観光客が多く訪れる都道府県は?延べ宿泊者数の都道府県ランキング(2019年)

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

本日は毎年、ご紹介している「宿泊者数の都道府県別の動向(2019年)」について、お知らせいたします。年度ではなく暦年の結果であるため、新型ウイルスの影響が出始めた2020年1~3月の結果は含んでおりませんので、ご注意ください。

なお、2018年の結果については、「観光客が多く訪れる都道府県は?延べ宿泊者数の都道府県ランキング(2018年)」をご覧ください。

 

旅行者

※日帰りを含めた観光客の動向を正確にとらえることは難しいことから、今回は、宿泊施設に宿泊した人数である「延べ宿泊者数」を観光客に置き換えて把握することにします。

延べ宿泊者数(2019年)

宿泊者数の動向については、観光庁『宿泊旅行統計調査(年の確定値)』を活用しながら、確認していきます。

まず、全国の「延べ宿泊者数」(2019年)をみると、前年比10.8%増の約5億9,592万人泊となり、調査開始以来、最も多い宿泊者数となりました。このうち、日本人延べ宿泊者数は前年比8.2%増の4億8,027万人泊、外国人延べ宿泊者数は同22.7%増の1億1,566万人泊でした。ともに過去最多の人数です。特に外国人は初めて1億人泊を超えました。

宿泊統計・延べ宿泊者数の推移・2019年

なお、延べ宿泊者数に占める外国人の割合をみると、年々、上昇を続けており、2019年は19.4%と約2割に達しています。

宿泊統計・延べ宿泊者数の推移・2019年

一方、私たちが住む新潟県の「延べ宿泊者数」(2019年)は前年比11.9%増の約1,093万人泊となり、4年振りに前年を上回りました。これは調査開始以来、過去最多の人数です。

2011年を基準にすると、年によって上下していますが、全国が増加傾向で推移しているのに対して、新潟県はほぼ横ばいにとどまっていましたが、ようやく2011年の水準を超えることができました。

参考まで、全国の「延べ宿泊者数」を月別にみると、夏休み時期にあたる8月が突出して多くなっている一方、1~2月がやや少なくなっています。これに対して、新潟県の「延べ宿泊者数」は8月が最も多くなっているものの、4月、6月、12月などが特に低く、全国に比べて繁閑の差が大きくなっています。

宿泊統計・月別にみた延べ宿泊者

宿泊統計・月別にみた延べ宿泊者・新潟県

都道府県別にみた延べ宿泊者数(2019年)

全国の「延べ宿泊者数」を都道府県別にみると、2019年で最も「延べ宿泊者数」の多かった都道府県は東京都でした。以下、大阪府、北海道、沖縄県、京都府、千葉県、神奈川県、静岡県、福岡県などが続いています。大都市や著名な観光スポットを抱える都道府県が上位を占めています。また、全国1位の東京都の宿泊者数は、2位である大阪府の約1.7倍の規模となり、やや突出した人数となっています。

なお、前年比増加率をみると、上位の都道府県は軒並み増加していますが、2019年は京都府(前年比50.4%増)の伸びが顕著となっているほか、沖縄県(同22.7%増)、島根県(同22.4%増)、福岡県(同22..0%増)の伸びも目立っています。

一方、新潟県は前年と同様に16位でした。隣接県と比べると、長野県の11位、福島県の13位よりも下位にとどまっています。

宿泊統計・都道府県別の延べ宿泊者・2019年

都道府県別にみた平均滞在日数(2019年)

「延べ宿泊者数」を実宿泊者数で割ると、「平均滞在日数」が把握できます。参考までにこの日数も確認しておきましょう。

「平均滞在日数」は全国平均で1.342泊となり、昨年よりも0.010泊伸びています。これを都道府県別にみると、沖縄県が最も多く、1.621泊となっています。以下、京都府、東京都、大阪府と続いており、これらの地域では連泊する人が他の地域に比べて多いことがうかがわれます。大都市や著名な観光スポットを抱える都道府県が上位となっています。

一方、新潟県は1.318泊と13位となり、昨年よりも順位を1つ上げました。全国平均をやや下回る水準ではあるものの、昨年よりも0.012泊伸びています。数日にわたってスキーを楽しむ「スキーヤー」による利用などが後押ししているのかもしれません。

宿泊統計・平均滞在日数・都道府県別・2019年

客室稼働率の推移(2019年)

