『小さくはじめる起業の教科書』の感想

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

当センターで発刊している「センター月報」に毎月、ご寄稿いただいている酒井とし夫先生の新刊が発刊されました。そこで、今日はこちらの書籍をご紹介したいと思います。

 

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ひとり起業の立ち上げ方・続け方とは?

近年、「自分の培ってきた経験・ノウハウを活かして自分らしい仕事をしたい」といった理由などから、起業を考える人も多いと聞きます。

こうした中、酒井先生の新刊は、自宅をオフィスにしてスモールビジネスを始めようとしている、いわゆる「ひとり起業家」や、フリーランスとして既に活躍されている方に向けて書かれた書籍です。具体的には、起業の進め方や起業後に成果を出し続ける方法について解説されています。 もちろん、会社に勤めているビジネスマンが読んでも、参考になる点の多い書籍です。

書籍のタイトルは、『小さくはじめる起業の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)。

前半は起業する際の注意点や準備などについて書かれています。経営に対する心構えについて、抽象的になりがちな点をご自分の経験を交えながら分かりやすく説明されています。酒井先生の1冊目の書籍『小さな会社が低予算ですぐできる広告宣伝心理術』以来、久しぶりに経営の大枠について酒井先生の考え方に触れることができ、とても刺激的でした。

一方、後半は安定的に売上・受注を獲得し続けるための細かなテクニックがアナログ・デジタル双方を網羅して掲載されています。これは酒井先生の2冊目以降の書籍でお馴染みの「泥臭い」細かな具体策が次から次へと紹介されています。例えば、お客様に自社のことを覚えていてもらえるようにお礼状を出すことがすすめられており、酒井先生ご自身も、すぐにお礼状が書けるようにと私製ハガキとオリジナル切手、そして万年筆とボールペンを常に準備していることなどが紹介されています。

このように、経営に対する心構えから、明日すぐに取り掛かれる具体的な方策まで、幅広く学べるのが本書の特徴かもしれません。

書籍の中で特に印象的だったのは、「自分の好きなこと、あるいは過去のビジネス経験を起業に活かしましょう」と繰り返し、語られている点です。

あなたの能力を「顧客のため」に使うようにすると、結果として「あなた」に成功がもたらされます。

(中略)
料理が好きなら、料理下手で悩んでいる顧客のために自分の能力を活かせばよいのです。

(中略)
英語が得意なら、英語で悩んでいる人のためにその能力を役立てるのです。



酒井とし夫(2020)『小さくはじめる起業の教科書』日本能率協会マネジメントセンター pp.74-75

パソコン教室の顧客は、パソコン操作のできない人です。バソコンができない人からお金を頂いて、それが売り上げになるわけです。

すでにパソコンができる人にさらに難しいこと、高度なことを教えてお金を頂くより、パソコン操作ができない人からお金を頂いたほうがビジネスとしては簡単です。

(中略)

「今、自分で持っている能力や技術を、それを持っていない人に向けて売ると利益が出る」というのがビジネスの原則です。



酒井(2020), p.76

実はあなたが好きなこと、他の人よりちょっとだけ優れていること、他の人より少し興味が強いこと、昔から得意だったこと、経験してきたこと、今ある手持ちの材料、手持ちの人脈、そういった「今までの自分」や「今の自分」の中に成功の種子はあります。自分では「他の人よりちょっと優れている程度」だと思うことでも、実はとても大きな大きな成功の種子だったりします。



酒井(2020), p.81

感想

新型コロナウイルスの影響から経済が低迷している時期であるからこそ、実行に移せる対策は一つひとつコツコツと着実に行動することの大切さを最近、実感していまいす。そのため、本書の「おわりに」に書かれている一部分が特に心に響きました。この部分を最後にご紹介したいと思います。

「名刺を作ったからといって、すぐにお客様が一気に増えるわけでない。

POPを変えたからといって、明日から商品がどんどん売れるわけではない。

看板を変えたからといって、来月から売り上げが一気に上がるわけではない。

商売は1/100積み重ね。

1/100を2つ、3つ、4つと積み重ねて、1/100を100積み重ねる。

商売はあの手この手にもう一丁。

できることは全部やれ。」


酒井(2020), p.237

何事も積み重ねが大切なようです。コツコツ積み上げていきたいと思いました。

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本書は酒井とし夫先生からご恵贈いただきました。ありがとうございます。