新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、ビシネス心理学講師 酒井とし夫氏より、商売に役立つ心理学的なヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。
今月の「センター月報3月号」では、お客様に喜ばれる情報発信の方法についてご寄稿いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。
美味しいみかんの見分け方
地元のスーパーに「美味しいみかんの見分け方」と書かれたPOPがありました。
POPに書かれていた美味しいみかんの条件は次のとおり。皮に張りとツヤがある。
ヘタが小さめ。
重みがある。
皮がフカフカしていない。「なるほど!」と思いながら、私はそのPOPの前に並べられているみかんを観察します。そして、皮に張りとツヤがあるヘタが小さめのみかんを手に取ります。
けっこう重みがあるし、皮がフカフカしておらず、ハリがあります。「これは美味しいかもしれない」と判断して購入したわけです。
このPOPは商品の「選び方」に関する情報を発信しています。「おいしい!」「うまい!」「やすい!」といったように商品そのものを直接的にPRするのではなく、商品の選び方に関する情報を提供しています。
現代は商品やサービスが街中にあふれているので、お客様は「そのなかから一番自分に合ったものを選ぶ」ということがとても難しい時代です。選択肢が多すぎるのです。だから、選び方の情報を提供するとお客様は判断しやすくなり、その結果として購買に至る確率が増えることになります。
これはどんな商品のPOPでも応用できます。
「ゴルフクラブ」を直接的に販売訴求するのではなく、「初心者向け!失敗しないゴルフクラブの選び方3つの判断基準」をPOPで訴求し、その判断基準に適した商品を陳列する。
「健康食品」を訴求するのではなく、「太りにくい体質を作る5大栄養素」をPOPで教えてあげて、体内で生成できない栄養素を含む健康食品を陳列する。
「インテリア」を訴求するのではなく、「風水を生かしたリビングに福を招くインテリア5選」をPOPで情報提供して、そのインテリアを陳列する。
「圧力なべ」を訴求するのではなく、「圧力なべで作れる3分レシピ」情報を提供して、商品を陳列する。
「ベビー用品」を訴求するのではなく、「三歳児までのお母さん必見!アトピーを予防する5つの対策」情報を簡単に分かるようにPOPで説明して、その近くにベビー用品を陳列する…どんな商品でも応用できますネ。
想像して欲しいのですが、あなたの目の前に二人のセールスマンがいます。一人のセールスマンは、いつも自分の商品の説明ばかりをしています。もう一人のセールスマンは、その商品があなたの生活にどう役に立つのかについて情報を提供してくれます。この場合、後者から買う人の割合が多いはずですが、店頭POPの役割も同じです。
酒井とし夫(2020)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第48回」『センター月報』2020年3月号
感想
店頭のPOP広告だけではなく、すべての販促活動に通じる話だと思います。「自分の商品の説明ばかり」するではなく、「その商品があなたの生活にどう役に立つのかについて情報」発信するのが基本なのだと改めて実感しました。