新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
暑い日が続くと、ついつい冷たいものに手が伸びがちになりませんか?そこで、本日はアイスリームの売上高や消費動向について調べてみましたので、その結果をご紹介いたします。
アイスクリームの種類とは?
アイスクリームといっても、様々な種類があります。一般社団法人日本アイスクリーム協会のWebsite¹によると、乳成分の量によって4種類に分けられるそうです。具体的には、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓の4種類で、これらは2つの法律によって定められているそうです。
アイスクリーム(乳固形分15.0%以上 うち乳脂肪分8.0%以上)
乳固形分と乳脂肪分が最も多く含まれており、ミルクの風味が豊かに感じられます。
アイスミルク(乳固形分10.0%以上 うち乳脂肪分3.0%以上)
乳固形分と乳脂肪分はアイスクリームに比べて少ないですが、牛乳と同じくらいの乳成分を含んでいます。植物油脂が使われることもあります。
ラクトアイス(乳固形分3.0%以上)
乳固形分はさらに少なく、植物油脂が使われることもあります。
氷菓(上記以外のもの)
乳固形分はほとんどありません。果汁などを凍らせたアイスキャンディーやかき氷などがあります。
注:種類別の囲みをはずして表記しています。
一般社団法人日本アイスクリーム協会「アイスクリームの種類」
<https://www.icecream.or.jp/ice/kind.html> (2018年7月9日アクセス)
アイスクリームの形態とは?
アイスクリームは、乳成分の違い以外にも、見た目、形態からも分けられる時があるそすです。具体的には、以下のようなカップやスティック、コーンなど、9種類が例示されています。
カップ
紙やプラスチックのカップに、かぶせフタやシールをしたもの。60~200mlが一般的です。
スティック
木や樹脂のスティックがついた棒状のアイス。バータイプとも呼ばれます。
コーン
いろいろな形のコーンにアイスクリームをつめたもの。
モナカ
モナカにアイスクリームをつめたもの。
サンド
ビスケットなどでアイスクリームをサンドしたもの。
ファンシータイプ
ケーキ型、ロール型、もちアイスなどのアイスクリーム。
マルチパック
カップやスティックなどをいくつか、カートンや袋に入れたもの。
ホームタイプ
大型の容器にアイスクリームをつめたもの。470~2000mlのものが一般的です。
業務用バルク
2~10Lの大きさで、レストラン、居酒屋、アイスクリームショップなど業務用に使用。
一般社団法人日本アイスクリーム協会「アイスクリームの種類」
<https://www.icecream.or.jp/ice/kind.html> (2018年7月9日アクセス)
アイスクリーム等の売上高量の推移
続いて、アイスクリーム等の供給動向について確認してみましょう。
一般社団法人日本アイスクリーム協会が発表している統計情報をもとに、アイスクリーム類及び氷菓の売上高(販売金額)をまとめたものが下のグラフです。
最近の10年間の売上高をみると、増加傾向で推移しているのが理解できます。特に2015年度以降の増加額が大きくなっています。
ここで2017年度の売上高を先ほどご紹介した4つの種類別にみると、アイスクリームの売上高が最も大きく、以下、ラクトアイス、アイスミルク、氷菓の順となっています。なお、5年間と比べた増減額をみると、全ての種類で増加しており、中でもアイスクリーム、アイスミルクの増加が目立っています。
同様に、2017年度の売上高を形態別にみると、マルチパックの売上高が最も大きく、以下、紙カップ、その他、業務用、スティック、プラカップなどの順となっています。なお、5年間と比べた増減額をみると、全ての種類で増加しており、特に業務用と紙カップなどの増加が目立っています。
アイスクリーム等の消費金額の動向
続いて、総務省「家計調査」を使ってアイスクリーム等の需要側の動向をみていきましょう。なお、「家計調査」の見方については、こちらの投稿をご確認下さい。
年間支出金額の推移
まずは、「アイスクリーム・シャーベット」に対する1世帯当たりの年間支出金額の推移を確認します。
下のグラフをみると、生産量の推移と同様に、過去10年間は緩やかな増加傾向で推移しています。近年に限れば、3年連続で前年を上回っています。
支出金額と購入頻度
参考までに、アイスクリーム・シャーベットに対する1世帯当たりの年間支出金額と100世帯当たりの購入頻度を他の主要な菓子と比べてみました。すると下のグラフのとおり、年間支出金額・購入頻度ともアイスクリームは他の菓子を上回っています。つまり、菓子の中では最も親しまれている種類のひとつといえるでしょう。
月別の支出金額
また、2017年の支出金額を月別にみると、当然ながら7月と8月の大きさが際立っています。最も支出金額の大きい7月は最も支出金額の少ない2月の3.6倍の金額となっています。
その一方で、5年前の統計と比較すると、9月を除く全ての月で支出金額が増加しています。すなわち、冬を含めた通年での消費が進んでいることがうかがわれます。
年代別の支出金額
さらに、2017年の支出金額を世帯主の年齢階級別にみると、「40~49歳」の世帯で最も金額が大きく、次いで「30~39歳」となっています。恐らく、子供と同居している世帯で金額が多くなっているとみられます。
一方、5年前の統計と比較すると、全ての年齢階級で支出金額が増加しています。つまり、子供だけではなくシニア層を含めた大人による消費拡大が進んでいることがうかがわれます。
地域別の消費ランキング
参考までに1世帯あたりの年間支出金額および購入数量(2015年~2017年平均)を都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別²にみると、「金沢市」が年間支出金額で第1位、次いで「富山市」が第2位となっており、北陸地域の自治体が上位となりました。
なお、金沢市はそもそも「菓子類」全体の支出金額で第1位となっており、お菓子好きな地域といえるかもしれません。また、「ケーキ」「他の生和菓子」でも第1位、「カステラ」「チョコレート」で第2位、「スナック菓子」「他の洋生菓子」で第3位となっっています。
一方、私たちが住む新潟市は「アイスクリーム・シャーベット」で第29位とほぼ全国並みとなっています。「菓子類」全体でみても新潟市は第35位となっており、お菓子に対する支出金額は多くない地域のようです。
感想
予想以上にアイスクリーム等の売上規模が大きく、かつ増加していることに驚きました。
背景には、夏以外の春・秋・冬の需要開拓が進んでいるほか、子供以外の大人での消費拡大が進んでいることがありそうです。人口減少にも負けない取り組みとして、参考にできる事例かもしれません。
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¹
今回の投稿では、一般社団法人 全国アイスクリーム協会のWebSite(https://www.icecream.or.jp)「アイスクリームの種類」、同「統計・調査」を使用させていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
²
都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意下さい。
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