都道府県別の人口移動(2020年)~東京への人口集中が緩和。新潟県は転出超過が縮小~

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

新型ウイルスの影響により、都道府県間の人口移動が大きく変化しています。具体的には、これまで増加傾向を続けてきた地方から東京都などへ人口が移動する流れが緩やかになっています。いわば、集中緩和の動きがみられます。

そこで、先月は「都道府県別の人口移動(2020年1~11月累計)~東京都は転入超過数が急減、新潟県は…~」という投稿で、1~11月までの都道府県間の人口移動について全国および東京都、そして私たちの会社のある新潟県のそれぞれの状況をご紹介しました。今回は12月のデータも加えて、2020年の1年間の動きをお知らせいたします。

 

人口移動 転出 転入 引っ越し

東京都の「転入超過」数は前年比4割程度の水準に

2020年1~12月までの累計で都道府県間の人口移動をみると、転入者が転出者を上回る「転入超過」数は東京都が最も多く、以下、神奈川県、埼玉県、千葉県が続いていますいます。つまり、1都3県で「転入超過」数が特に大きくなっています。

ただし、東京都の「転入超過」数は前年の4割ほどの水準にまで縮小しています。これは他道府県から東京都に流入する「転入者数」が減少する一方、東京都から他道府県へと流出する「転出者数」が増加しているためです。

なお、東京都周辺の千葉県は前年に比べて「転入超過」数が拡大、神奈川県は「転入超過」数がほぼ横ばい、埼玉県は「転入超過」数がやや縮小となっています。

都道府県別の転入超過数

2020年1月以降の人口移動を単月ごとにみると、東京都では1~3月までは前年と同様に「転入超過」の傾向をたどっていました。しかし、4月以降は異なっています。新型ウイルスの感染拡大を背景に、4月の「転入超過」数が大幅に縮小したほか、5月には「転出超過」に転じました。これは統計で比較可能な2013年7月以降、初めての「転出超過」となりました。翌月の6月に一旦、持ち直すものの、7月以降、直近の12月まで6か月連続で「転出超過」が続いています。特に8月以降は転出者の増加傾向が続いています。

東京都の転入超過数

「転出超過」の状況にあった36の道や県では、「転出超過」数が緩やかに

2020年1~12月までの累計で1都3県を除く全国の人口移動をみると、 転出者が転入者を上回る「転出超過」の状況にあった36の道や県では、「転出超過」数が縮小しています。その多くは転入者数が増えのではなく、転出者数が減ったことが大きな要因です。私たちの会社のある新潟県も「転出超過」数が縮小した県の一つとなっています。

反対に「転出超過」数が拡大したのは愛知県、京都府、兵庫県の3県でした。

なお、「転入超過」数が拡大したのは千葉県、大阪府、福岡県、沖縄県の4県、「転入超過」数が縮小したのが埼玉県、東京都、神奈川県、滋賀県の4県となっています。

新潟県の人口移動は?

ここからは、私たちの会社のある新潟県の人口移動を詳しくご紹介します。

2020年1月以降の単月でみると、1~3月までは前年と同様に「転出超過」の傾向をたどっていました。その後、4月~5月、8月と「転出超過」数が縮小し、9月にはわずかながら「転入超過」に転じました。

新潟県の転入超過数

1年間の累計でみると、転入者数が前年比1.6%減の微減にとどまる一方、転出者数が前年比6.1%減と大きく減っています。その結果、1年間の「転出超過」数が2019年の7,225人から2020年の5,771人へと縮小しました。つまり、新潟県に流入する人が増えたのではなく、流出する人が少なくなったのが実態とみられます。

以上のように確認してきたとおり、地方から1都3県への人の流れが緩やかになっている背景には、次のような点が指摘されています。

  • 新型ウイルスの影響から、進学や就職、転勤、転職、住み替えなどにより郊外・地方から東京都などに移住する人が減っている。
  • 具体的には、在宅勤務が一部に広がるなど、通勤する必要性が薄れていることもあり、郊外・地方での居住を維持・優先する人が増えている。
  • また、大学等で授業がリモート化されたことに伴い、若年層で東京都などに移住せず、郊外・地方での居住を維持・優先する人が増えている。
  • さらに、雇用情勢の悪化などから、地方から東京都などへの転職者の流入が減っている。
  • その一方で、地方移住への関心が高まっているほか、企業の一部では、本社を地方に移転しているところもある。

