消費動向調査をもとに新潟県内の景気の現状を確認(2020年4月)【テキストマイニング】

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

先日、「日本銀行「地域経済報告(さくらレポート)」をもとに2020年4月の景気の現状を確認【テキストマイニング】」という投稿をいたしました。具体的には、ヒアリング先の企業等から聞かれた声を、「テキストマイニング」と呼ばれる方法で可視化することにより、景気の現状について分析したものです。

同様に、本日は新潟県内の消費者に対して実施した「2020年夏期消費動向調査」で尋ねた自由回答の結果を可視化することで、県内景気の現状について分析した結果をご紹介いたします。

 

消費マインド 調査 買い物

「2020年夏期消費動向調査」の概要

弊社では2020年7月初旬に「新潟県消費動向調査 2020年夏期」の結果を公表しました。本調査はインターネット調査会社に登録しているモニターのうち、新潟県内の勤労者世帯400人に対し、2020年4月中旬から下旬にかけて、質問紙調査(アンケート調査)したものです。

参考までにその結果をみると、新型ウイルスの影響により「収入」や「ボーナス支給予想」が大きく低下したほか、外出を伴う消費行動の抑制を背景に「消費支出」も急減していることが分かりました。ただし、「食事のデリバリー・テイクアウトの利用」「ネットショッピング」などの利用頻度が上昇するなど、家の中での生活を楽しむ、いわゆる「巣ごもり消費」が広がっていることがうかがえる内容となっています。詳しくは「新潟県消費動向調査 2020年夏期」をご覧ください。

なお、「2020年夏期消費動向調査」では、「収入・消費額・生活実感などについて、半年前と比べて何か変わったことはありましたか?」といった具合に、自由回答形式で尋ねた質問があります。その分析結果¹を以下に詳しくご紹介したいと思います。

上記の 「収入・消費額・生活実感などについて、半年前と比べて何か変わったことはありましたか?」 という質問に対して記載された自由回答の記述をみると、最も多く用いられた語は「ウイルス」という語であり、以下「変わる(変わらない等を含む)」「増える」「減る」「特に」「収入」「影響」「消費」などが続いています。すなわち、新型ウイルスの感染拡大により「収入や消費が増えた」という指摘や反対に「減った」との声がある一方、生活については「特に変わったことはなかった」といった記述も多くなっていることが、実際の自由回答の原文から確認できます。

2020-夏期消費動向-ワードクラウド

※ ワードクラウドで表示。ワードクラウドとは、出現数の数の多さを、単語の大きさで表現・図式化したものです。

より詳しい内容を確認するために、記載された自由回答について出現パータンが互いに似通っていた語の組み合わせを示すと、下の共起ネットワークの図となります(最小出現数5回以上、出現回数の上位60位以上)。

2020-夏期消費動向・共起・自由回答

※大きな円ほど出現数が多く、太い線ほど関係が強いこと表しています。

図をみると、右の青色のグループのように「新型ウイルスの影響により仕事や収入が減った」といった種類の声が多くなっていることが、実際の自由回答の記述から確認できます。また、同様に赤色のグループをみると、「学校の休校などによって子供が自宅で過ごしていることもあり、食費を中心に支出が増えている」との種類の記述もみられます。その一方で、図・斜め左下のオレンジ色のグループでは「変わったことは特にない」といった意見も数多くあることが確認できます。

また、図・真上付近の緑色のグループをみると、「消費税率の引き上げに伴い生活が苦しい上に、マスクなどの医療用品を買うのが負担になっている」といった種類の声や、「景気が悪いほか、外出自粛もあり、外食に出かける頻度が少なくなった」といった種類の指摘も多くなっています。

これに対して、図の真下付近の黄色のグループでは、「新型ウイルスの感染拡大に伴い、勤務時間や営業手当などか変わった」といった種類の声や、新型ウイルスや景気とは関係なく「定年や就職で生活が大きく変わった」との記述、「幼児教育・保育が無償になった」との意見も寄せられています。

なお、下記の図のとおり、共起ネットワークを年代別に分析すると、 20代では「外出を控えるようになった」といった種類の記述や「転職や幼児教育・保育の無償化」などで生活が変化したといった記載が多くなっているほか、「変化はなかった」との意見も、実際の自由回答の声から確認できます。同様に30代では「子供の成長などもあり、消費が増えた」、40代では「新型ウイルスの影響により、食費は増える一方、仕事や収入が減った」といった種類の声が比較的多く記載されています。一方、50代では「残業が減り収入も落ちて、支出が増えている」「特に変わったことはない」、60代では「特に変わらない」や「定年等で生活が変わった」「消費税や物価の上昇等で生活が苦しい」といった種類の声などが散見されます。

2020夏期消費動向-年代別・共起

まとめ

上記のように質問紙調査(アンケート調査)の自由回答を分析することで、収入や支出が減っている背景などがより深く理解できたような気がします。

また、自由回答を年代別にみたことで、就職・定年・子育てなど、それぞれの年代が抱えている事情をより深く理解できた気がします。通常は「消費者」という一括で消費動向を分析しがちですが、年代や職業など、属性別により詳しく分析していくことの大切さを実感しました。

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¹ 
今回の分析にあたっては、「KH Coder」 と 「E2D3」を使用させていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。

参考にしたWebsiteは次のとおりです。

  • KH Coder のWebsite https://khcoder.net/ (2020年6月9日アクセス)
  • E2D3のWebsite https://e2d3.org/ (2020年6月9日アクセス)

併せて、以下の書籍も参考にさせていただきました。

  • 樋口耕一,2020,『社会調査のための計量テキスト分析【第2版】』ナカニシヤ出版
  • 牛澤賢二,2018,『やってみようテキストマイニング』朝倉出版
  • 末吉美喜,2019,『テキストマイニング入門』オーム社

なお、速報性を優先して、簡便に分析した結果となっているため、取り扱いにはご注意ください。

また、分析にあたっては新型ウイルス関連の用語は「新型ウイルス」で統一したほか、文字をコンパクトにして図式化する必要などから、新型ウイルスを「ウイルス」で一部、表記するなど、 適宜、語の変換処理・削除・訂正(クリーニング)などを実施しています。