こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。
突然ですが、「あなたは昨夜、夕ご飯に何を食べましたか?」
と聞かれると、思わず「何を食べたかな……」と考え始める時があります。
人は質問されると、その1秒間にA4サイズの資料で約30ページ分の情報を探し始めるそうです。つまり、人は質問されると、無意識に考え始めるように出来ているとも言えます。
ということは、お客様の興味や社内スタッフの関心を引き付けたい時には、質問をすれば良いわけです。今日は、質問を上手く活用したテクニックを解説したいと思います。
執筆は私どもの機関誌「センター月報」の連載をお願いしているビシネス心理学講師 酒井とし夫氏です。
質問の力
「センター月報4月号」で酒井先生は質問を上手に使って、セールス、交渉、接客、コミュニケーションをスムーズにする方法をご紹介しています。
私は様々な業界団体からお招きいただき、講演を行っています。今までに米穀小売、自動車整備、不動産、瘦身、眼鏡院、漢方、理容美容、寝具、会計、葬祭、出版、建設、専門学校、運輸、寿司、農林、旅行、燃料、メーカー、IT、中古車販売、新聞社、製造、ペット、歯科医、保険、金融、物流、地方自治体、商工団体等に伺いました。
すると知人からこういわれます。
「よく、そんなに多くの業界のことを知っていますね。相手とよく話が通じますね」
…正直にいうと私はこれらの業界のことを全然知りません。でも、担当者や参加者の方と深くコミュニケーションができます。なぜだと思いますか?
それは「質問をするから」です。私が相手に質問を投げかけると、相手の脳が毎秒A4資料30ページ分の情報を探し始めて、いろいろなことを教えてくれます。
「お米の消費量が減っているなかでどうやってお客様をみつけているのですか?」
「メガネを販売するときに一番難しいことって何ですか?」
「何があなたに40歳を過ぎてからペットショップを始めようと思わせたのですか?」
「毎日欠かさず行っていることはどんなことですか?」
「保険会社に入社すると最初にどんな仕事をするのですか?」
「この業界では優秀な販売員と普通の販売員の違いはどこにあるのですか?」
前述したように「人は質問をされると、無意識に考え始めるようにできている」のです。だから、私が講演会担当者や参加者の方の興味と関心を引きつけたいときには、私から質問をするのです。
すると、相手の方はどんどん情報を発信してくれます。私はその情報をインプットしながら、さらに質問をします。
「なるほど!優秀な販売員と普通の販売員の違いはそこにあるのですネ。それでは普通の販売員が優秀な販売員になるために今日からできることが1つあるとしたら何でしょうか?」
するとまた相手の方は考え始めます。そして、その答えを自分で口にしながらこういい
ます。「酒井さん、今自分で話していて気づきました!明日からさっそくスタッフにやってもらうことが分かりました!」…人は質問されると自分で情報を探し、その解を自らみつけ、納得して、自発的に行動に至ります。これが質問の力です。
酒井とし夫(2016)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第1回」『センター月報』2016年4月号
感想
私自身もアドバイスを求められる時があります。その際、上から目線で自分の意見を一方的に伝えるよりも、柔らかい質問を交ぜ合わせながら、自分の意見が受け入れられるような雰囲気づくりをした上で、意見を伝えた方が先方に喜ばれることが多い気がします。
「質問の力」は本当に凄いです。