新潟経済社会リサーチセンターの江口大暁です。
2019年10月より「キャッシュレス・消費者還元事業」が開始されました。これは、消費税が引き上げられる10月1日から9カ月間、対象となる中小の小売店や飲食店等で、クレジットカードや電子マネー等を使って代金を支払うと、最大で5%分のポイントが戻ってくる政府の取り組みです。
こうしたなか、県内のキャッシュレス決済の利用動向を把握するため、9月上旬から下旬にかけて県内勤労者等2,000人(有効回答1,492人)に対してアンケート調査を実施しました。
本日はその結果の一部をご紹介します。
キャッシュレス決済の利用状況
全ての回答者に対して、この1年間でのキャッシュレス決済の利用状況を尋ねたところ(複数回答)、「クレジットカード」と回答した割合が78.1%で最も高く、次いで「カード型の電子マネー」が33.2 %、「QRコード決済」が15.5%、「非接触型決済」が9.3%、「デビットカード」が3.1%となっています。これら5つの決済手段のうち、1つ以上の決済手段を利用したことがある『この1年間でキャッシュレス決済を利用した』割合は83.0%と8割を超えました。一方、「利用しなかった」は17.0%となりました。
性別にみると、男女とも「クレジットカード」の割合が最も高く約8割となっているものの、男性は「非接触型決済」「QRコード決済」などの割合が女性よりも高くなっています。
なお、調査時期、調査対象、質問方法などが異なるものの、参考までに、消費者庁「キャッシュレス決済に関する意識調査結果」によると、全国でのキャッシュレス決済の利用状況については「よく利用している」「ときどき利用している」を合わせた割合が79.0%、これに「あまり利用していない」を合わせた割合が90.8%となっており、県内のキャッシュレス比率は概ね全国並みとなっています。
キャッシュレス決済を利用している理由
『この1年間でキャッシュレス決済を利用した』と回答した人に対して、キャッシュレス決済を利用している理由について尋ねたところ(複数回答)、「利用時にポイントや割引サービスを受けられるから」と回答した割合が60.2%で最も高く、次いで「支払いがスムーズにできるから」が55.8%となっており、この2つの理由が特に高くなりました。以下「小銭を使わなくて済むから」が28.1%,「持ち歩く現金が小額で済むから」が21.0%などとなっています。
性別にみると、男性は「小銭を使わなくて済むから」「支払いがスムーズにできるから」などの割合が女性よりも高くなっています。一方、女性は「利用時にポイントや割引サービスを受けられるから」「ATMや銀行で現金を引き出す手間が減るから」などが男性よりも高くなっています。
キャッシュレス決済の今後の利用意向
全ての回答者に対して、キャッシュレス決済の今後の利用意向を尋ねたところ、「これまでと変わらない」の割合が最も高く、41.5%となりました。一方、「増やしたい」と「やや増やしたい」を合わせた『どちらかといえば増やしたい』の割合は46.1%となったのに対して、「減らしたい」と「やや減らしたい」を合わせた『どちらかといえば減らしたい』は2.2%にとどまりました。なお、「キャッシュレス決済はしない」は10.1%となっています。
年代別にみると、10〜20代、30代などで『どちらかといえば増やしたい』の割合が高くなっている一方、60代以上では「キャッシュレス決済はしない」の割合が30.6%と他の年代と比べて特に高くなっています。
今後、利用したいキャッシュレス決済
全ての回答者に対して、今後、利用したいキャッシュレス決済について尋ねたところ(複数回答)、「クレジットカード」が61.5%と最も高くなりました。次いで「QRコード決済」が33.8%、「カード型の電子マネー」が30.1%などとなっています。一方、「利用す る予定はない」は15.6%となりました。
キャッシュレス決済の今後の利用意向別でみると、「QRコード決済」では『どちらかといえば増やしたい』の割合が52.3%と他の利用意向に比べて特に高くなっています。
まとめ
今回の調査を振り返ると、『この1年間でキャッシュレス決済を利用した』割合は83.0%となっており、県内でもクレジットカードを中心にキャッシュレス決済が広く利用されていることがうかがえる結果となりました。
また、キャッシュレス決済の今後の利用意向を尋ねたところ、『どちらかといえば増やしたい』の割合が4割を超えたことなどから、キャッシュレス決済の利用は今後も緩やかに増えていくと思われます。
さらに、今後、利用したいキャッシュレス決済について尋ねたところ、「クレジットカード」や「カード型の電子マネー」に加えて、「QRコード決済」の利用意向が高くなっており、スマートフォンを用いたキャッシュレス決済も増えていくとみられます。
一方、スマートフォンを用いたキャッシュレス決済は利用時にポイントや割引サービスを受けられることや現金を持たなくても良いなどのメリットがあるものの、使い過ぎや悪意のある第三者による不正利用などのリスクもあることから、利用者にはお金やセキュリティに対する知識や判断力が求められます。
○調査の要領
※本調査では上記などを踏まえ、「クレジットカード」「電子マネー」「デビットカード」「QRコード決済」「非接触型決済」などを具体的なキャッシュレス決済手段としています。
※本調査に関する詳しい内容については、当センターの機関誌「センター月報2019年12月号」をご覧ください。
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