21大都市の人口移動は都市によって異なる

続いて、21大都市での人口移動を2020年1~12月までの累計でみると、 転入者が転出者を上回る「転入超過」数は下の図のとおり、東京都特別区部が最も多くなっています。以下、大阪市、横浜市、さいたま市、札幌市、福岡市などが続いています。

21大都市別の転入超過数

なお、「転入超過」の状況にある都市をみると、東京都特別区部のほか、川崎市などで「転入超過」数が縮小する一方、大阪市、横浜市、仙台市、相模原市、千葉市などでは「転入超過」数が拡大しています。このうち、大阪市と相模原市はわずからながら転入者がプラスとなりました。

これに対して、「転出超過」の状況にある都市をみると、岡山市、北九州市、浜松市、広島市、静岡市などで「転出超過」数が縮小しています。一方、京都市、神戸市などでは「転出超過」数が拡大しており、都市による違いが生じています。

私たちの会社のある新潟市をみると、前年の「転出超過」から「転入超過」に転じています。 2020年1月以降の単月でみると、1~3月までは前年と同様に「転出超過」の傾向をたどっていたものの、4月に「転入超過」が大幅に拡大しています。その後も概ね「転入超過」で推移しています。転入者が微減となるものの、転出者が前年を大幅に下回っている要因が大きくなっています。

新潟市の転入超過数

感想

前月と同様に、地方から東京都などに人口が移動する動きが緩和されていることが確認できました。

こうした傾向が今後も続くのか、それとも感染が収束した場合には再び、東京都などへの人口集中の動きが現れて現状の集中緩和の動きは短期間で終わるのかについては、今しばらく様子をみる必要があるようです。特に、1年の中で最も人口が移動する時期である3月、4月の動向が注目されます。

ただ、どのような人口移動になるにしろ、転出超過で悩む地方では、移住に興味にある人への呼び込みを強化するのはもちろんのこと、地域に定着してもらえるような魅力的な仕事や街・地域を作り出すという本質な取り組み、いわば「地方創生」が求められていることには変わりはないと思われます。

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参考文献

岡田豊「コロナで東京の転入超過数が急減」『みずほ総合研究所 みずほインサイト』2020年6月29日  https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/pl200629.pdf (2021年1月14日アクセス)

大塚敬「コロナ禍発生から半年、一極集中から様相が一変した東京都の人口動向」『 三菱UFJリサーチ&コンサルティング サーチ・ナウ』2020年10月1日 https://www.murc.jp/report/rc/column/search_now/sn201001/
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永井恵子「2020年春の国内移動者数の状況-住民基本台帳人口移動報告2020年3月及び4月の結果から-」『総務省 統計Today』No,156、2020年6月10日 https://www.stat.go.jp/info/today/156.html
(2021年1月14日アクセス)

永井恵子「緊急事態宣言下における国内移動者数の状況~東京都の状況を中心に~-住民基本台帳人口移動報告2020年5月の結果から-」『総務省 統計Today』No,157、2020年6月30日 https://www.stat.go.jp/info/today/157.html
(2021年1月14日アクセス)

永井恵子「緊急事態宣言解除後の国内移動者数の状況~東京都の状況を中心に~
-住民基本台帳人口移動報告2020年7月の結果から-」『総務省 統計Today』No,161、2020年8月27日 https://www.stat.go.jp/info/today/161.html
(2021年1月14日アクセス)

永井恵子「転出超過が続く東京都及び東京圏の状況
-住民基本台帳人口移動報告2020年8月の結果から-」『総務省 統計Today』No,164、2020年9月29日 https://www.stat.go.jp/info/today/164.html
(2021年1月14日アクセス)

永井恵子「新型コロナウイルス感染症の流行と東京都の国内移動者数の状況-住民基本台帳人口移動報告2020年の結果から-」『総務省 統計Today』No,168、2021年2月5日 https://www.stat.go.jp/info/today/168.html
(2021年2月10日アクセス)

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2020年結果 結果の概要」2021年1月
https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/pdf/gaiyou.pdf
(2021年2月10日アクセス)

宮城 信一 (2019年)『「デザイン」の力で人を動かす!プレゼン資料作成「超」授業 プレゼン上手に明日からなれる』SBクリエイティブ