キャッシュレス決済に関するアンケート調査

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

2019年10月から開始された「キャッシュレス・消費者還元事業」は、20年6月末で終了しました。この制度が後押しとなり、国際的に低水準だと指摘されていた日本のキャッシュレス決済の普及が進んだと言われています。こうしたなか、当センターではキャッシュレス決済の県内消費者の利用動向についてアンケート調査を実施しました。本日はその結果の一部をご紹介します。

 

キャッシュレス・消費者還元事業とは

キャッシュレス・消費者還元事業(以下、キャッシュレス還元事業)は、消費税率引き上げに伴う需要の平準化と、キャッシュレス決済比率の向上などを目的として、19年10月から20年6月末までの9か月間実施されました。

対象の店舗においてキャッシュレス決済で支払いをすると、最大で5%分のポイントが還元される仕組みとなっており、対象となる具体的な決済手段は、「クレジットカード」「デビットカード」「電子マネー/プリペイドカード」「スマートフォン」などとなっています。

経済産業省によると、6月1日現在でキャッシュレス還元事業の登録加盟店は全国で約115万店となり、当制度を利用できる店舗は制度開始以降大幅に増加しました。

この1年間でキャッシュレス決済を利用したのは9割超

全ての回答者に対して、この1年間で利用したことのあるキャッシュレス決済の手段を尋ねたところ(複数回答)、「クレジットカード」と回答した人の割合が86.3%で最も高く、次いで「QRコード決済(PayPay、LINE Pay等)」が47.3%、「カード型の電子マネー(Suica、WAON等)」が39.5%などの順となりました (図表1) 。また、これらのうち最近1年間で1つ以上の『キャッシュレス決済を利用したことがある』人の割合は93.2%と9割を超えました。

調査方法、調査の回答者数などに違いがあるため単純な比較はできませんが、 19年9月に当センターが実施した「キャッシュレス決済に関するアンケート調査」(以下、前回調査)によると『キャッシュレス決済を利用したことがある』人の割合は83.0%となっており、この7カ月間で約10ポイント上昇しました。なかでも「QRコード決済」は30ポイント以上上昇しており、利用が大きく拡大していることがわかります。

【図表1】

キャッシュレス還元事業開始以降、キャッシュレス決済が増えたのは約6割

『キャッシュレス決済を利用したことがある』人(377人)に対して、キャッシュレス還元事業開始(19年10月)以前と開始後で利用頻度の変化を尋ねたところ、19年10月以降キャッシュレス決済の頻度が「増えた」「やや増えた」を合わせた『増加派』の割合は59.5%となりました(図表2)。

一方、「変わらない」が38.6%、「やや減った」「減った」を合わせた『減少派』は1.9%にとどまっています。キャッシュレス還元事業の影響が消費者のキャッシュレス決済を後押ししたことがうかがえます。

【図表2】

キャッシュレス還元事業終了後のキャッシュレス決済の利用は、『増加意向』が25%

全ての回答者に対して、キャッシュレス還元事業終了後(20年7月以降)にキャッシュレス決済の利用頻度が変化するか尋ねたところ、「今と変わらない」の割合が53.5%と最も高くなりました(図表3)。

一方、「増えると思う」「やや増えると思う」を合わせた『増加意向』の割合が25.3%となり、「減ると思う」「やや減ると思う」を合わせた『減少意向』の13.8%を約10ポイント上回っています。なお、「キャッシュレス決済は利用しない」は7.5%にとどまっています。

年代別にみると、20代、30代などで『増加意向』の割合が高くなっており、若年層を中心にキャッシュレス決済の利用は増えていくとみられます。

【図表3】

まとめ

今回の調査結果によると、この1年間で『キャッシュレス決済を利用したことがある』人の割合は93.2%となり、前回調査と比べて約10ポイント上昇しました。

その背景には、キャッシュレス還元事業の効果に加えて、新型ウイルスの影響によってネットショッピングでのキャッシュレス決済の増加及び対面での買い物の際のキャッシュレス決済への切り替えなど、「衛生的である」「支払いがスムーズ」「小銭を使わなくて済む」といったキャッシュレス決済の利点が感染防止の観点から注目されていることも一因と考えられます。

キャッシュレス還元事業は20年6月で終了しましたが、20年9月からは「マイナポイント事業」が実施される予定となっています。手続きの手間などから普及が進まないとの懸念がある一方で、還元率は25%とキャッシュレス還元事業と比較しても大きいことから、本事業が周知され利用の動きが広がりをみせれば、キャッシュレス決済比率の一段の上昇が期待できます。

今後キャッシュレス決済が生活に定着し、さらに拡大していくか今後の動向を注目していきたいと思います。

※本調査に関する詳しい内容については、当センターの機関誌「センター月報7月号」をご覧ください。