新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。
来週月曜日の4月17日は「なすび記念日」なのだそうです。全国農業協同組合連合会 福岡県本部(JA全農ふくれん)のWebsiteによると、次のような由来が記載されています。
冬春なす生産6県(福岡・高知・熊本・岡山・佐賀・徳島)では、なすをもっと食べてほしいという願いを込めて、平成16年2月9日に2つの記念日を制定しました。この2つの記念日は、冬春なすの最盛期が4月であることや、4月17日と書いて「よいなす」と語呂もいいことなどが由来となっています。また、毎月17日を「国産なす消費拡大の日」として料理提案などを行っています。
全国農業協同組合連合会 福岡県本部(JA全農ふくれん)のWebsite「なすび記念日」
https://zennoh-fukuren.jp/consumer/vegetables/nasu
なお、なすは出荷時期により「冬春なす」と「夏秋なす」に分けられ、このうち「冬春なす」の多くは西日本、特に九州や四国で栽培されています。
新潟県産のなすが出回るにはまだ早い時期ですが、本日は「なすびの日」にちなんで、新潟のなすの統計データをご紹介いたします。
なすの種類と特徴
まずは、新潟のなすについて理解を深めましょう。
なすはインド東部で生まれ、日本では奈良時代に既に栽培されていたそうです。そのため、われわれ日本人にとっては古くからの馴染み深い野菜のひとつとなっています。
また、新潟県「7月の旬 なす」によると、新潟県産のなすの概要は次のようにまとめられます。
- 新潟は古くからのなすの産地である。地域特産的な産地が各地にあり、きんちゃく型の十全なすや丸なす、長なす、焼きなすなど様々な品種が出荷されている。
- 主な産地は、新潟市北区、燕市、糸魚川市など。
- 新潟県から出荷されているものの多くは3月に種をまき、5月に定植されたもの。
- 早いものは6月中旬から出始め、7月上旬からお盆にかけてピークを迎える。10月末ごろまで出荷が続く。
なすの供給動向~全国的な作付面積・収穫量・出荷量~
次いで、全国的な栽培動向について確認してみましょう。
農水省「野菜生産出荷統計(平成27年産)」から供給側の動向を確認してみます。すると下の表の通り、作付面積を都道府県別にみると、新潟が第1位。以下、群馬、山形の順となっています。一方、収穫量と出荷量では、高知、熊本、群馬の順位となっています。新潟は作付面積で全国1位であるものの、収穫量で11位、出荷量で20位にとどまっています。
作付面積の割には収穫量・出荷量が少ない背景には、新潟の場合、①収穫・出荷期間が夏から秋に限られ、他の都道府県に比べて栽培期間が短いことや、②栽培したなすを家族、親戚、知人の間で自家消費してしまうため市場に出まわる量が限られている可能性などが指摘されています。なお、山形、秋田も新潟と同じく作付面積の割には収穫・出荷量が少なくなっており、新潟と同じような要因があるとみられます。
なすの需要動向~1世帯あたりの年間支出金額と年間購入数量~
続いて、総務省「家計調査」を使って需要側の動向をみてみます。なお、「家計調査」の見方については、こちらの投稿をご確認下さい。
その上で、なすに対する1世帯あたりの年間支出金額(2014年~2016年平均)を参考までに都道府県庁所在市(政令指定都市を含む)別¹にみると、京都市、新潟市、横浜市の順となり、新潟市は全国第2位となっています。
また、同様に1世帯あたりの年間購入数量(2014年~2016年平均)をみると、新潟市、青森市、京都市の順となり、新潟市は第1位。全国平均の約1.5倍の量のなすを購入しています。先ほど述べた通り、この他にも自家消費している量も加わることから、それも考慮すると、まさに「なす」好きな市民と言えるでしょう。
念のため、なすに対する1世帯当たりの年間支出金額の推移も確認しておきましょう。長期的には微減の傾向をたどっていたものの、2012年を底に3年連続で上昇しています。
また、同様に月別でみると、当然ながら6~8月を中心に夏場の支出金額が高くなっています。
感想
このように数字で確認すると、新潟の「なす好き」な側面が改めて実感できます。
新潟県産のなすが食べられるのは、まだ先ですが、4月17日は「なすびの日」ですので、なす料理で食卓を囲んでみてはいかがでしょうか。
なお、北陸農政局「今月の園芸特産作物 9月 なす」によると、
濃いむらさき色でツヤがあり、ヘタの部分が尖って痛いものが新鮮です。ほとんどが水分なので張りと弾力があり、ずっしり重く首まで太ったものを選びましょう。
北陸農政局「今月の園芸特産作物 9月 なす」
http://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201309.html
とのことです。新鮮ななすを選んで、家族と一緒に食事を楽しんでみて下さい。
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¹
都道府県庁所在市(政令指定都市含む)の結果はサンプル数が少ないため、参考として記載しました。必ずしも実態を反映しているとは限りませんので、ご注意下さい。
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参考資料(全て2017年4月10日アクセス)
全国農業協同組合連合会福岡県本部(JA全農ふくれん)のWebsite「なすび記念日」
https://zennoh-fukuren.jp/consumer/vegetables/nasu
奈良県のWebsite「本県の冬春ナス」
http://www.pref.nara.jp/24189.htm
農水省のWebsite「なす生産量上位について」
http://www.maff.go.jp/j/kids/crops/eggplant/farm.html
農水省のWebsite「ナス どこからきたの?」
http://www.maff.go.jp/j/agri_school/a_tanken/nasu/01.html
立山千草、本間伸夫(2005)「新潟における“なす”の生産と消費」『県立新潟女子短期大学研究紀要』Vol.42
http://nirr.lib.niigata-u.ac.jp/bitstream/10623/17912/1/09_42_0018.pdf
農畜産業振興機構のWebsite「産地紹介 新潟県新潟市北区木崎(なす)」
http://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/santi/0709/santi1.html
農水省「野菜生産出荷統計(平成27年産)」
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_yasai/index.html
マイナビニュースのWebsite「【レポート】知る人ぞ知る“ナス王国”新潟県で、品種別のおいしい食べ方を教わった!」
http://news.mynavi.jp/articles/2012/10/05/ryokonigatanasu/
総務省「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(平成26年(2014年)~28年(2016年)平均)」
http://www.stat.go.jp/data/kakei/5.htm
総務省「家計調査年報(家計収支編)平成27年(2015年)」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001153656
北陸農政局のWebsite「今月の園芸特産作物 9月 なす」
http://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201309.html