新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
さて、先月の10月24日は「マーガリンの日」だったそうです。
日本マーガリン工業会のWebsiteによると、
マーガリンに関係する日や語呂合わせなどを検討した結果、マーガリンの生みの親フランス人メージュ・ムーリエ・イポリットの誕生日である「10月24日」(1817年生)をマーガリンの日とすることに決めました。
19世紀末に、当時不足しているバターに代わるものはないかと、ナポレオン3世が懸賞募集を行い、メージュ・ムーリエ・イポリットの考えた案が採用されたのです。
日本マーガリン工業会「10月24日はマーガリンの日」
http://www.j-margarine.com/news/20150605.html# <2018年10月29日アクセス>
と記載されています。
そこで、今日は「マーガリン」に関する統計データについてご紹介いたします。
マーガリンとは?
先ほど、ご紹介したように、マーガリンは不足しているバターの代替品として生まれたようです。
それでは、バターとは何が違うのでしょうか。
株式会社明治のWebsiteによると、次のように簡潔にまとめらていまいす。
外観は双方がよく似ていますが、原料、製造方法、成分、風味が違います。
バターは乳製品であり、牛乳の脂肪分でつくられています。マーガリン(類)は主に植物性油脂(コーン、大豆、なたね、やし等)、魚油、動物油等からつくられます。原料によって硬さや風味が違い、使用の目的により使い分けができます。
株式会社 明治「バターとマーガリンの違い」
http://qa.meiji.co.jp/faq/show/1630?site_domain=default <2018年10月29日アクセス>
確かに、後ほどご紹介する総務省『家計調査』をみても、マーガリンは「油脂・調味料」、バターは「乳卵類」に区分されています。
マーガリンとバターの消費動向は?
誕生経緯を考慮すると、「マーガリン」と「バター」は深い間柄であるため、以下では双方の統計データを比較しながら紹介したいと思います。具体的には総務省『家計調査』を使って需要側のデータをお示しします。なお、「家計調査」の見方については、こちらの投稿をご確認下さい。
年間支出金額の推移
まずは、「マーガリン」と「バター」に対する1世帯当たりの年間支出金額の推移を確認します。
下のグラフをみると、「マーガリン」は2009年から緩やかに減少する一方、「バター」は2005年から緩やかに増加しています。その結果、2012年に支出金額は逆転し、「バター」の支出金額が「マーガリン」を上回るようになっています。
月別の支出金額
次に、2017年の支出金額を月別にみると、「マーガリン」は年間を通してほぼ一定の支出金額となっている一方、バターは11~12月、2月といった冬場に支出金額が大きくなっています。
なお、全ての月で「バター」の支出金額が「マーガリン」を上回っています。
年代別の支出金額
さらに、2017年の支出金額を世帯主の年齢階級別にみると、「マーガリン」「バター」とも「60~69歳」「40~49歳」で支出金額が大きくなっています。ただし、消費支出全体に占める割合では、年齢階級に違いはみられませんので、年代によって支出金額が大きく変わることはないようです。
地域別の消費ランキング
参考までに1世帯あたりの年間支出金額(2015年~2017年平均)を都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別¹にみると、「マーガリン」の年間支出金額は松江市が1位、次いで、神戸市、堺市、山口市、広島市、大津市と続き、中国地方や近畿地方の自治体が上位となっています。なお、私たちが住む新潟市は12位でした。
同様に、「バター」の年間支出金額をみると、「横浜市」が1位、次いで、東京都区部、奈良市、神戸市、京都市と続き、関東地方や近畿地方の自治体で金額が大きくなっています。なお、私たちが住む新潟市は44位でした。
「マーガリン」と「バター」を二者択一で選択する必要はないのですが、参考までに「マーガリン」と「バター」の年間支出金額を組み合わせて、都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別に可視化すると、下の図となります。
すると、どちらかといえば「マーガリン」の支出金額が「バター」を上回っている地域をみると、那覇市、松江市、鳥取市、青森市、新潟市などとなっています。
一方、どちらかといえば「バター」の支出金額が「マーガリン」を上回っている地域をみると、横浜市、東京都区部、札幌市、静岡市、京都市、水戸市などとなっています。
そもそも、「マーガリン」「バター」とも支出金額が大きい地域をみると、横浜市、神戸市、奈良市、東京都区部、大津市、京都市などとなっています。
これに対して、「マーガリン」「バター」とも支出金額が小さい地域をみると、那覇市、鹿児島市、宮崎市、大分市、松山市、山形市などとなっており、やや九州・沖縄地方が多い印象です。
なお、地理的な違いが明確にあるわけではないですが、例えば、マーガリンの支出金額が最も多い松江市は、最も少ない鹿児島市の2.2倍、バターの支出金額が最も多い横浜市は最も少ない那覇市の3.7倍となっており、自治体間での差は大きくなっています。
感想
「マーガリン」と「バター」は見た目が似ているものの、地域によって支出する金額は大きく異なることが分かりました。その背景までは今回、分かりませんでしたので、いつかその要因がわかれば、改めてご紹介したいと思います。
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都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意下さい。