こんにちは、新潟経済社会リサーチセンターの銀山です。 さて、 当センターでは毎月、新潟県経済の基調判断を発表しています。
当センターが独自に行っている 県内の企業様へのヒアリング調査やアンケート調査と、毎月発表される経済指標を通じて、 県内の景気動向を分析し基調判断をおこなっています。
今日は8月の基調判断をご紹介します。
8月の基調判断:横ばいで推移している県内経済 ~生産活動、個人消費ともに横ばいの動き~
概況としては、以下のように判断しました。
◦生産活動と個人消費は依然として横ばいで推移している。
◦設備投資と住宅投資は持ち直している。
◦一方、公共投資は減少が続いている。
◦総じてみると、県内経済は横ばいの動きとなっている。
全ての項目で、判断は据え置いております。 詳しくは「グラフで見る県内経済」をご覧ください。
生産活動は概ね横ばい圏内で推移しているものの・・・
当センターでは、新潟県の生産活動を2014年11月以降、「概ね横ばい圏内で推移している」と判断を据え置いております。
新潟県の生産活動を表す指数である「新潟県鉱工業生産指数(季節調整値)」をみても、一進一退が続いており、概ね横ばいで推移している状況がうかがえます(図表1)。
ただし、鉱工業生産指数(原指数)と関連性のある所定外時間労働指数(製造業)(図表2)や新潟県内販売電力量(産業用その他)(図表3)をみると、足元では、前年比でマイナスが続いている状況が続いております。
時間外労働時間や電力消費がマイナスであれば、工場の稼働時間もマイナスではないかと推測されます。したがって、2015年6月の鉱工業生産指数(原数値)は前年比プラスでしたが、7月は減少に転じることも懸念されます。
中国経済の減速が新潟県経済に与える影響
さらに、ここにきて中国経済の減速が報じられるなか、新潟県内企業の生産活動にも影響が徐々に出てきてているようです。当センターでヒアリングしている企業様からも、「中国からの受注が減少してきている」というお話を聞いております。
また、中国の貿易統計によると、2014年11月以降、輸入額は前年割れの状況が続いております。直近の2015年7月の輸入額では、前年比▲8.1%の1,521億ドル(約18.9兆円)となり、特に日本からの輸入は▲13.6%となり、マイナス幅が前月より6ポイント拡大しております。
こうしたヒアリング結果や統計などを合わせて考えると、中国経済の減速が新潟県の経済に与える影響は、少なくないとみております。
まとめ
足元、生産活動は横ばいで推移しておりますが、時間外労働時間や産業向けの電力販売が振るわない状況が続いております。また、中国経済の減速による影響も出てきております。
さらに株価の動きも不安定な動きをしており、先行きが心配される結果が徐々に出始めております。今後の生産活動の動向を注意深くみていきたいと思います。