新潟県内でマーケティングのセミナー講師を担当して気づいたこと

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

先月は、村松商工会様をはじめ様々な商工団体様のご依頼で、マーケティングに関するセミナーの講師を務めさせていただきました。その多くが過去に何度かお話しをさせていただいたことのある先であるため、お陰様でとてもリラックスして講演させていただきました。

こうした中、講義終了後にお受けしたご質問にお答えする際に、改めて気づいたことがあったので、本日はその点をご紹介したいと思います。

 

セミナー講演会場

ホームページ、ブログ、SNSなどの活用事例

昨今、売上や集客を伸ばすために様々な情報発信ツールを取り入れている企業が多くなっています。

ただし、インターネットが普及する以前はチラシやダイレクトメール・ニュースレターなどの紙を使った情報発信や、テレビコマーシャル・新聞広告といったマスメディアを活用した情報発信ツールが当然ながら主役でした。

その後、インターネットの普及とともに、Website(ホームページ)やブログ・大手EC (電子商取引) サイトなどが新たな情報発信ツールに加わります。

さらに最近では、スマートフォンの利用拡大に伴い、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSのほか、YouTubeなどの動画共有サイト、Googleマイビジネス(Googleマップ)などを活用する企業も増えています。

そこで、当センターが発刊しているセンター月報2019年10月号では、「企業におけるソーシャルメディア活用のポイント」というタイトルで、県内企業の取り組みをご紹介しています。具体的には、以下のような企業の事例です。


①TwitterをはじめとしたSNSのユーザーの声をヒントに商品を企画・開発して、顧客層を広げている菓子製造業者

②出展した展示会の様子や取引先が抱える問題点を技術力で解決した実績など、顧客にとって有益な情報をFacebookページで情報発信している金属製品製造業者

③自主企画商品の製造工程を公開することで、自社のこだわりをFacebookページで伝えている衣料品企画・販売業者

④インターネット上で検索数の多いキーワードについて、そのキーワードに関するサービスの説明や自社の提供内容を詳しく紹介したWebsite、blogなどを用意する一方で、LINEによる情報発信を強化することで、LINE経由の予約割合を上昇させている美容室

⑤写真映えするようなカキ氷を提供するなどして、その写真をInstagramに投稿するユーザーが相次いでいる洋菓子製造・販売業者


セミナー・講演の様子

▲村松商工会様でのセミナー風景

全国および新潟県内で拡がるソーシャルメディアの活用状況

実際、総務省の「平成30年 通信利用動向調査報告書」(2018年)をみると、全国における企業(従業者規模100人以上が対象)のソーシャルメディアの利用割合は36.7%と上昇傾向をたどっており、その活用が拡がっています。

全国の企業のソーシャルメディアの利用割合

なお、当センター「ソーシャルメディアを利用した情報発信に関するアンケート」(2019年)によると、新潟県内における企業のソーシャルメディアの利用割合は30.4%。全国データと比較するため、従業員規模101人以上の企業に限ると、利用割合は38.5%となっています。調査対象や調査時期などが異なるため、単純には比較できないものの、新潟県内でも全国と同様に、ソーシャルメディアの活用が徐々に浸透していることがうかがわれます。

新潟県内企業のソーシャルメディアの利用割合

情報発信する際に大切なこととは?

以上のような統計データや取組事例などについて講義をしたところ、ある会場で「このように様々な情報発信ツールを企業が活用していく際には、どのような点に気をつければ良いでしょうか」というご質問をいただきました。

もちろん、その企業の規模・業種・情報発信ツールの活用状況などによって異なると思います。また、気をつけなければならないことも数多くあるでしょう。

その中の一つして、「どの立場から情報発信していくのか?」といった視点も大切なのではないか、と回答させていただきました。具体的には、お客様の悩みや不満・不便・不安を解決する「アドバイザー」という立場から情報発信する姿勢が重要である、とお伝えしました。

その際、下記の演習をご紹介しました。これは一緒に仕事をさせていただく機会のあるマーケティング・コンサルタントの松野恵介氏が書籍で紹介されている手法です。


●私は、○○(職業)をしているわけではない


●今までの、△△の経験を活かして


●お客様に、□□のお手伝いをしているのだ



松野恵介(2011年)『年収が10倍になる!魔法の自己紹介』フォレスト出版 p.143

上記の◯△□に自分なりのキーワードを入れてみるという演習です。

例えば、旅館経営者であれば…

●私は、○○(職業)をしているわけではない

   →私は、旅館の経営者をしているわけではない

●今までの、△△の経験を活かして

   →今まで新潟県●●温泉に生まれ育った経験を活かして

●お客様に、□□のお手伝いをしているのだ

   →新潟県●●温泉に訪れたお客様の、思い出に残る滞在のお手伝いをしているのだ

と記入したとします。すると、職業(◯◯)は旅館の経営者、仕事(□□)は滞在のお手伝い(滞在アドハイザー)となります。

また、松野恵介氏の例示を参考にすると、例えばWebデザイナーであれば…

●私は、○○(職業)をしているわけではない

   →私は、Webデザイナーをしているわけではない

●今までの、△△の経験を活かして

   →今までの、様々なWebページ制作の経験を活かして

●お客様に、□□のお手伝いをしているのだ

   →業績を伸ばしたいと思っているお客様の、集客や売上アップのお手伝いをしているのだ

と考えることもできます。すると、職業(◯◯)はWebデザイナー、仕事(□□)はお客様の集客・売上アップのお手伝い(集客・売上アップアドハイザー)となります。

職業と仕事の違い マーケティングの視点

▲セミナーで使用したスライドの一部

あなたはどっち?

ここで仮に、Website(ホームページ)を誰かに制作してもらおうとする場面を想定してみましょう。候補は2社あったとします。このうち、A社はWebsite (ホームページ)を作ることが仕事と考えている会社。もう一方のB社はWebsite (ホームページ)の制作を通じて集客・売上アップのお手伝いをすることが仕事と考えている会社だとします。その時、どちらの会社を選びますか?

人にもよりますが、A社ではなくB社を選ぶ人も多いのではないでしょうか。

どの立場から情報発信していますか?

上記の演習に取り組むこと、すなわち仕事と職業の違いを考えることで、自分視点ではなく、相手視点=お客様の立場に立つきっかけになる時があります。その結果、自分の言いたいことを伝えようとする情報発信から、相手の知りたいこと・関心のあることを伝えようとする情報発信の姿勢へと変化しやすくなります。

すると、お客様から「なるほど」「そうだったのか」「知らなかった」といった共感を呼びやすくなるようです。実際に試した企業様から、そのような声をいただいています。反対に、共感が得られない情報発信では、いわゆる「いいね」も「フォロー」も「拡散」もしてくれないと思うのです。

まとめ

以上が聴講者からのご質問に回答する中で、改めて自分の中で整理できた点です。ご質問を寄せていただいた聴講者に感謝したいと思います。

また、もしご興味のある方がいらっしゃれば、お手隙の際に、上記の演習に一度、挑戦してみてはいかがでしょうか。

なお、当センターでは、「マーケティング」のほか、「働き方改革」「RPA」「サービス業の生産性向上」「リノベーションを活用した賑わいづくり」「景気動向」「キャッシュレス決済」など様々な経営・経済に関するテーマの講師派遣を承っております。詳しい内容は「講演会・セミナーへの講師派遣実績」をご確認下さい。