「地方移住・定住への関心の高まりと県内の取り組み」と題した調査レポートをまとめました

これまで東京圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)への一極集中が進む一方、地方では高齢化や人口減少が大きな課題でした。しかし、新型ウイルスの感染拡大に伴いテレワークなど多様な働き方が広がるなか、地方移住に対する関心が高まりをみせ、新潟県内でもリゾートマンションでのワーケーションや、地域おこし協力隊を活用するなどして移住者・定住者の増加に取り組む動きが増えています。

そこで、こうした県内の取り組みについて特徴的な事例を踏まえたうえで、移住・定住の促進に向けたポイントを整理した調査レポートの一部をご紹介したいと思います。

 

人口移動 転出 転入 引っ越し

東京圏との人口移動は2020年下半期に106人の転入超を記録

内閣府が2021年4月末~5月上旬に実施した「第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、東京圏在住で地方移住に関心を持つ人の割合は、19年12月の25.1%から足もとでは33.2%へ増加しています。特に東京23区内に居住する20歳代では、その割合が38.9%から48.2%へと増加し、半数近くに達しています。

東京圏在住者を中心に地方への移住を支援する認定NPO法人ふるさと回帰支援センターによれば、移住に関する相談件数は近年大きく増加しており、新潟県は同センターの移住希望地ランキングで常に上位に挙げられています(図表1)。また、総務省「移住相談に関する調査結果」によれば、19年における本県への移住相談件数は14,873件であり、長野県、北海道、兵庫県に次ぐ全国4位の多さです。本県は1住宅当たり延べ床面積や、0~4歳人口1万人当たりの保育所数が、ともに政令市を擁する道府県中1位であるなど、東京圏に比べて生活面でゆとりがあり、こうした点も評価されていると考えられます。

移住希望地ランキング

実際の人の動きにも特徴的な動きがみられる。本県と東京圏の人口移動は、1995年以降、26年連続で本県からの流出が東京圏からの流入を上回っています。しかし、2020年は新型ウイルス感染拡大の影響により転出者が大きく減少した一方、転入者が増加した結果、下半期に限ると106人の転入超となっています(図表2)。

東京圏等との人口移動

東京圏在住の30代に多いUターン転職相談

県はこの流れを好機ととらえ、UIターンの促進に力を入れています。2021年4月には、それまで3つに分散していた都内の相談窓口を「にいがた暮らし・しごと支援センター」に統合しました。県産業労働部しごと定住促進課によれば、今年4月以降に同センターへ登録のあった相談者の大半が東京圏在住のUターン希望者で、年齢は30代が中心です。このため住まいに関する相談は比較的少なく、転職に関する内容が大半を占めるそうです。

この点について、県内で求人開拓を担当する同センターによると、「相談者の多くは自分の専門性をなるべく活かしたいと考えているが、県内企業は1人でさまざまな職種をこなせる人材を求める傾 向が強い」と、マッチングの難しさを指摘しています。

県内での取組事例

県内の市町村も、さまざまな支援制度を用意して移住・定住の促進に取り組んでいます。分野別では、住まい(住宅取得・改築・家賃に対する補助、空き家バンク等)と仕事(地元就職者への支援金、起業・創業支援等)に関するものが中心であり、このほか市町村独自の移住支援金や、結婚・出産への祝金、移住体験ツアーなどが挙げられます。

なお、調査レポートでは、この中からそれぞれに特徴を持った湯沢町、新潟市、十日町市の3件の取り組みを紹介しています。

  • 【湯沢町】 民間事業者・きら星株式会社との連携により2年あまりで38人が移住
  • 【新潟市】 年間1,000件近い起業相談から生まれるUターン起業
  • 【十日町市】「 卒業後の定住率70%」を目標に地域おこし協力隊員を積極的に受け入れ

まとめ

本調査レポートで紹介した県内の事例を踏まえ、地域として移住・定住を促進するうえでのポイントを以下のように整理しました。

  • 官民連携と相談者への「伴走型支援」
  • 受け入れる企業の理解・協力
  • 地域住民との交流

新型ウイルスの感染拡大を機に、多くの人々が自らの働き方や生き方を見つめ直し、新たな価値観に目を向けるようになりました。地方へ追い風の吹いているうちに、地域が一体となって移住希望者のニーズに丁寧に対応し、都市部から本県への人の流れがより大きなものとなることに期待したいと思います。

詳しくは、Monthly2021年9月号「地方移住・定住への関心の高まりと県内の取り組み」をご覧ください。