新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、ビシネス心理学講師 酒井とし夫氏より、商売に役立つ心理学的なヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。
今月の「センター月報7月号」では、ビジネスの現場で使える話し方のコツについて、ご寄稿いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。
ビジネスコミュニケーションでの効果的な伝え方 音量と間
特定のメッセージをより印象強く相手の心に残したい場合には声のボリュームを変えます。
例えば次の文章の太字の部分を少し大きめの声で話してみましょう。
「 あなたがいるとお店が明るい感じがする、とお客様がおっしゃっていましたよ」
「 部長が佐藤さんの企画センスは素晴らしい、といつも関心しています」
「 あなたには期待している、と社長も常々口にしていますよ」
「 こちらの商品が一番が好き、というお客様がとても多いですネ」
人の脳は大きめの音に無意識に注意が向きます。そのためより伝えたい単語を少し大きめの声で話すと自然にそのメッセージが相手やお客様に伝わりやすくなります。
(中略)
声のボリュームを変えると伝え方がぎこちなくなる人は次に紹介する間を意識しましょう。間を空けるだけでも伝わる内容と印象が変わります。では、次の文章の//部分で2秒の間をとって話してみてください。
「部長が//佐藤さん//の企画センスは素晴らしい、といつも関心しています」
このように間を空けた伝え方だと「佐藤さん」が強調されて、相手の印象に残ります。
では、次のように//部分で間を空けるとどうでしょうか。
「 部長が佐藤さんの//企画センス//は素晴らしい、といつも関心しています」
この場合は「企画センス」が強調されて、相手の印象に残ります。
もし、下記のように間を取ると「部長」が強調されます。
「 佐藤さんの企画センスは素晴らしい、と//部長が//いつも関心しています」
落語家・故桂歌丸師匠はインタビューで「落語家として大事にされていることは何ですか?」と問われて「間である」と答えています。
営業や接客に携わる方もこの間の取り方を少し意識して使うとコミュニケーションの力がぐんとアップします。
そして、間の取り方や前述の声の大きさを組み合わせると販売や接客の場でお客様に伝わる内容と印象を大きく変えることができます。たとえば下記の//部分で間を空けて、太字部分を少し大きめの声で読んでみてください。
(1)今日は//こちらのメニューがお勧めです。
(2)今日は//こちらのメニューが//お勧めです。
(3)今日はこちらのメニューが//一番のお勧めです。//
(1)は他の日はともかくとして「今日本日は」ということが伝わります。(2)は数あるメニューの中で「こちらのメニューを」強くお勧めしたい、という伝え方になります。(3)は何を置いても「一番お勧めしたい」という気持が伝わります。
プレゼンテーションや発表会の場では3秒から5秒程度の間を空けても大丈夫です。
私も講演中は思いっきり………間を空けることがありますが、これくらいの間を空けると、聞き手の視線がぐっとこちらに集まってきます。
視線が集まってきたら、そこで大切な商品名や商品特徴、価格等を大きめの声で話すことになります。
酒井とし夫(2019)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第40回」『センター月報』2019年7月号
感想
ビジネスの現場で人と話す際には、どうしても事前に用意していた「話すべきこと」に意識が向きがちです、その結果、どうしても抑揚のない話し方になりがちです。
そういった場合は、「音量」と「間」だけでも意識すると、随分、相手の印象が変わるのではないでしょうか。