2021年4月の人口移動~東京都や一部地域で変化の兆し?~

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

新型ウイルスの影響により、都道府県間の人口移動が大きく変化しています。具体的には、これまで増加傾向を続けてきた地方から東京都などへ人口が移動する流れが緩やかになっています。いわば、集中緩和の動きがみられます。

こうした中、総務省から2021年4月の「住民基本台帳人口移動報告」が発表されました。新型ウイルスが人口移動に大きな影響を与えたのは2020年4月からとなるので、ちょうど1年が経過しことになります。そのため、昨年からのトレンドに変化が出ているのかどうか?把握しやすくなりましたので、本日はその結果をご紹介したいと思います。

 

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都道府県別の転入超過数

2021年4月の都道府県間の人口移動をみると、転入者が転出者を上回る「転入超過数 」 は神奈川県が最も多く、以下、埼玉県、千葉県、東京都の順となっており、いわゆる1都3県で「転入超過数」が特に大きくなっています。このうち、神奈川県、埼玉県、千葉県では前年よりも「転入超過数」が増えていますが、東京都は前年比48%減、つまり半分程度の人数にとどまりました。

なお、一昨年の2019年の「転入超過数」と比べると、埼玉県で4%のプラスとなっているほか、神奈川県では4%減とほぼ回復しているのに対して、千葉県は23%減とマイナス幅が大きなままになっています。こうした中、東京都をみると、2019年比82%減と大幅なマイナスが続いています。したがって、1都3県の間で「転入超過」の回復具合に差が生じていることがうかがわれます。

東京都の転入超過数

ここで東京都の「転入超過数」を「転出者数」と「転入者数」に分けて、詳しくみてみましょう。

このうち東京都の「転出者数」をみると、2021年2月が前年比14.1%増、3月が前年比10.6%増と大幅な増加傾向で推移していましたが、4月は前年比0.6%増とほぼ横ばいで推移しました。また、2019年比でみても0.4%減とほぼ横ばいとなっており、東京都から他道府県に移動する「転出者数」については、増加傾向にやや落ち着きがみられます。

東京都の転入超過数

一方、東京都の「転入者数」をみると、2021年1月が前年比12.4%減、2月が前年比8.8%減、3月が前年比5.5%減で推移した後、4月は前年比3.1%減に縮小しました。2019年比では16.0%減と依然として大幅なマイナスが続いていますし、4月単月の結果なので、先行きはなお不透明ではありますが、「転入者数」が今後、下げ止まっていくか注目されるところです。

1都3県以外の転入超過数

1都3県以外の県をみると、北海道、石川県、山梨県、山口県などで「転入超過数」が昨年より増えたほか、茨城県で「転出超過」から「転入超過」に転じた点が目立っています。

これに対して、秋田県、福島県、愛知県、岡山県、香川県、沖縄県などでは「転出超過数」が昨年より拡大しており、地域それぞれで人口移動の状況が異なっているようです。

新潟県の転出超過数

最後に新潟県の人口移動をみてみましょう。

新潟県の人口移動を確認すると、4月の「転出超過数」は811人となりました。昨年の682人から「転出超過数」が拡大しています。ただし、2019年4月は1,244人の「転出超過数」となっており、これと比べると縮小しています。加えて、年間で最も人口移動の多い3月と4月の合計でみると、2021年3~4月の「転出超過数」は4,015人となり、昨年より400人ほど縮小しています。したがって、新潟県の場合、昨年から続いていた「転出超過数」の縮小傾向は維持しているとみられます。

新潟県の転入超過数

まとめ

新型ウイルスが人口移動に大きな影響を与えてから、1年が経過したこともあり、変化の兆しがみられる月となりました。 1都3県への集中緩和が今後も続くのか、あるいは「転入超過数」が増加する地域が増える一方、「転出超過数」が増加する地域も多くなり、地域間格差が広がっていくのか、5月以降の人口移動についても、引き続き確認していきたいと思っています。