うなぎの養殖で「安田瓦」の町を活性化

新潟経済社会リサーチセンターの尾島です。

今回は、うなぎの養殖による地域活性化に取り組む㈱つかさコーポレーション(阿賀野市)の羽田一樹会長にインタビューした原稿の一部をご紹介いたします。

 

瓦テラス

「瓦テラス」での地域活性化の取り組み

~安田地域を元気にしたい先代社長の思い~

阿賀野市にある㈱めんつうの先代社長(羽田一司氏)は、当地で安田瓦製造業の経営者から経営の手ほどきを受けて製麺業を興した体験を持ち、現在の地場産業の衰退に心を痛めていた。

当時、阿賀野市と安田瓦協同組合では瓦の装飾や瓦アートによって町の景観となる瓦ロードを整備していた。同氏は地域活性化のためには、食材や料理を提供して認知度を高めることで、再び当地域を安田瓦のまちとして市内外から多くの人を集客し、活気をとり戻したいという思いから、日本人が大好きなうなぎの養殖を目指していた。

~先代社長の思いをつなぐ~

ところが、先代社長は急病により2016年に逝去されたため、現社長の羽田一樹社長は、なんとか父の思いを繋ぎ実現したいと思った。そのためには他地域の特産品と差別化でき、インパクトのある地域ブランドを開発する必要があった。検討を重ねた結果、新潟では難しいとされた30度前後の水温管理が必要なうなぎの養殖しかないと考え、2016年5月よりうなぎの養殖を開始した。

~産学官金連携により瓦テラスを設立~

うなぎの養殖は、うなぎの稚魚を仕入れて生け簀で7・8カ月かけて成長させたものを商品にする。このため、養殖専門の会社である㈱あがの夢コラボを16年に設立した。また、18年にはうなぎ料理やパック製品の提供とともに、阿賀野市内の特産品の情報発信拠点として建設する「瓦テラス」の運営会社として、㈱めんつう、あがの夢コラボのほか、地元酪農家と安田瓦の製造業者の4社共同で㈱つかさコーポレーションを設立した。

計画では、阿賀野市からの助言を受け総務省の「次世代コラボ創造支援事業」に申請し補助金の採択を受けたほか、地元の阿賀野高校や金融機関を含む産学官金連携での事業に発展した。

また、プロジェクトの策定にあたっては、新潟三越伊勢丹・新潟博報堂の「NIIGATAみらいプロジェクト」の支援を受け建物デザインでのアドバイスを受けた。安田瓦を使用した屋根の傾斜を伸ばして来場者が自由に瓦に触れることができるように工夫したほか、百貨店での販売が実現するなど、専門家のノウハウを結集して進められた。

 

うなぎ

~知名度の向上と事業の現在~

昨年は、新型ウイルス感染症の拡大もあって経営は順風満帆というわけにはいかないが、次第に瓦テラスのうなぎの認知度が上がってきた。これにより、昨年秋にはうなぎ製品が一時欠品するほどの売れ行きで、養殖事業開始後3年目にして事業としても黒字が計上できるようになった。

~地元高校生のアイデアを活かす~

メニュー商品の開発にあたっては地元阿賀野高校の生徒会を窓口にして生徒から商品アイデアを募り、若者のアイデアを活用した「パフェプリン」から始まる「阿賀高プリン」シリーズを開発した。

阿賀野高校では、20年度から総合選択制の高校としてキャリアデザイン教育に力を入れ、学校独自の科目を設定していた。1年生次の「自分デザイン」の科目では、「地域のことを知り、将来を考えるための地域連携」として、授業に地元の企業経営者を講師として招いた。さらに、授業の一環として講師のアドバイスを受けながら生徒達が瓦テラスのメニューアイデアを練り、瓦テラスと高校生のコラボ商品第3弾となる「まるでウナギ丼」と「あがのシフォンサンド」が考案された。

 

うなぎミルフィーユ

~今後に向けた取り組みの方向性~

今後は、現在の事業に専念しつつも今まで以上にイベント会場など、地元と市外の人達との交流の場として瓦テラスの活用を進めたいという。市外の多くの人達から当地域に来てもらうためには、豊富な地元資源を活用した新製品を提供するとともに、地域との連携を強化することにより、情報の発信拠点機能をいっそう高めたいとしている。

また、近年は少子化により、地元高校への進学者数も年々減少している。若者達が地元に誇りと希望を持ち卒業後もこの阿賀野市で就職してもらえるようにするために、これからも尽力していきたいという。

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「センター月報」 2021年3月号の 「地方創生の視点」を加除修正しました。