変化がみられる新潟県の企業の輸出相手国の状況

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

新潟県内の企業の輸出入や海外進出の実態について調査している「新潟県輸出入状況・海外進出状況調査」の令和2年度版(輸出入は令和元年の実績、海外進出は令和2年3月末現在の状況)が新潟県より公表されました。(https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/sangyoseisaku/1203440477754.html)

今回は、令和2年度版の調査結果と過去の調査結果を使って、新潟県の企業・事業所の輸出状況の推移について整理してみることとします。

新潟県輸出入状況・海外進出状況調査の概要

調査項目等

「新潟県輸出入状況・海外進出状況調査」は、年に1回、新潟県が行なっている調査です。具体的には、新潟県内に本社のある企業または事業所のある企業を対象に、輸出入と海外進出の状況についてアンケート調査形式で行なっているものです。令和2年度版の報告書に掲載されている調査票をもとに、主な調査項目を挙げると以下のとおりです。

なお、輸出入状況については、新潟県内に本社のある企業または事業所のある企業の両方が回答し、海外進出状況については、新潟県内に本社のある企業のみが回答することとなっています。

➀回答企業・事業所の概要(企業名・事業所名、所在地、業種、資本金等)

②輸出状況:輸出品目、仕向国・地域名、輸出金額、貿易形態

③輸入状況:輸入品目、仕入国・地域名、輸入金額、貿易形態

④海外進出状況:進出国・都市、海外事業所名、所在地、進出形態、機能

調査対象企業数、回収率等

令和2年度版の報告書をみると、調査対象の企業数は1,150社となっています。
なお、調査対象企業の選定は、従来のリストをベースに、新聞報道等で把握した企業をピックアップしているとのことです。

また、令和2年度の回収数と回収率は725社・63.0%となっています。回収数・回収率は調査年によって、ややバラつきがあるようです。

その他

同調査以外に新潟県の輸出入の状況を知る調査・統計として、税関が取りまとめている「 新潟税関支署 管内貿易概況」 がありますが、これは新潟県内の港湾・空港を利用した輸出入の状況をまとめたものです。したがって、「 新潟税関支署 管内貿易概況」における輸出入には、新潟県内の企業・事業所のみならず、新潟港や直江津港、新潟空港などを利用した県外の企業・事業所の輸出・輸入も含まれると考えられます。その一方で、県内企業のなかで、他の都道府県の港湾や空港を利用して行なった輸出入の状況を把握することはできません。

一方、「新潟県輸出入状況・海外進出状況調査」 は、新潟県内の企業・事業所を対象としており、新潟県内の企業・事業所の輸出入の状況を知ることのできる数少ない調査の一つとみられます。

直近の新潟県の企業・事業所の輸出の状況

令和2年度版の報告書をみると、令和元年の新潟県の輸出額は3,118億円となり、前年(平成30年・3,191億円)の97.7%となっています。ただし、年によって調査対象企業数が異なることから単純な時系列比較はできません。

そのようななか、令和2年度版の報告書では、同調査に継続的に回答している企業・事業所の輸出額を集計したものを公表しています。それによると、輸出額について継続的に回答があった企業・事業所の輸出額は2,292億円となり、前年(平成30年・2,021億円)の113.4%となっており、前年から1割強増加していることがわかります。

以上の2つの結果をふまえると、令和元年の新潟県の企業・事業所の輸出額は比較的堅調であったのではないかと推察されます。

輸出相手国としてアジアの国々が台頭

次に、令和2年度の調査結果と過去の調査結果を使って、輸出の仕向国・地域(輸出相手国・地域)の上位10か国・地域の変遷を整理してみました。

平成17年・平成22年・令和元年とも 、上位3か国・地域については「中国」「アメリカ」「韓国」の3か国が占めています。4位以降についても名を連ねる国・地域は概ね同様となっていますが、「インド」は平成22年の8位から令和元年には5位に上昇したほか、「フィリピン」「ベトナム」は平成22年のランク外から令和元年にはそれぞれ8位・10位にランクインしています。このところ、アジアの国・地域向けの輸出が急速に増加している様子がうかがえます。

まとめ

同調査を利用することで、新潟県内の企業・事業所の輸出入額の規模感をつかめることがわかります。また、参考の域を出ないかもしれませんが、輸出入額の時系列推移を確認することもできます。さらには、過去の報告書も活用しながら、ひと手間加えることで、上記のような輸出相手国の変遷についても整理することができます。

このような身近な調査・統計を使った作業・分析を試みるだけでも、新潟県内の企業の活動の変化を知ることができるほか、産業構造も少しずつ変化している可能性があることを改めて感じました。