県内企業の中途採用活動の状況は?

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

2020年度の新潟県内の正社員の有効求人倍率は、1.08倍となりました。新型ウイルスの影響による業績悪化などから企業が採用に対し慎重になったため、前年度を下回りました。ただし、依然として1.0倍を上回る高い水準を維持しています。

また、県内企業へのヒアリングを実施すると「新型ウイルスの影響はあるが、人手不足の状況そのものは変わっていない。良い人材であれば、業況にかかわらず採用したい」といった声も聞かれるなど、県内企業の中途採用に対する意欲は底堅いとみられます。

こうしたなか、当センターでは県内企業の人材ニーズ等を把握するためにアンケート調査を実施しました。本日はその結果の一部をご紹介します。

 

正社員の中途採用活動を「実施したことがあり、今後も実施したい」県内企業は8割弱

すべての企業に対して過去3年間(2018年6月から現在までの間)に、正社員の中途採用活動を実施したかどうかを尋ねたところ、「実施したことがあり、今後も実施したい」の割合が78.5%と最も高くなりました。以下「実施したことがなく、今後も実施するつもりがない」(7.9%)、「実施したことがあるが、今後は実施するつもりがない」(7.4%)、「実施したことはないが、今後は実施したい」(6.1%)の順となっています。

当センターでは、18年下期に同様の調査(調査実施:18年11月) を実施しています。18年下期調査と比較してみると、「実施したことがあり、今後も実施したい」と回答した割合は5.4ポイント低下しています。

また、「実施したことがあり、今後も実施したい」企業を業種別に比べてみると、製造業で2.5ポイント低下、非製造業で7.2ポイント低下していることから、新型ウイルスの影響によって、非製造業を中心に採用を控えたことがうかがえます。

 

【中途採用活動の実施状況】

(業種別、規模別)

※無回答除く

予定人数を採用できた企業は半数を超え、18年下期調査と比べて採用状況は改善

正社員の中途採用活動を実施したことのある企業に対して、最近3年間の採用状況を尋ねてみると、「予定どおりの人数だった」と回答した割合が54.0%と最も高くなりました。なお、「予定の人数を上回った」は2.8%となり、これらを合わせた『予定以上の人数だった』企業の割合は56.8%と半数を超えました。一方、「予定していた人数を下回った」と回答した企業は43.1%となりました。

18年下期調査と比べてみると、『予定以上の人数だった』と回答した企業の割合は12.5ポイント上昇しており、企業の採用状況が改善していることが示されました。採用状況が改善した背景として、新型ウイルスの影響で企業が採用に慎重となったことのほか、採用に対する企業側の努力などがあると考えられます。

 

【最近3年間の採用状況】

(業種別、規模別)

採用活動を実施した目的では、専門的な知見や実績・経験を持つ人材へのニーズも多く聞かれる

正社員の中途採用活動を実施したことのある企業に、採用活動を実施した目的を尋ねてみると(複数回答)、「人手不足を解消するため」と回答した割合が74.9%と最も高くなりました。以下「年齢等人員構成の適正化を図るため」(34.1%)、「専門的な知識や資格を持った人材を確保するため」(32.7%)などが続いています。

採用活動を実施した目的について、回答企業からは「自社のシステム開発及び運用といった専門知識を持つ人材の採用が課題である」「環境問題やIT化への対応として人材確保が必要である」といった声が寄せられました。既存社員では対応に限界がある分野や課題などに対して、専門的な知見を持つ人材や既に実績や経験を積んでいる人材の確保を目的としている企業も多くみられました。

 

【採用活動を実施した目的】

(複数回答、上位項目のみ)

※無回答除く

採用活動を成功させるための取り組みでは「社内の労務環境の改善」がトップ

正社員の中途採用活動を実施したことのある企業に、採用活動を成功させるために取り組んでいることを尋ねてみると(複数回答)、「社内の労務環境の改善(残業時間削減、休日の確保など)」と回答した割合が55.5%と最も高くなりました。以下「未経験者の採用や応募者の経験年数の引き下げ」(38.6%)、「応募者の年齢制限の緩和(募集年齢の引き上げ)」(26.8%)、「採用チャネルの拡大(SNS、人材紹介会社等の利用)」(26.6%)などの順となっています。

採用状況別にみると、採用が『予定以上の人数だった』企業では「予定していた人数を下回った」企業に比べて「社内の労務環境の改善」(59.5%)、「柔軟な勤務形態制度の導入」(13.6%)の割合が高くなっています。

実際、採用状況が 『予定以上の人数だった』企業からの声をみてみると、「賃金や休日の増加といった労務環境の改善への取り組みが口コミなどで広がり、応募者が増加した」、「募集要領に『テレワークでの勤務 可能』と記載したところ、全国から多数の応募があった」など、「社内の労務環境の改善」や「柔軟な勤務形態制度の導入」 に関する意見が寄せられています。

 

【採用活動を成功させるための取り組み】

(採用状況別、複数回答、上位項目のみ)

※無回答除く

まとめ

アンケートの結果をみると、正社員の中途採用活動を「実施したことがあり、今後も実施したい」と回答した企業は78.5%と、県内企業の中途採用意欲の底堅さが示されました。

一方、採用状況は『予定以上の人数だった』企業が半数を超えており、18年下期調査と比べ、企業の採用状況の改善がうかがえました。その要因として、採用活動を控える動きがある一方、「自社の労務環境の改善」「柔軟な勤務形態制度の導入」などに取り組む企業側の努力もあったとみられます。

現在、テレワークや兼業・副業など、時間や勤務地に拘束されない新たな働き方が急速に広がっています。これまで社内になかった知見を持つ人材を地域外からも広く受け入れることができる環境が整いつつあるといえます。今回のアンケート調査を振り返っても、既存社員では対応に限界がある分野や課題に対して、専門的な知見や技能がある人材や実績・経験を積んでいる人材を積極的に採用する動きがみられました。県内企業がこうした動きを取り入れながら、中長期的な成長に繋げることを期待したいと思います。

※本調査に関する詳しい内容については、当センターの機関誌「Monthly 8月号」をご覧ください。