こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。
先日、経済産業省「観光予報プラットフォーム」の操作方法と活用方法についてご紹介しました。その際、新潟県の湯沢町を事例に取り上げながら説明いたしました。
今回は対象を新潟県内全ての自治体に広げ、県内の宿泊者数ランキングを作成してみましたので、その結果をご紹介していきます。
観光予報プラットフォームによる宿泊者数の把握方法
前回は、下記のようなグラフを使いながら、湯沢町の宿泊者数を調べてみました。その際の操作方法はこちらをご参照下さい。
▲湯沢町の宿泊者数
今回は、同じ分析を新潟県内の全自治体に実施してみました。その結果を合計して、まずは新潟県全体の宿泊者数の推移をグラフにしてみました。
前回の湯沢町のように、スキー場のある観光地では繁忙期が冬季にあたるのですが、新潟県全体でみると、夏休み時期である「8月」が最も宿泊者数が多くなっています。以下、「7月」「10月」「9月」と続いています。なお、昨年度はシルバーウィークと呼ばれた大型連休期間があったため、「9月」の宿泊者数が多くなったと思われます。
なお、2015年度の新潟県全体の宿泊者数は1,104万4,745人となっています。一方、観光庁の「宿泊統計調査」(速報値)をみると、1,131万600人となっています。調査方法や調査対象、調査期間は異なるものの、ほぼ同じような宿泊者数となっています。
続いて、自治体別の宿泊者数を調べてまとめると、以下の表となります。
表のとおり、最も宿泊者数の多い自治体は「新潟市」となりました。以下、「湯沢町」「南魚沼市」などが続いています。
新潟県によると、2015年3月末現在で県内には、宿泊施設のある温泉地数が151件あり、全国で第3位となっているそうです。したがって、有名温泉地のある自治体が上位を占める結果となっています。
ただし、新潟市には岩室温泉をはじめとした温泉地が含まれているものの、宿泊者数の多くは新潟市中央区の宿泊者によるものです。
その結果、新潟市の宿泊者数を参加形態別にみると、ビジネスマンが多数含まれる「一人」が多く、年齢層別では「中年層(40~59歳)」が最も多くなっています。したがって、購入単価層でみると、「~9,999円」が主力となっています。当然ながら、1泊2日の夕食付きが多い観光地とは異なり、素泊まりが多いためと思われます。
イベント(Jリーグ開催)が宿泊者数の増加に寄与するのか?
なお、次の操作を加えると、開催されたイベントとの関連性も確認できます。
- 左のメニューバーから「観光実績」の「単純集計」をクリック。すると、正面に「単純集計」のグラフが表示される。
- 表示されたグラフは上からの設定でみると、「グラフで見る」-「宿泊実績(単位:人)」。その右の「季節・イベント」をチェック。さらに右が「日」となっているのを確認。
その上で、調べたい期日の黒円にカーソルを合わせると、該当するイベントが表示されます。
例えば、昨年度の宿泊者数を日別にみた場合、13番目に宿泊者数の多かった日である7月11日(土)にカーソルを合わせると、サッカーJ1リーグ「アルビレックス新潟」対「鹿島アントラーズ」の試合がおこなわれたことが分かります。
土曜日ということもあり、他に大きなイベントが開催された可能性もありますが、サッカーの試合が宿泊者数の増加にある程度は寄与していることが推察されます。
まとめ
実は、「季節・イベント」をチェックすることでイベント名が表示される自治体は限られます。ただし、日別の宿泊者数を確認できるということは、該当自治体で開かれたイベントの期日さえ把握していれば、宿泊者数がどう変化したのかを調べることはできます。
したがって、簡便的なイベントの効果測定にも使えそうです。
注:
5月13日に更新されたデータをもとに作成しているため、今後の更新次第では数字が変動する場合があります。
資料:
新潟県「新潟県の温泉」http://www.pref.niigata.lg.jp/
kankyokikaku/1233172953946.html
(2016年5月19日閲覧)
経済産業省「観光予報プラットフォーム」
https://kankouyohou.com/
(2016年5月19日閲覧)