続いて、宿泊施設の「客室稼働率」をみてみましょう。全国における「客室稼働率」は、2019年で62.7%となりました。「延べ宿泊者数」の推移と同様に、「客室稼働率」は前年に比べ1.5ポイント上昇し、過去最高を記録しました。2011年以降、緩やかな上昇傾向で推移しています。

宿泊統計・客室稼働率の推移・2019年

2019年の客室稼働率を施設タイプ別にみると、シティホテルが79.5%(前年差-0.7ポイント)と最も高く、以下、ビジネスホテルが75.8%(同+0.3ポイント)、リゾートホテルが58.5%(同+0.2ポイント)、旅館が39.6%(同+0.8ポイント)などと続いています。

宿泊統計・施設タイプ別の客室稼働率・2019年

一方、新潟県の「客室稼働率」は2019年で44.3%となり、2年振りに増加し、過去最高となりました。ただし、全国平均を18.4ポイント下回るなど、依然として低い水準にとどまっています。

2019年の稼働率を施設タイプ別にみると、新潟県内ではシティホテルが68.4%(前年差+3.8ポイント)と最も高く、以下、ビジネスホテルが67.0%(同-1.0ポイント)、リゾートホテルが35.9%(同+2.2ポイント)、旅館が26.2%(同-0.1ポイント)などとなっています。

次いで、「客室稼働率」を都道府県別にみてみましょう。2019年で最も「客室稼働率」が高かったのは東京都で79.5%(前年差-0.5ポイント)でした。以下、大阪府が79.0%(同-0.6ポイント)、福岡県が71.7%(同-0.5ポイント)、千葉県が70.6%(同+2.0ポイント)などとなっています。大都市を抱える都道府県が多く、観光需要以外にもビジネス需要などを取り込んでいるものと思われます。

これに対して、新潟県は先程ご紹介したとおり、44.3%にとどまり、順位を1つ上げたものの、45位と低迷しています。施設タイプ別にみると、全国に比べて、特にリゾートホテルや旅館などの水準が低くなっています。

宿泊統計・都道府県別の客室稼働率・2019年

地域外(都道府県外)宿泊者の割合(2019年)

最後に、「延べ宿泊者数」を居住地別(都道府県内外別)にみることで、各地の特徴や商圏の広さなどを確認してみましょう。

「延べ宿泊者数」全体に占める地域外(都道府県外)の「延べ宿泊者数」の割合が高い地域をみると、山梨県が86.6%と最も高くなっています。以下、京都府が85.9%、奈良県が85.5%などと続いており、府県外の需要を取り込んでいる様子がうかがえます。一方、面積が広く、地域内の需要が大きい北海道は60.0%と最も低い割合となっています。なお、新潟県も69.9%と全国39位の低い水準にとどまっています。

宿泊統計・地域外・都道府県外別の延べ宿泊者の割合・2019年

※地域外の需要を地域内に呼び込めば、地域経済に大きな効果をもたらしますが、地域内の需要の大きさや、地域の面積の広さなどにも左右されるため、必ずしも地域外(都道府県外)の「延べ宿泊者数」の割合が高いほど良好な地域であるというわけではありませんので、ご注意ください。

感想

2019年の宿泊者数は概ね順調に推移したことが分かりました。

ただし、2020年に入ってからは少雪に加えて、新型ウイルスの影響により営業自粛などもあったことから宿泊者数は大幅な減少傾向で推移しています。感染が収まらない中、まずは感染拡大の防止策を徹底し安心・安全を提供していくことなどが求められており、宿泊業界にとって極めて厳しい局面が今後も続くと思われます。

なお、宿泊業における今後の経営のヒントとして、「引き算の経営」などの投稿もあるので、ご参照いただければ幸いです。

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参考:投稿で使用した観光庁「宿泊統計」の調査対象は以下のとおりです。

統計法第27条に規定する事業所母集団データベース(総務省)を基に、国土交通省観光庁で補正を加えた名簿から、標本理論に基づき抽出されたホテル、旅館、簡易宿所、会社・団体の宿泊所など。

調査対象施設については、従業者数に応じて以下のとおりとなります。

● 従業者数10人以上の事業所 : 全数調査

● 従業者数5人~9人の事業所 : 1/3を無作為に抽出してサンプル調査

● 従業者数0人~4人の事業所 : 1/9を無作為に抽出してサンプル調査