインデーなど特別なイベントの際に消費支出が旺盛となる、いわゆる「ハレ消費」は好調となっていますが、日常品の節約志向が高まっているため、横ばいで推移している状況となっており、県内経済全体としては持ち直しの兆しがみられる状況となっています。
ただし、海外の政治・経済情勢の不透明感から株価や為替の変動リスクが懸念され、特に米国の財政・通商政策や欧州の主要選挙の行方などを注視する必要があります。