健康経営の取り組みに関するアンケート調査

新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です

従業員の健康に配慮することで、生産性の向上や企業のイメージアップ、将来的な業績向上などを目指す「健康経営」(注)の取り組みが注目されています。

そこで、健康経営の取組状況を把握するため、県内企業1,000 社(有効回答660社)を対象にアンケート調査を行ないました。

本日はその結果の一部をご紹介します。

(注)健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

ラジオ体操

従業員などの健康保持・増進を目的に行なっている取り組み

すべての企業に従業員などの健康保持・増進を目的に行なっている取り組みを尋ねたところ(複数回答)、「定期健康診断の実施」の割合が97.1%と最も高く、以下「長時間労働の抑制」(55.6%)、「ストレスチェックの実施・フォローアップ」(48.8%)などとなりました。

「受動喫煙法」が2020年4月より全面施行されることなどから、「たばこ、受動喫煙防止対策」にも約4割の回答がありました。

なお、従業員などの健康保持・増進に向けた取組事例などを自由回答形式で尋ねると、「禁煙プロジェクトや健康チャレンジキャンペーンを実施し、健康保持・増進に取り組んでいる」(食料品)、「管理栄養士が作成した健康増進メニューを定期的に配布している」(卸売)、「健康教室の開催や定期歯科健診、自治体で取り組んでいる筋力トレーニングなどを実施している」(金属製品)といった声などが寄せられました。

 

従業員などの健康保持・増進を目的に行っている取り組み

従業員などの健康保持・増進で期待する効果

従業員などの健康保持・増進を目的とした取り組みを行なっている企業に対して、期待する効果を尋ねたところ(複数回答)、「従業員の健康意識の高まり」の割合が63.6%、「従業員の満足度・モチベーションの向上」が60.9%と、ともに6割を超えて高くなりました。以下「社内の生産性向上」(51.2%)、「人材の確保と定着」(47.0%)、「労災予防等のリスクマネジメント」(46.4%)などが続いています。

なお、取り組みの成果を自由回答形式により尋ねると、「メンタルヘルス不調者や長時間労働者に対して医師の面接指導を100%実施したところ、効果が高く、休暇が必要となる前に予防ができるようになった」(建設)、「午後3時に5分間のストレッチタイムを導入するなどしてモチベーションを向上させている」(繊維)、「社内に体重計、血圧計を設置し、個々で目標設定(スクワット20回など)をして取り組んだことにより、社員同士のコミュニケーションが向上した」(食料品)、「禁煙に取り組む社員をサポートするために、禁煙外来の受診費用を補助するようにしたところ、この制度を利用して数名が禁煙に成功した」(金属製品)といった声などがありました。

 

従業員などの健康保持・増進で期待する効果

 

 

従業員などの健康保持・増進を取り組むうえでの課題

すべての企業に従業員などの健康保持・増進を取り組むうえでの課題について尋ねたところ(複数回答)、「健康保持・増進を社内で推進する人材がいない」が 31.1%と最も高くなりました。以下「健康保持・増進に取り組む時間が確保できない」(29.4%)、「コストがかかる」(28.2%)、「個人情報保護の観点から健康情報を活用しづらい」(26.2%)などが続いています。

なお、従業員などの健康保持・増進を取り組むうえでの課題などを自由回答形式で尋ねると、健康保持・増進に取り組みたいが、現状では人材不足で従業員の業務負担が増えており、忙しくて思うように進んでいない」(建設)、「健康について個別にアドバイスなどは行なっているが、健康管理は個人の問題であるため、どこまですべきかわかりづらい」(金属製品)、「今のところ、大きな効果を感じていない」(小売)といった声などが寄せられました。

 

従業員などの健康保持・増進を取り組むうえでの課題

 

 

従業員などの健康保持・増進に向けた今後の取り組み意向

すべての企業に今後の取り組み意向を尋ねたところ、「やや力を入れたいと思う」(40.6%)の割合が最も高くなりました。次いで「力を入れたいと思う」(35.9%)となっており、これらを合わせた従業員などの健康保持・増進に『積極派』の割合は76.5%と7割を超えました。一方、「あまり力を入れようとは思わない」(0.8%)と「力を入れようとは思わない」(0.8%)を合わせた『消極派』の割合は1.6%にとどまりました。

従業員などの健康保持・増進に向けた今後の取り組み意向

まとめ

今回のアンケート調査をみると、健康保持・増進に向けた取組内容については「定期健康診断の実施」「長時間労働の抑制」「ストレスチェックの実施・フォローアップ」などの割合が特に高くなっていました。その一方で、健康経営を社内で推進する人材、時間、コストの確保などが課題としてあげられました。

こうしたなか、自由回答をみると、体重計・血圧計などの健康機器を設置するほか、従業員一人ひとりに筋力トレーニングなど健康に関する目標を設定する、あるいは、就業中にストレッチタイムを導入するなど、費用などをかけずに従業員の健康意識を高めたり、モチベーションを向上させたりして、効果を実感している企業もありました。このような工夫を凝らすことで健康経営への取り組みがさらに浸透していくことに期待したいです。

調査の要領

※本調査に関する詳しい内容については、当センターの機関誌「センター月報3月号」をご覧ください。