新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です。
当センターでは毎月、新潟県経済の基調判断を発表しています。
当センターが独自に行っている県内の企業様へのヒアリング調査やアンケート調査と、毎月発表される経済指標を通じて、県内の景気動向を分析して判断をおこなっています。
そこで、4月の基調判断を紹介します。
4月の基調判断:急速に悪化している ~新型ウイルス感染症(COVID―19)の影響から大きく落ち込んでいる~
〇個人消費は減少している。
〇生産活動は低下しつつある。
〇雇用状況は弱さがみられる。
〇公共投資は増加している。
〇総じてみると、県内経済は急速に悪化している。なお、新型ウイルスの影響の拡大により、県内経済が一層下振れする可能性に注意する必要がある。
4月は上記のとおり判断しました。詳しくは「グラフで見る県内経済」をご覧ください。
~新潟県内の公共投資の動向~
今月は公共投資についてみていきたいと思います。
まずは、東日本建設業保証株式会社が毎月公表している「前払金保証実績からみた公共工事の動向」をみると、3月の新潟県の公共工事請負金額は前年比0.4%増と11カ月連続で前年を上回りました。
内訳をみると、国などからの発注は前年よりも下回った一方で、市町村や県などからの発注が前年よりも多かったようです。
なお、東日本建設業保証株式会社とは、国や地方公共団体が工事の着工資金として建設業に支払う前払金を保証する事業などを主におこなっている会社です。
〇公共工事請負金額(前年同月比、発注者別寄与度)
(資料)東日本建設業保証(株)新潟支店『前払金保証実績からみた公共工事の動向』
~2019年度の公共工事請負金額は3年連続で増加~
こうしたなか、2019年度の公共工事請負金額は3年連続で増加となりました。
背景として、政府の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に伴い、18年度補正予算から国の公共工事関連予算が大幅に増資されたほか、県や市町村においても19年度の予算が前年を上回ったことなどが考えられます。
一方、公共工事請負件数は前年を下回っており、市町村からの件数が前年比▲10.4%と大幅に減少しています。
〇新潟県の公共工事の件数・請負金額の推移(過去10年間の推移)
(資料)東日本建設業保証(株)新潟支店『前払金保証実績からみた公共工事の動向』
まとめ
先ほどみていただいたとおり、2019年度の公共工事請負金額は、国や県などの公共工事関連予算が増加したことなどから、2017年度から3年連続で増加となりました。
一方、一部の工事では、新型ウイルス感染症の拡大防止に向け、工事を一時中止しているものや工期を延期するものなどもあるため、増加している公共投資が今後、どのようになっていくか注視していく必要があります。