都道府県別の人口移動(2020年度)~転居は抑制傾向~

新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

新型ウイルスの影響により、これまで増加傾向を続けてきた地方から東京都などへと人口が移動する流れが緩やかになっています。

そこで、先月は「都道府県別の人口移動(2020年)~東京への人口集中が緩和。新潟県は転出超過が縮小~」という投稿で、2020年1~12月までの都道府県間の人口移動について全国および東京都、そして私たちの会社のある新潟県のそれぞれの状況をご紹介しました。今回は2020年度のデータが公表されたので、その結果をお知らせいたします

 

人口移動 転出 転入 引っ越し

国内移動者数

総務省「住民基本台帳人口移動報告」をみると、2020年度における全国の「移動者数」は前年度に比べ緩やかなものとなりました。「移動者数」は都道府県内(市町村間)と都道府県間の移動に分けられます。このうち、都道府県内(市町村間) の「移動者数」をみると前年度比1.4%の微減となる一方、都道府県間の「移動者数」は前年度比5.3%の落ち込みとなりました。

したがって、2020年度は新型ウイルスの影響などから、進学・就職・転勤などに伴う転居が都道府県内および都道府県間とも抑えられていたことがうかがわれます。

全国の移動者数

転入者数

次いで、都道府県間の「移動者数」のうち、他都道府県からの「転入者数」を確認します。

2020年度における他都道府県からの「転入者数」を都道府県別にみると、東京都が約42万人で最も多く、以下、神奈川県(約23万人)、埼玉県(約19万人)、大阪府(約17万人)、千葉県(約16万人)となっています。なお、東京都で「転入者数」が前年度に比べて約5万人少なくなったのをはじめ、全国42都道府県で「転入者数」が減りました。その一方で、長野県、和歌山県、福井県など5県で「転入者数」が増加しています。

転出者数

続いて、都道府県間の移動者数のうち、他都道府県への「転出者数」をみてみます。

2020年度における他都道府県への「転出者数」を都道府県別にみると、東京都が約41万人で最も多く、以下、神奈川県(約20万人)、埼玉県(約16万人)、大阪府(約16万人)、千葉県(約15万人)となっています。ただし、東京都の「転出者数」は前年度から約2万5,000人増加する一方、それ以外の46道府県では「転出者数」が減少しました。なお、東京都からの「転出先」を前年度と比べると、神奈川県への「転出者数」が前年度より約8,500人増えているほか、千葉県で約3,800人、埼玉県で約3,500人、茨城県で約1,200人、長野県で約900人増加しています。

転入超過数

最後に、各都道府県の「転入者数」から「転出者数」を差し引いた「転入超過数」を確認してみましょう。

2020年度における「転入超過数」をみると、神奈川県が約2万9,000人で最も多く、以下、埼玉県(約2万5,000人)、千葉県(約1万3,000人)、大阪府(約1万1,000人)、東京都(約7,500人)となっています。

このうち、東京都の「転入超過数」は前年度の約8万4,000人から20年度の約7,500人へと約7万6,000人減少しました。なお、千葉県の「転入超過数」は約4,000人増加したものの、神奈川県と埼玉県の「転入超過数」が前年度から約1,100人ずつ減ったことから、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を合わせた東京圏でみると、約7万5,000人の「転入超過数」となったものの、前年度に比べ約7万4,000人少なく、ほぼ半減となりました。したがって、東京圏への集中緩和の傾向がみられます。

新潟県の移動者数

最後に、私たちの会社のある2020年度における新潟県の動向も確認しておきます。

まずは、新潟県における都道府県内(市町村間)の「移動者数」をみると、前年度比5.6%の落ち込みとなりました。前年度が1.7%の増加でしたから、それと比較すると、新潟県内(市町村間)での転居は抑制傾向で推移したことがうかがわれます。

新潟県の移動者数

続いて、新潟県における都道府県間の移動者数のうち、他都道府県からの「転入者数」を確認します。他都道府県からの新潟県への「転入者数」をみると、約2万3,000人となり、前年度より約400人少なくなりました。前年度比1.9%のマイナスとなっています。

一方、新潟県から他都道府県への「転出者数」をみると、約2万8,000人となり、前年度より約2,600人減りました。前年度比8.6%のマイナスとなっています。

その結果、「転入者数」から「転出者数」を差し引いた新潟県の「転入超過数」は約5,000人のマイナスとなり、いわゆる「転出超過」の状況となりました。ただし、昨年の「転出超過数」は約7,000人であり、これと比べれば、「転出超過数」は約2,000人縮小しています。新型ウイルスによる影響により、他都道府県からの新潟県への「転入者数」は減少したものの、新潟県から他道府県への「転出者数」がより一層抑えられたため、「転出超過数」の改善がみられたわけです。

なお、他都道府県からの新潟県への「転入者数」を都道府県別にみると、東京都が約4,700人で最も多く、以下、埼玉県(約2,200人)、神奈川県(約2,200人)、千葉県(約1,500人)、長野県(約1,100人)、群馬県(約900人)などとなっています。前年度と比べると、東京都、神奈川県からの「転入者数」が増える一方、千葉県、群馬県などからの「転入者数」が減りました。

これに対して、新潟県から他都道府県への「転出者数」を都道府県別にみると、東京都が約6,400人で最も多く、以下、埼玉県(約3,200人)、神奈川県(約3,100人)、千葉県(約1,900人)、長野県(約1,100人)、群馬県(約1,100人)などとなっています。前年度と比べると、東京都への「転出者数」が約1,200人少なくなっているほか、埼玉県が約550人、神奈川県と千葉県への「転出者数」が約300人ずつ減少しているのが目立っています。

まとめ

先月の「都道府県別の人口移動(2020年)~東京への人口集中が緩和。新潟県は転出超過が縮小~」の投稿で確認したとおり、地方から東京都などに人口が移動する動きが緩和されていることが確認できました。

こうした傾向が今後も続くかどうかを予測する観点からは、特に1年の中で最も人口が移動する時期である3月、4月の動向が注目されます。このうち3月の結果はすでに発表されていますので、4月の結果が発表され次第、改めて数字をまとめてみたいと思います。

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参考文献

阿向 泰二郎「新型コロナウイルス感染症の流行と2020年度の国内移動者数の状況(1) -住民基本台帳人口移動報告の結果<全国>-」
『総務省 統計Today』No,171、2021年4月27日 
https://www.stat.go.jp/info/today/171.html
(2021年5月7日アクセス)

永井 恵子「新型コロナウイルス感染症の流行と2020年度の国内移動者数の状況(2) -住民基本台帳人口移動報告の結果<東京都>-」
『総務省 統計Today』No,172、2021年4月27日 
https://www.stat.go.jp/info/today/172.html
(2021年5月7日アクセス)

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