感染拡大時期だからこそ取り組みたい販路開拓・販売促進の方法とは?

新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

新型ウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は地域経済にも大きな影響を及ぼしています。そのため、思うように売上を確保できず、 どのような対策をとれば良いのか?悩まれている方も多いと思われます。

そこで、本日は販路開拓・販売促進のヒントとなるような書籍をご紹介したいと思います。

 

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松野恵介氏著『お客様が集まる! 「ぼくだけ」の売り方』の感想

本書は、売上を確保・向上させていくには、お客様との密接な関係、つまり「つながり」が大切であるという点を繰り返し、豊富な事例を交えながら分かりやすく説明している書籍です。

お客様と親しい関係が築けているのか?

例えば、冒頭の「まえがき」で以下のような会話が紹介されています。

大阪の北浜に飲食店の顧問先を数百件、持っておられる会計事務所があります。その所長さんに「コロナ禍で売上げが落ちない店の特徴ってあるんですか?」と聞いたところ、即座にこう答えられました。

「お客様に直接電話して、来てほしい!と言えるお店です」


松野恵介(2021)『お客様が集まる!「ほくだけ」の売り方』すばる舎

つまり、 今の厳しい経済情勢下では顧客名簿が整っていて、お店からアプローチできるだけでなく、お客様からも応援してもらえるような親しい関係、すなわち「つながり」が築けているかどうかが大きなカギなのだと指摘されています。確かに私の周囲をみても、お客様と信頼関係がしっかりしている会社ほど、堅調な業績を維持している印象です。

つながりを作るには?

それでは、お客様との「つながり」を新たにつくり出す、あるいは「つながり」をより強固にするにはどうしたら良いのでしょうか。

本書では、手紙やチラシ、手書き看板などを活用した事例や新商品・新サービスの開発事例などを交えながら、お客様と「つながる」ための方策が数多く紹介されています。中でも、そのポイントなる考え方は以下の点であると感じました。

それは、「つながり」たいと思う相手が

どんなコトに興味があるのか?どんな不安や不満、不便を感じているのか?を見ていけばいい


松野(2021)

という箇所です。つまり、まずはしっかりとお客様を見て、そのお客様の興味や不安・不満・不便を確認した後に、どのようなお伝いができるのか?自分たちにしかできない取り組みは何なのか?を考えることが重要であり、それが全ての行動の起点になると理解しました。

さらに、その考えをもとに実践された各社の事例がたいへん参考になります。

例えば、室内ドアの専門メーカーである神谷コーポレーション湘南さんの実践内容です。

2020年4月の緊急事態宣言に入るや否や、お得先である工務店に対して一斉に電話連絡をして、今の状況と、困っていることや、仕事で止まっていることなどを聞き出し、その中から緊急性の高いものに絞り込んで、どうにかしてお客様のお役に立てないかと考えたのです。

ちなみに、その当時の工務店の課題は「契約をいただいている施主さんと、会って打ち合わせができないので、着工まで進まない」というもの。そこで、神谷コーポレーション湘南ではZoomを使ったオンライン打ち合わせの手法を研究し、工務店の皆さんにお伝えしたことにより信頼を得、その後の受注につながりました。


松野(2021)

また、外装塗装や防水工事専門のマツミさんの取り組みも参考になります。

マンションオーナーとの付き合いが増えてくると、いろいろ悩み事をお聞きするそうです。そして、一番の悩みは「小さな工事」だということが明確になってきたのです。

「小さな工事」とは、ちょっとしたコンクリートのひび割れだとか、ベランダの防水補修や、自転車置き場のトタン屋根の修理とか、門柱の塗装が剥げてきたなどの、些細な工事のことです。

(中略)

そんな小さな工事にも人手はかかるけど、料金はそれほど頂くわけにはいかないので、業者は誰も嫌がっていたのです。

そこを、親兄弟の思いで何とかしたいと思って立ち上げたのが「親兄弟メンバーズ」です。

(中略)

親兄弟メンバーズは、マンションオーナーが困っている小さな工事の施工をするだけでなく、マンションオーナーが簡単にできるDIYの動画や、防水や修繕の基礎知識はもちろん、保険の活用方法や節税対策・相続など入居率アップや空室対策になるセミナーを毎月実施しています。


松野(2021)

さらに美容家の福井美余さんの事例も勉強になります。

1年以上先まで予定が埋まるという人気講師でした。でも、このコロナ禍で講座が開催できなくなり、すべてキャンセルに。

そこで、オンラインのライブ配信に切り替え、コンテンツを全て見直した。

(中略)

お客様とのやり取りから、オンラインやテレワークで顔を見せる機会が増えたことと、マスク着用でのメイクが増えたことが分かってきたので、「オンライン映えするメイク法動画レッスン」や、「マスク映えするメイク法動画レッスン」などをコンテンツ化してライブ配信

(中略)

環境の変化は多くのストレスにつながります。そのストレスは、もちろん肌にもかかってくる。それを考えてライブ配信のコンテンツに「肌ストレス0」をベースに「肌ストレス0のメイク術」「肌ストレスをリセットするケア」「日中の肌ストレスを0に戻してくれるクレンジング法」などをコンテツ化してライブ配信

(中略)

ライブ配信していくと、視聴している方からコメントをもらったり、質問をもらったりしながら、たくさんの情報が集まってきました。

そこから、人気のあったものをバージョンアップして有料のオンライン講座にしたり、肌ストレス0がコンセプトの商品開発をして販売したりと、コロナ前はリアルのメイク講座だけだったのにもかかわらず、見事に変化をされました。


松野(2021)

まずは視点を変えよう!

上記でご紹介した事例はいずれも今後の対策を考えるにあたって大きなヒント・気づきになると思います。ただし当然ながら、すぐに誰もが実践にうつせるわけでもありません。

そこで、著者は先ほどお示しした通り、どうやって商品・サービスを販売するか?という「モノ視点」から、「つながり」たい相手の興味・関心や不安・不満・不便を探り、それに対して、どのようなお伝いができるのか?という「ヒト視点」へと目を向けることを提案しています。単にご紹介した事例を表面的に真似するのではなく、なぜそのような取り組みをしたのか?という考え方や視点を学ぶことが大切なのだと強調しています。

したがって、まずは「つながりたい」相手の興味・関心や不安・不満・不便をゆっくり想像してみることが初めの一歩となりそうです。そこから始めてみてはいかかでしょうか。

松野恵介氏 コト売り

資料)松野(2021)

最後に

マーケティングコンサルタントである著者には 、縁あって10年以上前から仕事をお願いするなど、たいへんお世話になっています。

そのため、紹介されている事例のうち、幾つかは過去のセミナーや他の書籍をとおして学んだことのある企業も含まれていました。中でも、 外装塗装や防水工事専門のマツミさんの事例は特に印象深かったです。なぜなら、以前に学んだ取り組みと比較すると、時流に合わせて実践内容がどんどん進化しているからです。単発で終わらずに、長期にわたって成果を出し続けていることに感服いたしました。このように一歩一歩着実に進んでいけることが理想的なのだと改めて実感しました。